学生にも伝えたい。プレゼンは“発表”ではない。
ベンチャー経営者にとっては、サバイバル技術だ。

最近、中学校の先生からプレゼン講座を依頼されることが増えました。
ありがたいし、とてもいいことだと思います。

ただ、打合せでどんなことが課題ですか？と聞くと

スライドをうまくつくれるようにしてほしい
人前で恥ずかしがらずきちんと話せるようにしてほしい

……それだとぼくらが実践しているプレゼンじゃない。
ただの発表。。。

誤解を恐れず言えば、

発表＝情報を伝える
プレゼン＝心を動かす

この差は、社会に出てから深刻な壁になります。
せっかくの機会なので、中学生にも、いまのうちから相手の心を動かすプレゼンを学んで練習してほしいと思ってます。

1.プレゼンは相手を変えて、動かす技術

日々プレゼンをしてきて実感するのは、

プレゼンは、自分の想いを相手に共感してもらう技術

いいプレゼンかどうかは、話し方とかスライドの出来栄えじゃなくて

相手に何らかの行動、変化が起きたか？

中学生にも理解してもらえるよう、

・自分が伝えたいこと
・相手に感じてもらいたいこと

の組み合わせで整理してみました。

まず自分が伝えたいことが強くなければプレゼンは始まりません。

学校でありがちなのが、
・ただひたすら原稿棒読みの説明
・こうしたらほめられるんでしょって感じの優等生発表。

一方、自分の伝えたいことが強いのはいいけど、
相手お構いなしに熱く語るのはただの自己主張で終わってしまいます。

わかった風に整理しながら、ぼくもちょいちょいこのゾーンに陥ります。

2.プレゼンは話し方やスライドではない

中学生だけでなく大学生、若手社会人がプレゼンというとやりがちなのが、

• スライドのデザインから入る
• アニメーションや動画にこだわる
• 正しい情報を並べようとする
• 「何を言いたいか」より「どう見せるか」に走る
• 流暢に抑揚つけた役者のような話し方を練習

結果、
カッコいいけど刺さらない
プレゼンが量産される。

順番を整理するとこんな感じ。きわめて地道な積み重ね

3.想いをまとめるPREPA

ビジネスで使うプレゼンは、ケースバイケースで、フレームも変わってきます。ただ、中学生が自分の夢など、想いをまとめるなど短いプレゼンにはわかりやすいのでPREPAをおすすめしています。

以前、前職で20代社会人と朝の勉強会でプレゼン講座をしていたときも、PREPAで練習してたので最初の型としてはおすすめです。

PREPAとは次の順番で構成します

大切なのは、理由と体験。
ここに具体例が入ると、話が一気に自分ごとに。

あと最後のAは、After Thatとして「明るい未来」とすることもありますが、個人的にはActionとして、
・まず自分が踏み出す最初の一歩
・相手に起こしてほしい行動
としています。

Actionで締めることで、聞いた後に人が動く＝プレゼンのゴールに直結するので、最初からActionを考えてもらうのにいいかなと思ってます。

中学生向けの事例にするとこんな感じ
「ゲームクリエイターになりたい」

4.ICCで学んだ、準備と練習の大切さ

長年、ベンチャーでプレゼンを実践してきましたが、一昨年、起業家の全国カンファレンスICCでピッチをさせてもらったのは、ものすごい衝撃と学びになりました。

ぼくが登壇したのは社会性と事業性をテーマにおく「ソーシャルグッド・カタパルト」。
毎回10組前後の起業家が、7分間のプレゼンで競い合います。

驚いたのはそこに至るまでのICC代表、小林雅さんの厳しく熱くて優しいアドバイスと徹底した品質管理。

過去に優勝した先輩起業家たちが、忙しい合間を縫って自分なりのプレゼンメソッドを共有していただいたり、親身に相談にも乗ってくれました。

これまで自分がやってきたプレゼンが、いかに幼稚だったか思い知らされました。

7分間のプレゼンのために、30-40枚近いスライドを1枚1枚丹念につくって磨き上げながら

・本当にこれで自分の想いは伝わるか
・自分が伝えたい相手は誰か
・その相手にどう感じて動いてほしいか

そんなことを絶えず考えながら、スクリプト（原稿）を一言一句整えつつ、時間配分や強弱、抑揚、画像、映像とのバランスをチェック。

一部抜粋するとこんな感じでコツコツと

正直、プレゼンの1ヶ月前は、ほとんど本業手付かずでした（笑）

おそらく100回以上リハーサルして本番に臨みました。
ピッチなので順位がつけられ、残念ながらぼくは惨敗。
そんな結果より、これだけ準備できたことが自信と財産に。

いい歳したオジサンが、20代のスタートアップ起業家と一緒になって、7分間のためにこれだけ熱中できたことを、中高生たちに少しでも伝えられたらな、と思います。

プレゼンは単なるスキルではなく、
ぼくにとっては生き残り術、生き様レベルに昇格しています。