はじめまして。株式会社サンビーム 地域計画部の橋本です。
今回は、地域計画部のお仕事の一つ「バリアフリーに関する業務」についてご紹介します。
はじめに
皆さんは、「バリアフリー」と聞いて、どのようなことを思い浮かべるでしょうか。
エレベーターやスロープを設置して段差をなくすこと、点字ブロック、バリアフリートイレ、駅のホームドアを思い浮かべる方もいらっしゃるでしょうか。
バリアフリーとは、生活の中で不便を感じること、様々な活動をしようとする時に障壁になる「バリア」をなくしていく(=フリーにする)ことです。
この「バリア」は、皆さんもご想像しやすい設備だけでなく、制度、情報の伝え方、人々の意識など様々な分野にあり、バリアフリーを考える対象も多岐にわたります。
また、バリアフリーは障害者や高齢者のための取組だと思う方も多いかもしれませんが、例えば重い荷物のある時、「エレベーターやスロープがあって助かった!」あるいは「エレベーターが見つからなくて困った……」と感じたことはないでしょうか。
このように、私たちを含むすべての人が生活しやすい社会を実現することが、バリアフリーに関する取組の大きな目標といえます。
バリアフリーに関する業務の紹介
サンビームが近年受託しているバリアフリーに関する業務は、大きく以下の2つに分かれます。
- 自治体におけるバリアフリー計画の作成の支援
- バリアフリーに関する調査研究
それぞれの業務について、ご紹介します。
1.自治体におけるバリアフリー計画の作成の支援
わが国の社会のバリアフリー化を目指して施行されている、通称「バリアフリー法」で、自治体(市町村)は、以下2つのバリアフリー計画の作成に努めることとされています。
- 移動等円滑化促進方針
- バリアフリー基本構想
計画の詳細は割愛しますが、サンビームではバリアフリー計画を作成する自治体のお手伝いをしています。
計画を作成するには、まず以下のような調査を行います。
- 自治体の現状を、様々な角度から分析する
- 住民や関係者に対して、アンケートやヒアリングを行う
- 問題が発生している場所に行き、様子を調べる(現地調査)
- 協議会の開催を支援する
これらを通じて見えてきた課題を整理し、課題解決のために、以下のような内容の計画を作成します。
- ○○年までに、△△の設備を××箇所整備する
- 現在の○○サービスを改善して、さらに分かりやすい情報提供を行う
- 住民にバリアフリーに関する関心を持ってもらえるよう、○○の形で働きかける
現状を分析して、達成できている点や問題点を見つけ出すことも重要ですが、アンケート、ヒアリング、現地調査、協議会で、住民や障害当事者等の関係者の「生の声」を聞く機会も多くあります。
自治体の意向を取り入れつつ、みんながより納得できる計画を作っていくことが、この業務の一番重要で、難しくもあることです。
2.バリアフリーに関する調査研究
わが国のバリアフリーに関する取組は、1970年代頃からみられるようになったとされ、2000年代以降はバリアフリー法の施行もあり、飛躍的に進歩しました。
しかし、近年は以下のような課題が出てきています。
- せっかく整備したバリアフリー設備が使いにくい
- 大きな駅や地下街などで、案内が分かりにくい
- 進化を続けるデジタル技術を、どう取り入れるか
- 一度始めた取組を、どう続けていくか
- 人々のバリアフリーへの理解の促進を、どう図っていくか
そこで、国の機関や自治体等からの委託を受け、以下のようなテーマで調査研究を行っています。
- より使いやすいバリアフリー設備や、分かりやすい案内を実現するために、どう工夫すべきか?
- 今後、バリアフリー計画を優先的に策定すべき地域は、どのような地域か?
- 人々にバリアフリーをより身近に考えてもらうためには、どう働きかければよいか?
これらの調査結果を、文章で取りまとめ、グラフや地図で分かりやすく可視化します。
また、調査研究を進める中で、関係者、あるいは障害当事者とともに、駅や街を歩くことがあります。
より使いやすく、分かりやすくするために工夫されている事例や、障害当事者だからこそ気付く「そんな見方もあるのか!」という意見に触れることは、個人的にも勉強になります。
エレベーターが多く設置されている駅で、動物の頭文字のアルファベットを使って案内している例
バリアフリートイレを含めたトイレの個室の空き状況を、画面表示で案内している例
おわりに
2006(平成18)年のバリアフリー法施行から約20年が経過し、特に都市部でのバリアフリーに関する取組は、ある程度充実してきたといえます。
しかし、バリアフリーに関する取組が進んだことで、新たな課題も出てきています。
現地調査で全国各地に出没しつつも、バリアフリーの取組をより良くするため、考えていく日々が続きそうです。
※記事内の写真は、本記事のイメージにふさわしいと思われる写真(筆者撮影)を掲載しており、撮影した事例と弊社には、業務上の関係はありません。
※「障害者」については、近年「障がい者」、「障碍者」等の標記もみられるようになりましたが、各種法令上の標記にのっとり「障害者」としています。