しばらくして、少しずつ現場の全体が見えるようになってきた。
そして思った。
これ、やばいんじゃないか、と。
まず、人が入ってこない。
そりゃそうだと思った。
油まみれで、床は汚い。
周りは加えタバコで仕事してる。
しかも火のついたままの吸い殻を、そのままドラム缶に捨てる。
正直、引いた。
こんな環境に、誰が入りたいと思うんだろうと本気で思った。
でも、それが当たり前だった。
誰も違和感を持っていない。
そして月末になると、父親が怒り出す。
「なんでこんなに売上が少ないんだ」
その時、初めて自分の中で違和感がはっきりした。
いや、それは当然じゃないかと。
受注管理もしていない。
営業もしていない。
来た仕事を、ただこなしているだけ。
それで売上が伸びるわけがない。
でも、そんな話はどこにもない。
現場は回っている。
でも、会社は前に進んでいない。
このままで本当に大丈夫なのか。
その疑問が、初めてはっきりと頭に浮かんだ。