【ハマザスDX(デラックス)第7観測ポイント】
「デジタルの知識は要らない」後編
日本のデジタル行政トップのこの言葉は、特に中小企業におけるDX推進の本質にあてはまる。
緊急事態宣言が解除された今、宴席も増えており、経営者同士が飲み会をする機会が多くなったが、中小企業経営者宴席で必ず話題にのぼるのが経営課題であり、特にコロナ禍をきっかけにしたDX推進。今回はその後編。
前橋:「実は先日、ベテランと若手で、現場の様子をビデオで撮ることで話し合ったんだけど。若手は技術継承とか、ベテランの技術を次の世代に残したいからと。で、ベテランもそれはわかるけど、ビデオに撮られるとなると色々調子が狂うから、ちょっと考えさせてくれと。」
芝:「ベテランの人もビデオに撮られることは嫌じゃないんだ。」
前橋:「そう。意外とね。できれば最高の状態で残してほしいと。」
マル:「で、前橋さんは、それをどうしたいわけ?」
前橋:「実は、うちの作業場、二つの倉庫を改造して拡張したので、現場の人の流れとか作業効率が必ずしも良くなくて。もしビデオ撮影できれば、レイアウトとか、効率的な人の配置変更とかできないかと思ってね。今までベテランさんに遠慮してたから、なかなかビデオ撮影したりするのが難しくて。」
芝:「それは面白いねー。実は知り合いの会社で、工場の工程を全部ビデオで撮影して、足りないところや改善できる作業を簡単なロボットに置き換えたりするDXのソリューションをやっているところがあるよ。そうすることで、効率だけじゃなく、安全性とかも高まって、また整理されて綺麗な工場になることで、女性社員にも好評になったりするらしい。」
マル:「へえ〜。社内の衝突を避けるのに、ロボットに代わってもらうことにもなるのか〜。面白いアイデアだよね〜。」
三人は大いに盛り上がり、一次会では話は尽きないようですが、後日Webで続きをやろうということで意気揚々でそれぞれの帰路につきました。
中小企業のDXは社員同士の距離も近いこともあり、当事者同士だけでは衝突することも多く、かといって社長を入れてもなかなかうまくいかないこともあります。
経営コンサルタントに相談するのも一つの手ですが、見える化できてる経営指標はわかっても、現場の最適化などは、より専門的な企業に相談するのもありです。
DXは、デジタルが基本にありますが、デジタル化することが目的ではなく、デジタル化することで起きるメリットとデメリットを客観的に評価して、自分達にまずやるべきことは何か?と整理することから始めるのが成功の秘訣のようです。要するに自分ごとに置き換えた上で、デジタルでやることとアナログのまま残すことが大事。決まった方針をトップダウンで押し付けるのではなく、混沌とした過程にあえて社員を巻き込んで、当事者意識を醸成するのも、中小企業におけるDX推進における経営者の大事な役割です。
※本コンテンツは、日経クロステック/日経コンピュータ 「「デジタルの知識は要らない」、では縦割りに苦しむ最前線はデジタル監に何を望むのか」2021年 9月3日版を参考にいたしました。
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00551/00005/?i_cid=nbpnxr_child