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税理士・公認会計士はなぜITスタートアップ経営に名乗りを挙げたのか?監査法人、コンサルを経た今、新たに挑戦する理由【COO/CFOインタビュー・前編】

国家資格保持者を主な顧客とするSaasプロダクトの開発・提供を手掛ける株式会社iDOOR(アイドア)。Wantedlyストーリーでは、iDOORの開業に至るまでの軌跡をたどっています。

今回は岡田湧真CEOとiDOORを共同創業した取締役COO・CFOの児玉洋貴が登場します。会計事務所の経営、上場企業の社外監査役を務める税理士・公認会計士でありながら、なぜITスタートアップであるiDOORにコミットしているのでしょうか。徹底的に迫りました。

児玉 洋貴(こだま・ひろき)

横浜市出身。一橋大学経済学部卒。大学在学中に税理士資格を取得し、あずさ監査法人、アビームコンサルティング、仲田公認会計士事務所を経て27歳でALEX会計事務所を設立。ユナイテッド&コレクティブ株式会社社外監査役(現任)。中小企業の税務顧問にとどまらず、資金繰り改善・社内業務効率化・管理会計制度導入などのコンサルティングも数多く手掛ける。

国家試験には出ない!「会計事務所をPRして顧問先を獲得せよ」

――まず、児玉さんの経歴を教えてください。

監査法人、コンサルティングファームなどを経て、2015年に27歳で自身の事務所を開業しました。監査法人やコンサルファームに所属すると、そのカウンターパートは大企業の一部門となるのですよね。そのような働き方より、独立開業して中小企業の経営者と向き合い、大きなインパクトを与えた方が、自分が仕事をする上で大切にしている「日本を盛り上げる」という目的につながるのではないか、と決意した上での独立でした。

独立直後は顧問先ゼロでしたが、Webサイトなども使って、徐々に顧問先を増やしていきました。主に店舗型ビジネスの経営者が多いのですが、どの方々も一人一人、ユニークなアイデアと理念、ビジネスモデルを掲げています。そこに会計の専門家として関われることは、この仕事ならではの面白さだと思っています。

――独立後から、すぐにうまくいっていたのですね。

いえいえ、うまくいく経験ばかりではないですよ。ただ、そんな試行錯誤もあって、このiDOORという会社に携わっているのかと思いますので、ちょっと昔の話をご紹介します。

開業してから2年目のころ、事務所を成長させていくためには顧問先を増やすだけではなく、既存顧客に対して助成金や、節税、事業戦略のコンサルなど、税務業務のサポート以外にできる事があると思いました。ただ、マーケティングや、広報、営業活動をどこから初めるべきかがわかりませんでした。

考えてみれば、公認会計士の国家試験の試験科目に財務会計論や企業論はあっても、自分自身の会計事務所をPRしたり、営業活動をしたりする問題は出題されません。監査法人の業務も、経営の結果を確認する、いわば「守り」の仕事です。そこで戸惑ったのも、仕方ないと思いました。

――そこからどのように動いたのですか。

何か良い方法はないかと探す中、現在のiDOOR代表である岡田さんと知り合いました。当時の岡田さんは、税理士や公認会計士向けの経営コンサルタントをしていたのですが、岡田さんの提案通りにPRをしてみると、実際に成果が出て顧客も増えていきました。つまり、私は岡田さんのクライアントの一人だったのです。

その後、岡田さんが経営コンサルの会社から独立し、今のL-MagaZineにつながるサービスを作ると聞きました。

自分の周囲を見渡しても、日常業務に忙しく、顧問先からの満足度向上にまで取り組めている同業者ばかりではなく、業界として「これでいいのだろうか」と思うことはありました。ですから、動画配信コンテンツで専門家と顧問先のコミュニケーションを活発化させよう、という岡田さんのアイデアはとても興味深かったのです。(岡田さんのインタビューはこちらから 前編後編

ー-岡田さんにもインタビューをしましたが、そのアイデアを聞いたのは仕事の場ではなく、プライベートの場だったそうですね。

はい。当時、岡田さんは名古屋に住んでいて、私は東京在住でした。岡田さんが独立して会社を起こすと聞き「次はいったい何をするのだろう」という興味が膨らんで、仕事を終えた金曜の夜、名古屋へ駆けつけたのです。

――プライベートで会いに行ってしまうほど、興味が抑えられなかったのですね。

そうです。実は、岡田さんの経営コンサル時代の仕事ぶりってすごかったのですよ。初対面の日のことは今でもよく覚えていて、スーツをピシッと着こなした岡田さんを見た時の第一印象は「おお、できる営業マンだな」と思いました。

当時から、定量的に判断し、スピード感を持って最適な方法を提案するのが岡田さんのスタンダードでした。こういう話って言葉にすると当たり前に聞こえちゃうのですが、それを自然にできるコンサルタントはそうそういませんでした。岡田さんという魅力的なビジネスパーソンのアイデアに、自分自身もわくわくして「一緒にやりたい」と言っちゃいましたね。

保守的な業界で感じる「真に経営をよくするためのコミュニケーション」とは

ー-児玉さんがiDOORのCOO/CFOとして具体的にどのようなことをしているか、教えてください。

iDOORの事業計画の策定から、L-MagaZineのユーザーである専門家の意見を踏まえたマーケティング施策の打ち出し、さらに1本1本の動画コンテンツの中で専門性の高い分野については、自分がストーリーを書くこともあります。

ちなみに、私自身も一会計事務所を経営するL-MagaZineユーザーでもあります。その立場で、顧問先にLINEを使って動画配信をしています。

例えば、出張旅費規程に関わる動画を配信したところ、顧問先から「児玉さん、あの動画の規定って私たちの会社ではどうなっていますか」という話になり、実際に社内規程を定めるお手伝いをしました。

このように一つ一つ、会社が良くなる実体験が積み重なれば、顧客先の士業に対する「満足度」も上がるのではないでしょうか。

ー-動画をコミュニケーションのきっかけにした実例ですね。

そうですね。ただ、このようなコミュニケーションが、専門家と経営者に当たり前に起きているかと言えば、そうではないのですよ。

例えば税理士と顧問先という関係で言えば、会社の立ち上げ当初は何かと関わる場面が多く、コミュニケーションも密になります。ただ創業がひと段落すると、税理士とのコミュニケーションの量が減ってしまう、というケースがままあります。そこで能動的に会社を良くしようと、踏み込んだ提案までできる税理士は少ないのですよね。

――そのようになってしまう背景には、業界事情などがあるのでしょうか?

何とも言えないところではあります。ただあえて言うならば、士業はどうしても「手に職を」という、ある種、保守的な考えで選択される職業だからでしょうか。

資格取得には一定程度の勉強が必要とはいえ、いわゆるビジネスのアップサイドを取りに行くなら、顧問先である企業のように事業を立ち上げる立場に回りますよね。士業はその成長を支える黒子として、あくまでも経営を支援する役回りにあります。

ちょっと偉そうに言っちゃいましたが、自分が大学生の時になぜ会計士資格を取得したかを振り返ると、まさにそういう考え方でした。大学時代、「就活せずに手に職をつけるなら資格かな。弁護士と会計士だったら数字が好きだから会計士で」と安直に考えていたのは、今となっては恥ずかしいです。

――意地悪な質問ですが、会計事務所を経営している児玉さんにとって他の事務所のPRがうまくいくのは、「敵に塩を送る」ようなものではないでしょうか?

なかなかユニークな発想ですね。

確かに、会計事務所の一経営者として、岡田さんの作ったサービスの一利用者となって、自分の顧問先とのコミュニケーションを密にする、という道もありました。

ただそれだけでは自分の事務所の成長だけに留まってしまいますよね。一つの事務所で中小企業支援に奮闘するのではなく、同じような考えを持った事務所が増えたら、もっと大きなスケールで日本を盛り上げていけるのではないかと思ったのです。そう考えると、iDOORにがっつりと関わっていく方が面白い、と思ったのです。

――児玉さんが目指しているのは、一つの事務所の成長、という狭い話ではないのですね。

おっしゃる通りです。

L-MagaZineをきっかけに、士業と士業のみなさんのクライアントにコミュニケーションが新たに生まれ、会計事務所、税理士事務所、弁護士事務所などの士業がよりクライアントに価値のある存在に成長していく未来を描いています。

インタビュー後編は、iDOORだから取り組めること、iDOORが取り組まなけれならないことについて語っていただきます。

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