「AIって結局エンジニアの話じゃないの?」
「ChatGPTは触ったことがあるけど、日々の営業活動にどう直結するのか正直ピンとこない」
そんな社員からの声に応えるべく、クロスマートの全社合宿でとあるコンペが実施されました。
全社員が部署・役割の垣根を越えてチームを組み、AIを使ったプロダクトを1ヶ月で作り上げるというものです。5人1組の総勢15チーム。事前投票を勝ち抜いた5チームが、合宿当日のプレゼン大会で成果を競い合いました。
ルールはシンプルで、コーディング禁止。使えるツールは指定されたものに限られ、エンジニアも営業も、同じ条件でスタートラインに立ちました。
この記事では、コンペを企画した町田さんと、見事優勝を果たしたチームの4名に話を聞きました。企画にかけた想いと、現場のリアルをお届けします。
PART1:「優勝よりも、本当に欲しいものを作ろう」
優勝チームインタビュー(聞き手:鈴木)
木村さん(カスタマーサクセス マネージャー)
引き継ぎや属人化の課題に向き合ってきた、現場マネジメント視点の持ち主
湯本さん(カスタマーサクセス)
100社超を担当する現場の最前線、今回のツールの「発案者」
朝井さん(開発エンジニア)
チーム唯一のエンジニアとして、技術面の壁打ち役を担った
羽部さん(プロダクトマネージャー)
カスタマーサクセス出身で、現場の声をエンジニアに翻訳する橋渡し役
Q. 開発された「顧客情報まとめくん」は、どんな課題から生まれたんですか?
湯本さん
正直に言うと、私のわがままから始まったようなものです(笑)。顧客情報の管理場所がSalesforce、Slack、Notion、スプレッドシートと4つに分散していて、情報を調べるたびに全部を行き来しないといけなかったんです。カスタマーサクセスは担当企業が100社を超えることもあるので、それが毎回本当にしんどくて。「ひとつのツールですべての情報を収集できたら絶対に楽になる」とずっともどかしさを感じていました。
木村さん
引き継ぎのたびに、30分かけて情報をまとめていました。しかも引き継ぎって意外と頻繁に発生するんですよね。契約内容やキーマン情報など、まとめ方が人によってバラバラで、属人化が深刻でした。結局「あの情報はどこ?」と聞き直す二度手間が頻繁に起きていました。その悩みはビジネスサイドのみんなが持っていましたね。
羽部さん
同行のときに事前の情報共有がないこともあれば、あってもバラつきがありました。情報が足りなければこちらから依頼するタスクも発生します。そういう煩わしさは、ずっとありましたね。
優勝チームGのプレゼンはすべて動画で実施
Q. コーディング禁止のルールのなかで、どうやって作ったんですか?
朝井さん
予選は、ほぼ動いていない状態で出しました(笑)。当時は別のプロジェクトが詰まっていて、「最低限、何をやりたいか伝わればいい」というレベルで。ただ工夫したのは、最初からAIに相談しながら設計の方向性を一緒に考えた点です。詰まったときのために最初からログを出力する設計にしておいたので、エラーの場所がわかりやすくて、AIに指示するだけで解決できることが多かった。複雑な部分も、やることをシンプルに絞ることで乗り越えられました。
羽部さん
エンジニアの朝井さん1人で完結させないように、私がビジネスサイドの要望をエンジニアに伝わる言葉に翻訳する役割を担いました。「これってこういうこと?」と整理しながら渡す橋渡し的な立ち位置です。カスタマーサクセス経験もあるので、木村さんや湯本さんの「現場の声」を形に落としやすかったです。
木村さん
私と湯本さんが現場の要望をひたすら出す担当で、羽部さんがうまく優先順位を整理してくれていました。朝井さんは「これどうやればいい?」と聞いたら、AIの使い方をすぐ教えてくれる存在で(笑)、頼れるサポーターでした。
Q. チームとして、大事にしていたことはありますか?
木村さん
優勝することを目的にしない。本当に今欲しいもの、困っていることを解決しよう。
そんな暗黙の前提がチームの中にありました。だから「コンペに勝つために見栄えのいいものを作ろう」じゃなくて、「自分たちが明日から使えるかどうか」で判断していました。結果として優勝できましたが、それは後からついてきた感じです。
ミーティングも全部で5回くらいしかしていないんですよね。でも毎回30分で濃密に進みました。みんなちゃんと意見を言える人たちだったので。
Q. 今、実際の業務でどう使っていますか?
木村さん
1件あたり30分かかっていた顧客情報の収集が、5分以下になりました。1ヶ月15〜20社分の積み上げを考えると、約500分──8時間強の時間削減です。変化はそれだけでなく、引き継ぎも「これ見ておいて」で済むようになりました。情報の属人化が消え、誰が担当しても同じクオリティで共有できるようになりましたね。
同行をお願いするときも、まとめくんからPDFを出して共有するだけで十分になった。準備しなきゃ、というプレッシャーも消えました。一見地味だけど、これがめちゃくちゃ大きい。
湯本さん
今回のコンペをきっかけに、自分でお客さんの展示会受付システムも作りました。AIに挑戦するハードルがすごく下がったんです。今まで「コードわからないし、私には無理」と思っていたのが、「AIに正しく伝えれば割と何でも作れる」という感覚に変わりました。営業職としての可能性が広がる手応えがありました。
SNSを覗くといろんなAIハックの投稿がいっぱいあるけど、それとは全然違う。自社の実態に合わせてチームで作った、手触り感のあるツール。その経験がすごく特別でした。
最終プレゼンでの集計結果 チームG(中央)が
106点という高得点を叩き出し、見事優勝に輝いた。
Q. コンペ前後で、AIへの意識はどう変わりましたか?
朝井さん
エンジニアの視点から見ると、ビジネスサイドの方がAIをここまで使いこなしているのは正直驚きでした。エンジニア専用と思われていたツールまで使いこなしている。コンペを境に、社内の空気が明らかに変わりましたね。提案しても「ふーん」で終わっていたのが、今は「めちゃくちゃ使ってます」に変わっていて、そういう変化を見るのは嬉しいです。
羽部さん
私はプロンプトに苦手意識があり、なかなか手が伸びない感覚があったんですが、朝井さんが「こういうプロンプトでやったらできましたよ」という具体例を共有してくれた。「ここまで具体的に指示していいんだ」「この観点だけでこんなものを作ってくれるのか」という気づきで、ハードルが一気に下がりました。
木村さん
自分では使っているつもりだったけど、他部署の視点に触れて「こんな使い方があるのか」と視野が広がりました。会社が強制的にその機会を作ってくれたこと、いろんな部署が混ざったチームで挑戦したことが、すごく良かったです。
"4人の話を聞きながら、ふと疑問が浮かびました。なぜクロスマートは、業務の片手間で「現場で使えるレベル」のツールが生まれるような環境を、わざわざ作ったのか。コンペを企画した町田さんに、その背景を聞きました。"
PART2:「感動は、自分の手で触れないと伝わらない」
企画者・町田さんインタビュー(聞き手:鈴木)
町田さん(新規事業責任者 兼 プロダクトマネージャー)
新しい技術が出たら、とにかく触ってみる。そんな好奇心旺盛な町田さんが今、クロスマートのAI推進を担っている(過去にはWeb3時代にNFTで大損した武勇伝も)。
会が盛り上がるよう、緑の全身タイツを身に纏い、温かくプレゼンを見守る町田さん
Q. なぜ、全社コンペを企画しようと思ったのですか?
町田さん
LLM(ChatGPTやClaudeの中身にあたるAIモデル)のニュースをSlackに流したり、社内でプチ勉強会を開いてみたり、いくつかの方法を試してきました。でも、どうしてもそれだけでは「自分の手で触って感動する」というところまで、たどり着けなかったんです。
人から聞いた話だけで人が動くなら、世の中って誰でも何でも挑戦しまくってると思うんですよ。でも実際はそうじゃない。ランニングが体にいいってわかっていてもなかなか走れないのと同じで、体験してみないと動けない。だからこそ、自分の手でLLMを触って感動してほしかった。
それがコンペを企画したきっかけです。ただ知識を伝えるんじゃなくて、体験を設計したかった──そこが大きいですね。
Q. なぜ「全社」にこだわった?
町田さん
エンジニアはすでに日常で使う場面が多い。だからコンペの本丸は、非エンジニア、特にビジネスサイドのみなさんでした。営業ってお客さんに一番近いじゃないですか。一番現場のお客さんのニーズを捉えやすい人からのリアルな視点に、会社としての価値を感じていました。
もうひとつは複利の考え方です。
一人のアウトプットが10倍になっても、1が10になるだけ。でも社員全員が5倍になったら、その総量はまったく違う。AIって今やPCと同じで、誰かに限定する理由がないと思うんですよね。
全員が使えるようになれば、全員が加速する。だから全社員でやりたかったんです。
Q. コーディング禁止というルールは、なぜ設けられたのですか?
町田さん
これはあえて入れたルールです。コードを書けるかどうかで、同じ土俵で戦えなくなってしまいます。
コードが書けるかどうかは関係ないんだよ、というメッセージを全員に伝えたかったんです。解決したい課題さえハッキリ見えていれば、エンジニアじゃなくても作れる。その体験をしてほしかった。
とはいえ、当然ですが、LLMをほとんど触ったことのない人もいます。だから事前に全員が同じレベルで学べる座学+実技の時間を作って、Slackで常時質問できる場所も設けました。わからないまま止まらせない。成功体験をひとつでも多く積んでもらう。そのために全力でサポートしました。
優勝チームには景品として、最新のAmazon Echoを用意しました。
AIってこれからもっと日常に入ってくると思っていて。声で指示を出して、作業が自動化される。そういう未来をちょっとでも感じてほしくて、景品もそこに合わせました。
他のチームの発表風景
Q. 実際にやってみて、一番驚いたことはなんですか?
町田さん
成果物のレベルが、想定をはるかに超えていたことですかね。
業務をこなしつつ1ヶ月で作ったものが、そのまま実務で使えるレベルになっていました。正直、当初の想定は「AI推進室が成果物を引き取って磨き上げれば使えるかな」くらいのイメージだったんです。でも優勝チームはSalesforce・Slack・メール・Webを全部つないで、会社名を入力するだけでレポートが出てくるシステムを持ってきてくれて、これにはさすがに驚きました。他のチームにも言えることですが、ここまで実務で使えるレベルになるのかと。
※クロスマートでは、有志で社内にAIを浸透させる「AI推進室」というチームがあり、町田さんが中心となって運営している。
30分かかっていたものが数分で終わる。それだけでもサービスになるレベルのインパクトがある。
コンペ後の変化もすごかったです。特にこちらからは何もアプローチしていないのに、日常の中で営業のみなさんが「これGeminiでできるんじゃない?」「GAS(Googleの業務自動化スクリプトサービス)で作ってみました」という会話がSlackに流れてくるようになりました。
もうひとつ、これは大きいなと思った変化があります。コンペ前は「AIって何ができるんですか?」という質問だったのが、コンペ後は「Claudeを使ってこうやって試したんですが、うまくいかなかったです。どうすればいいですか?」という質問に変わった。
前者はイメージがない状態、後者はすでに動いている状態。この差は、めちゃくちゃ大きいと感じました。
Q. 逆に、もしこのコンペがなかったら今頃どうなっていたと思いますか?
町田さん
AIが怖いと思う人が、もっと増えていたと思います。使える人と使えない人の差がどんどん開いて、楽しくない人が増えていく。それは個人的に、避けたかったですね。
組織としての成果物の量は、コンペを通じて確実に増やせるようになった。次にやるのは、それを実際の売上や数字につなげていく段階です。まだまだ道半ばなので、引き続き社内のAI推進を進めていきます。
AIの浸透について熱く語る町田さん
FINAL MESSAGE:「興味さえあれば、絶対に使えるようになる」
Q. これからクロスマートに興味を持ってくれる方へ、メッセージをお願いします。
湯本さん
AI推進室に声をかければ、自分の仕事の範囲を超えて時間を作って、一緒に活用方法を考えてくれます。「AIを学びたい」という人を大歓迎してくれる雰囲気が本当にある会社なので、最先端を追っていきたい人にはめちゃくちゃ合っていると思います。
朝井さん
エンジニアの私から見ても、ビジネスサイドの皆さんがAIを使いこなしていく速度は驚きでした。技術への好奇心がある営業の方なら、ここでの伸び代は大きいはず。エンジニアとビジネスサイドの距離が、ここまで近い会社はそう多くありません。
羽部さん
プロンプトに苦手意識がある方は、少なくないはずです。私もそうでした。でもチームの中で具体例を見ると、ハードルは一気に下がる。一人で学ぶより、誰かの試行錯誤を間近で見られる環境のほうが、何倍も早く伸びます。クロスマートには、その環境があります。
木村さん
他部署の視点に触れることで、自分のAIの使い方が拡張されていく感覚があります。一人で頑張るより、いろんな部署が混ざったチームで挑戦したほうが、得られるものは大きい。視野を広げたい人にこそ、向いている会社です。
町田さん
ほとんどの人が、AIの専門家じゃない。にも関わらず、コンペでは1ヶ月で全員が凄まじいレベルの成果物を出した。今使ったことがない人でも、怖がらずぜひ来てほしい。クロスマートには文化として、AI推進を応援する環境があります。
クロスマートには、AIを学びたいと思ったときに「一緒にやろう」と言ってくれる仲間がいます!未経験でも、不安があっても、興味さえあれば大丈夫です!
営業として、ビジネスパーソンとして、AIを手に、もう一段階成長したい方。
少しでも興味を持っていただけたら、まずはカジュアルにお話しさせてください。
取材・文:鈴木(インターン) 編集:吉浦