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第三章:初めて数字を見た日の絶望

ある日、父親がぽろっと言った。「新しいマシニング欲しいな」正直、思った。いや、そんな金あるのか?と。マシニングと言えば最新式ので2000万円はくだらない。現場を見ていても、余裕なんて感じたことは一度もなかった。新しい工具を買うにも大騒ぎで、古い工具を使いまわしていた。自分の給料も、手取りで15万円くらい。しかも、周りの社員より低い。理由を聞いたら、「お前は仕事ができないから当然だ」と。マジかよ、と思った。でも、その言葉よりも引っかかったのは別のところだった。この状態で、新しい機械を買おうとしていること。本当に大丈夫なのか。誰もちゃんと考えていないんじゃないか。そう思った。だったら、自分で...

第二章:この会社、大丈夫なのかと思った日

しばらくして、少しずつ現場の全体が見えるようになってきた。そして思った。これ、やばいんじゃないか、と。まず、人が入ってこない。そりゃそうだと思った。油まみれで、床は汚い。周りは加えタバコで仕事してる。しかも火のついたままの吸い殻を、そのままドラム缶に捨てる。正直、引いた。こんな環境に、誰が入りたいと思うんだろうと本気で思った。でも、それが当たり前だった。誰も違和感を持っていない。そして月末になると、父親が怒り出す。「なんでこんなに売上が少ないんだ」その時、初めて自分の中で違和感がはっきりした。いや、それは当然じゃないかと。受注管理もしていない。営業もしていない。来た仕事を、ただこなしてい...

第一章:何も知らずに、現場に放り込まれた

2011年、中国の大学から帰ってきて、そのまま会社に入った。正直、経営のことなんて何もわからなかった。売上も利益も、原価も、何一つ理解していない状態。で、どうなったかというと、いきなり現場にぶち込まれた。NC旋盤を触れ、と。研修なんてない。マニュアルもない。教えてくれる人もいない。とりあえずやれ。自分で覚えろ。それがスタートだった。最初は本当に何もわからない。どうやって刃物をつけるのか、どうやって寸法を出すのか、全部ゼロ。でも関係ない。とにかく機械を回す。金属を削って、切り子を出して、納品する。それがすべてだった。当時、父親から言われたのはこれだけ。「機械を触る以外は仕事じゃない」正直、...