2023年12月。ついにわかさ氷ノ山スキー場運営がスタートしました。
ぼくもずっと楽しみにしていました。
これまでのnoteでは、キャンプ場を運営することによる地方の賑わいの創出についてお伝えしてきましたが、今回は、ぼくら「TOTTORI CAMP PARK」がどういう世界を目指しているのかをお伝えしたいと思います。
「ただ楽しい」より「もっとリアルに」
ぼくらがやりたいこと。
それはひとことでいうと「リアルをもっと楽しむ」ということです。
世の中はどんどんと面白いコンテンツが増え、スマホ一台あれば簡単に楽しめるようになっていっています。
日々生まれるSNSやサービスで、さまざまな企業や個人がいろんなコンテンツを作り出していますが、基本的には「より簡単に、刺激を得るためのコンテンツ」が多いように感じます。
そんな中でぼくらがやっているのが「リアルを楽しむ場所の再創出」です。
自然の中で過ごす時間、身体を動かす喜びを感じることで、また鳥取に来たいと思ってもらえるようにしていきたいと思っています。
楽しめる場所がある、って嬉しい
「人生で楽しかったことってなんだろう?」
そうあらためて考えてみると、本当に大事なものを見つめ直せると思います。
たとえばぼくの人生を楽しくしてくれた体験のひとつは、ボーイスカウトです。登山やキャンプ、スキーなどいろんなアウトドアアクティビティをやってきたので、実際に体を動かすことで得られる感情、一緒にやる仲間や友だちとの会話、そんな楽しい時間が大好きでした。
そしてそれらは大人になっても続いています。キャンプも、スノボも自分が親になってからも子どもたちと一緒に楽しんできて、ついには自分でキャンプ場、スキー場の運営も手がけるようになってしまいました。
また日本のみならず海外のキャンプ場もスキー場も好きなので、世界中に楽しめる場所があります。先日はアメリカのソルトレイクに行ってスキー場の視察をしてきました。リアルで見ると発見ばかり。氷ノ山のスキー場運営も、まだまだやることが尽きません。
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海外では当たり前になっていることでも、日本はまだまだ古いものが残っていて、ブラッシュアップされていない部分がたくさんあります。キャッシュレスなんて特にそう。ストレスなく楽しめることがどれだけ大事か。不便さをもっともっとなくしていきたいなと思います。
古き良きでいい部分はもちろんあるんだけど、もう不必要だったり、まだまだ磨けるところがある。リアルをもっと楽しめる今だからこそより「楽しいな」「行きたいな」と思ってもらえる場所にしていきたいと思うんです。
もっと鳥取で楽しむ人を増やしたい
すごくうれしかったことがあります。
今年に入ってから、インバウンド向けツアーのモニターとして、鳥取県内の大学生と留学生を招いています。そのときの留学生が「初めての雪です!」「初スノボ、楽しかったです!」と言ってくれたんです。そして、こう言ってくれました。
「また絶対にスノボをしに来ます!」
これがやっぱりすごくうれしかった。
ぼくらが運営する場所で、生まれた国にはなかったものに出会って人生をもっと楽しめる。ぼくらにとって当たり前なことが、彼らにとっては当たり前じゃないから、本当にしあわせなことだなあと思いました。
思い返せば、日本に生まれたら子どもの頃から夏は海や川に行って泳いだり、キャンプをしたり、冬にはスキーやスノボができるから一年を通していろんな楽しみがありました。でも年間を通していろんなアクティビティが楽しめることって実は当たり前ではありません。
これからは、「あそこに行きたい!」や「また来たい!」「楽しみ!」という感情を鳥取に持ってきたい。「鳥取の自然があるから、また来たくなった」、そう思ってくれる人を増やしていって、鳥取の自然を楽しむ人を日本の外にも広げていきたい。そうやって鳥取でもっともっと楽しめるようにしていきたいんです。
鳥取にはそのポテンシャルがある、と思っているぼくの本心です。
世界には「最先端のキャンプ場」とか「広くて綺麗なスキー場」などいいものはたくさんあります。そんななか「日本の鳥取氷ノ山にあるキャンプ場」や「スキー場」があってもいいし、そこがたまたまでも初めて訪れた場所になって、「また来たい」と思えることがいいものであることと同じレベルで大切なんじゃないかなと思います。だからいいものを目指す。それを届ける努力をする。
より楽しめる場所になるよう追求していけば、きっと訪れたい場所になるはずです。
見方を変われば、集まる人も変わる
とはいえ、スキー場運営初年度の今、いきなり大きな問題に直面しています。
雪が、降りません。
スキー場にとっては致命的で、人が来ないどころか、スキー場を開くことができないのです。(頼む…雪よ…降って…)
でもそれは初年度から大きな気づきになりました。降るかもわからない雪に頼った運営はとても危険だということです。ここでもしそれ以外のアプローチができれば、もっと運営の可能性が広がるはずだし、訪れる理由を増やすことができます。すると、ここにもっと賑わいが生まれると思うのです。
もちろん雪が降るに越したことはありません。降らなければ運営ができないのは事実です。
でも、それがただ立ち止まる理由にはなりません。
今回のアメリカ視察も含めこれまで訪れた旅先で得た経験から事業のアイデアが生まれたり、拠点づくりのヒントになってきました。楽しかった場所での思い出や見たもの、聞いたことを生かしていけば、ここに訪れる理由を作っていける。今雪が降らない時だからこそ、そう実感しています。
今あるものに、もっとワクワクを
じゃあ、どうやってまた訪れる理由を作っていくか?
そこで力を入れようとしたのが「アライアンス」でした。企業との連携のことで、まだ届いていない層に届けていくことの可能性に気づいたんです。
キャンプ場やスキー場などのアウトドアには「ギア」が必要です。そこにはたくさんのブランドがあって、よりいいもの、新しいものを探して選ぶことができます。テントも、寝袋も、机もイスもいろんな選択肢があります。
でも「キャンプ場×〇〇」、「スキー場×〇〇」にはキャンプギアの中にもまだまだ未開拓の領域があり得るうえに、さらに楽しいと思えるワクワクを作っていけると感じました。
たとえば、「デリカミニ×キャンプ場」です。
アウトドアギア「デリカ」に、SUVらしい力強いスタイリングの軽スーパーハイトワゴン「デリカミニ」と、運営が新しく変わりリブランドしたわかさ氷ノ山キャンパーズヴィレッジのコラボが実現しました。
「たくさんの遊び道具と、家族の遊び心を運び続ける」をコンセプトに、一緒にイベントも計画しています。
キャンプ好きはキャンプに使うギアも大好きでこだわりがありますが、キャンプに乗っていく車もキャンプに合うものを選びます。リアルなキャンプ場でキャンプに合う車を見たり、テントなどキャンプギアとの相性や雰囲気を味わえることは、それだけで楽しいワクワクを生んでくれます。
今他にもキャンプ場、スキー場運営でも新しい施策を進めているところです。これからは新しい「訪れる理由」を作っていきます。
また来たい場所が見つかるって、いい
ぼくらは鳥取県に国内の人はもちろん、世界中の人たちが訪れる理由を増やしていき、また来たい場所づくりをしていきます。すると「夏も行ったあそこに、冬にも行ってみようか!」と、日本に再訪する場所が生まれます。
夏も行って、冬にも行く。同じ場所でも、また違った体験ができる。
それってすごく「いいな」って思うんです。
自分の生まれた国や地元を大切にするのはすてきなことです。
でもそこに「この国も好きだな」「あの季節もいいな」が加われば、一回では終わらないつながりが生まれます。一度きりでなく、また来たい場所が増えていくと、もっと楽しめるし、大切な思い出が増えていくと思うんです。
自然やアクティビティを体験することは、思い出をよりリアルなものにしてくれます。
「一回だけの旅行」から、「一年の間にまた訪れる場所」をつくる。それはきっと鳥取に限らず、リアルで楽しめることで生まれるものだと思います。
「来る人が楽しめる」と「地元が賑わう」を両立させたい
ここまで「また来たい場所」についての話ばかりしてきました。
一方でぼくらはその地域のことも一番に考えています。最後に地元を盛り上げていきたいという考えをお伝えします。
目指すのは、「来る人が楽しめる」と「地元が賑わう」が両立する状態です。
地方が賑わうというのは、どんどんと人が減っていっている日本の現状の中でも、あそこに楽しい場所があるから、自分も盛り上げたいという地元の人の気持ち。この両方を共存させることです。どちらかが欠けていたら続かないと思うんです。
最近の地方創生でよく見るのは、「移住者を増やそう」という外部からの人を増やす考え方です。でも、それがうまくいっていない現状があることも事実で、本当の意味で続かないと思うんです。やっぱり、誰がその地域を盛り上げたいと思うか。それを見直すことが大事です。
ぼくらが運営し始めたスキー場は、昔から長らく働いてる人も多く、地元出身者もいます。
運営元はぼくらに変わったわけですが、ぼくはそういった長くその地域の変化を見てきた想いのある人たちと一緒に賑わいを作っていくべきだと思っています。
人口減少の問題は止まりません。
それでも、たった3000人の地域に、それをはるかに上回る人たちが訪れるキャンプ場とスキー場、宿泊施設があるわけです。
これからは、人がまた来たくなる仕掛け、場所作りで解決していくしかありません。
今まであったキャンプ場やスキー場をリブランディングしたり、企業と連携することで魅せ方を変える。すると新しい層も来るようになって経済的ですし、有休資産が活用されて、楽しめるコンテンツと賑わいが生まれる。
そのサイクルを継続していくためには、コンテンツを作るだけでなく、それが維持される運営体制を両立させていかなくてはなりません。
TOTTORI CAMP PARKとして、一人でも多くの人に広げていく。それが地方が盛り上げることにもつながる。
また来たい場所を作って、また来れる場所にしていく。
それが「TOTTORI CAMP PARK」として目指す、本当の意味での地方創生です。
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