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中学に入るまで漢字が書けなかった私がForbesライターになるまで

こんにちは、Gozioki代表の吉田です。Goziokiでは『〜世界とGET INVOLVED〜』をテーマに掲げ、世界との繋がりを大切にしています。今回は「中学に入るまで漢字が書けなかった私がForbesライターになるまで」について書いていきたいと思います。

なぜ漢字が書けなかったのか

私は生まれたのも、育ったのも、海外であります。小さい頃に少しだけ日本に住んでいた時期もあったのですが、本格的に日本での生活を始めるのは中学校からです。

私の両親は日本人ですので、海外に居る頃も家の中では日本語が使われていて、(少し変だったかもしれませんが)私自身は日本語を「話す」「聞く」ことに関しては大きな問題はなかったと思っています。

ただし海外でアメリカンスクールに通っていたので、日本語を「書く」「読む」機会はなく、これらを大変苦手としていました。特に苦手意識を持っていたのは「漢字」です。小学生時代、私はほとんど漢字を知らなかったので、日本の中学校に入るに当たって、その点がもっとも不安でありました。

これは今だから言えることですが、自分の中学時代を振り返ると、実は「漢字が書けないこと」は最大の問題ではなく、「自己主張し過ぎてはいけない日本的文化に馴染むこと」が最大の問題でありました。ただ入学前の時点ではそこまで見通せていなかった訳で、とにかく「漢字が書けないこと」に怯えていました。

星新一との出会い

私が中学1年ときに国語の授業を担当していた大森先生という人がいました。大森先生は授業の中で「星新一」を取り上げていました。「星新一はペンネームで本名は星親一である」や、「父が創業した星製薬の経営を継ぐがうまくいかなかった」など、その時の授業のことを昨日のことのように覚えています。今思えば、大森先生自身が星新一の大ファンであり、だからこそ、生徒の記憶に残るような熱のこもった授業ができたのだと思います。

星新一と言えば「ショート・ショート」です。「ショート・ショート」は「短編小説」と呼んで良いのか分からないぐらい短い、ほんの数ページで完結してしまう短い話です。星新一はこの「ショート・ショート」を1,000編以上生み出している、ショート・ショートの第一人者であります。

中学生であった私が、大森先生の授業で星新一に出会ったことで、ショート・ショートの世界にどんどんとのめり込んでいきます。話自体が短いので、漢字が苦手な私であっても、読み始めるに当たってのハードルがとても低かったです。また内容が主に宇宙人などが登場するSFなので、中学生にとっては非常に親しみやすいテーマでありました。

今でも覚えています。中学1年の夏休みに、私が渋谷駅前の紀伊国屋書店(現在は場所が変わってしまっていますが)で初めて買った星新一の本が『妄想銀行』です。

星新一 『妄想銀行』 | 新潮社
星新一 /著 605円(税込) 本の仕様 読み仮名 モウソウギンコウ シリーズ名 新潮文庫 発行形態 文庫、電子書籍 判型 新潮文庫 ISBN 978-4-10-109814-2 C-CODE 0193 整理番号 ほ-4-14 ジャンル 文芸作品 定価 605円 電子書籍 価格 605円 電子書籍 配信開始日 2012/12/21 ...
https://www.shinchosha.co.jp/book/109814/

それ以降、私は中学の3年間で、数え切れないほど星新一の本を読むことになります。ほとんどがショート・ショートですが、長編小説やエッセーも読みました。そして星新一のエッセーに度々名前が登場する、同じくSF作家である筒井康隆を知るに至り、そこから星新一以外の作家の本も次々と読むようになります。

中学生の頃、寝る間も惜しんで夢中になった星新一と数々のショート・ショート。これがあったお陰で、私は中学を卒業する頃には、「普通の日本人中学生」くらい漢字を理解していました。私が無事に漢字でキャッチアップができたのは、読書の「量」をこなしたからであります。「3年間でしっかり漢字をキャッチアップできるぐらい中学生は柔軟な脳を持っているのか」と大人になった今では、当時の吸収力を羨ましくも思います。

「短編小説を書く」授業

話は前後するのですが、小学生時代の私は海外にいました。アメリカンスクールに通っていて、そこで「English」という授業がありました。これは日本の小学校で言うところの「国語」に該当するものです。「English」の授業では、文法を学んだり、様々な話を読んだりする訳ですが、日本の小学校で行われる「国語」と決定的に違う(と私が理解している)のは、文章を書く「量」の多さです。

日本の「国語」の授業にも「作文」はあります。小学生であれば、遠足の話や、家族と一緒に行った旅行のことなど書いたりすると思います。「English」の授業では、「小説を書いてください」というものがありました。授業の最初に「今日は小説を書きましょう」と先生が言い、その日は45分間、静かに全員が黙々と小説を書き続けます。ちなみに手書きです。45分間で書き終わらなければならないので、短編小説になります。

小学生男子はだいたい、「夜歩いていたら宇宙人に遭遇した」みたいな話になるのですが、100%フィクションを作り出す訳で、いわゆる「作文」とは少し異なります。先生は全員の小説をしっかりと読み、文法ミスを赤ペンで直して、次の授業でノートを返却してくれます。そしてこの「小説を書いてください」は、少なくとも週に1回はあったように記憶しています。「小説」ではなく、「詩」を書くことありました。

小学校時代、英語で「たくさんの文章を生み出す」ことをしていたお陰で、自分の根底には「文章を書くことに対する抵抗の少なさ」みたいなものがあるのではないかと思うことがあります。

数え切れないほどの「面談メモ」と「出張レポート」

時間が少し飛びますが、今度は私が社会人になってからの話です。私は大学を卒業した後に総合商社に就職し、営業職に就きます。お客さんを訪問したり、お客さんと電話会議・テレビ会議をしたり、国内外の出張に行ったりと、典型的な営業職らしい時間の過ごし方をしていました。

そしてお客さんと話せば「面談メモ」を書く、海外出張に行けば「出張レポート」を書く、社外とのやり取りだけに留まらず、社内でも重要な打ち合わせがあれば「備忘録」の形で記録を残す。このように相当な「量」の文章を総合商社勤務時代に生み出していました。

小学校時代に英語で短編小説を書いていましたが、社会人がビジネス上で書く文章と比べれば、その「量」はたかが知れています。また私は日本で過ごした学生時代に人より多く文章を生み出していた訳ではありません。そう考えると、総合商社勤務時代ほど私が「日本語で文章を大量に生み出していた」ことはありませんでした。

社内で展開される「面談メモ」や「出張レポート」は、当たり前ですが、読み手にしっかり理解されることを意識して書かれる必要があります。これは社内レポートに限らず、どんな文章に対しても言えることかもしれませんが、社内レポートはすぐに上司や同僚からフィードバック・質問・指示が飛んできますので、特に意識をしていました。

そして社内レポートで正確に情報を伝えようとすると、文章の書き手である自分がとても正確に内容を理解し且つそれを分かり易く整理する必要があります。総合商社時代に大量の文章を生み出していたプロセスに於いて、自分としては「頭を整理するためのトレーニング」をしてもらったような感覚を持っています。手前味噌で恐縮ですが、「書くこと」の重要性は、自分のYouTube動画の中でも話をしています。

Forbesライターになる

話が時系列的にあちこち飛びましたが、中学3年間で読書の「量」をこなしたことで、私は漢字のレベルが普通の日本人くらいまでにはキャッチアップすることができました。総合商社勤務時代、文章を書く「量」をこなしたことで、文章を通じた日本語発信に於いても日本人の平均レベルに到達することができたのではないかと思っています。

そのような経緯を経て、現在私は、日本語でForbes JAPANオンライン上に記事を書く立場となりました。海外で生まれ育った私だからこそ、日本社会のグローバル化に関して思うところもあり、色々な人が色々なことを考えるためのきっかけの一つになればと、グローバル関連記事を執筆しています。

吉田 健太朗 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
1982年イギリス生まれ、フランス育ち。慶應義塾大学経済学部卒、ダートマス大学タック経営大学院(MBA)修了。三井物産、UUUMを経て、2018年Gozioki株式会社を設立。日本語、英語、中国語、フランス語に堪能。
https://forbesjapan.com/author/detail/1434

Gozioki

このように中学時代や、総合商社勤務時代を経て、自分自身がどんどん変わっていると感じています。そしてこの変化を通じて、私は「人間が他人や環境からポジティブな影響を受けるプロセス」にとても関心を持つようになりました。この経験があって、現在私は教育・人材事業に携わるようになりました。

世界との繋がりを大切にするGoziokiでは、多様な経験をお持ちの皆様をお待ちしています。必ずしもグローバルな経験である必要はありませんし、これまで働いてきた期間も特に問いません。皆様にご自身の価値観を持ち込んでもらえれば、それが必ずやGoziokiにとっての戦力となります。どうぞよろしくお願いいたします!

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