「50歳を目前に、“地域と関わる仕事” を選びました」
今回取材をしたのは長年、印刷会社で働いてきた塚田展弘さん。民間企業に勤めながらも、自治体の広報誌を通じて地域と向き合うなかで、自らの人生と仕事の意味を見つめ直し、LOCUS BRiDGEに転職しました。
民間出身者として、市民の目線を忘れずに働くその姿は、ここで働く醍醐味を教えてくれます。
塚田 展弘(合同会社LOCUS BRiDGE 広報)印刷会社で28年、あらゆる紙媒体のデザイン業務を担当。北本市職員時代の林代表と共に制作した広報きたもと「財政特集」が全国広報コンクールで入選(北本市初)。「伝わるデザイン・理由のあるデザイン」が信条。2024年10月より現職。
転職の決め手は “純粋に面白そうだった” の一択
「LOCUS BRiDGEに転職する前に働いていたのは、印刷会社でした。18年間、細かいものから大きいものまで、いろんな印刷物を手掛けましたね」
物腰柔らかく、落ち着いた声のトーンで話しはじめる塚田さん。ベンチャー企業への転職というチャレンジングな選択に至った背景にはどんなものがあったのでしょうか。
「印刷会社に勤めていた時に、自治体さんの広報誌も担当してまして。その時、埼玉県北本市の広報誌『広報きたもと』の制作を一緒に行っていたのが当時、北本市役所職員だった林代表(現、LOCUS BRiDGE共同代表)だったんです」
数年間タッグを組んで北本市の広報誌をつくってきた塚田さんと林さんですが、林さんの独立をきっかけに、別々の道を歩み始めます。そしてその数年後、再び塚田さんと林さんが交わるきっかけが。
「ふるさと納税業務が中心だったLOCUS BRiDGEが、だんだんシティプロモーションや広報の相談も受けるようになっていて。そのタイミングで『一緒に自治体の広報を良くしていきませんか?』と林さんからお声がけいただいたんです」
あと実は私、明後日に50歳になるんですよ。年齢的に考えても、転職はなかなか難しいんです。そんな中でいただいたオファーが『面白そう』と思えるものだった。迷う理由なんてなかったんですよ」
全く迷いがなかったという塚田さん。とはいえ、新しい挑戦は多かれ少なかれ勇気が必要なもの。それを凌駕するほどの「面白そう」にはどんな理由があったのでしょうか。
「自分が50歳になって、65歳の定年まで、あと15年なんです。定年後ってみんな地域に戻ると思っていて。私の父もずっと仕事人間で、地域との関わりがなかったのに、定年後は地域の支援を受けたり、市のサークルに顔を出したり、ボランティアに登録したりしてるんですよ。
そんな父の姿を見ながら、自分も地域に戻るんだろうなと思ったら、残りの15年も、地域に関わる仕事をした方が、今までの延長線を生きる人生よりも、ずっと楽しい未来があるんじゃないかと思ったんです」
大事なのは「市民目線」。自治体の発信を翻訳する仕事とは
広報誌の仕事を通じて、自分が住んでいる地域でも活かせそうだと思うことが多々あるという塚田さんは、常に一人の市民として、自治体と市民の間に立ちながら「どうしたら地域の魅力が伝わるのか」「伝えたいメッセージが受け取りやすくなるのか」を考え続けていると、楽しそうに話します。
「今の私の仕事は、市民の皆さんに、生活に関わる情報を届けること。だから、私も市民目線で『こういう広報誌なら読みやすいのでは』と提案できるのは、大きなやりがいですね」
「読みやすい広報誌」と一言に言っても、自治体から発信される情報は、量が多かったり、制度の難しい話があったりと、そもそも複雑さを帯びていることが日常茶飯事。そんな情報と塚田さんはどのように向き合っているのでしょうか。
「常に私は市民目線で整理し直しています。何を一番に伝えたいのかを明確にして、読みやすい形に編集していく。私はデザインは “機能美” だと思っていて。大事なのは見た目ではなく、情報をどう整理して伝えていくのか。この構造こそがデザインであり、本質だと思うんです。機能美を司るのが自分の役割ですね」
ブレずにデザインの軸を持っているさんですが、とはいえ、迷いが生まれる時もあると話します。
「迷った時には『どっちが市民目線なのか?』を基準にしています。繰り返し繰り返し、この判断を重ねれば、自然と “市民に伝わるもの” になっていると思っていて。伝わる・届くものをつくるって難しいんですよ(笑)。でも立ち返るキーワードがあると、それだけで随分違います」
自立性・主体性が高く元公務員が多いからこそ、学べること
長年勤めた会社を辞めて転職したベンチャー企業。前職とのギャップや、やりにくさはなかったのでしょうか。
「LOCUS BRiDGEは会社の雰囲気が自由で、部署の壁もなくて、いい意味で “会社っぽくはない” と思います。年齢関係なく、お互いにディスカッションをしたり、長期休みをバラバラにとったり、昼食を自分のタイミングでとったり。ルールに縛られずに、自分たちで理想をつくっていくスタイルは新鮮で、最初は戸惑いましたね」
多くの自治体に求められ、受託案件が増えていくとともに、社員も増え、急成長しているLOCUS BRiDGE。人が増えていけばいくほど、ルールで縛る方が組織の運営は簡単である一方で、個性や主体性は伸び悩むもの。ですが今のLOCUS BRiDGEをみて、塚田さんが感じていたのは “自由” と “自立” でした。
「LOCUS BRiDGEのメンバーは一人一人が自立して考えながら動いているんですよ。『自由だけど、なあなあにならず、責任を持って動いている組織』ってなかなかないと思います。ここは日々、経営陣が示す姿勢や発言の影響が大きいとも思っていて。皆さん、外から見るとコミュニケーション能力が高くて柔らかい印象なんですが、メリハリをつけて仕事をされている姿は、社員みんなが見習っていると感じます」
LOCUS BRiDGEに入社する前から、すでに広報誌のプロフェッショナルだった塚田さん。ですが、LOCUS BRiDGEに入ってから学んだことも多いと話してくれました。
「特に思うのは “元公務員が多い組織” ならではの視点ですね。私自身は “市民目線での提案” や “わかりやすさ・親しみやすさ” が強みだと思うんですが、元公務員メンバーには “制度の背景” や “行政の意図” を深く理解しているからこそ、表現できるものがあって。
なので、例えば『この提案だと市民には届かないのでは?』『これは条例の都合上こうなっているから…』と、フィードバックをもらうことも。お互いの視点が補い合えている感じがとっても嬉しいんですよね。それぞれの視点を大事にしながら、役に立つ広報誌をつくっていきたいと思っています」
人生の後半戦をどう働くか――。
その問いに「地域と関わる仕事がしたい」と答えた塚田さん。
市民としての目線、民間出身者ならではの感覚、そして “機能美” へのこだわりを持って、日々、自治体と地域をつなぐ広報を手がけています。
LOCUS BRiDGEには、経歴や年齢に関係なく、自分の強みを活かしながら新たな挑戦ができる場所があります。あなたの経験も、きっとこの場所で活きるはずです。