a16zのThe State of Consumer Tech in the Age of AIと見て思うこと。
ちょっと前から言われていたのかもしれないけれど、a16zのPodcastで、「Velocity is the moat 」というキーフレーズがあり、ちょっと面白いと思ったので、記述しておきます。
参入障壁の変遷(ざっくり振り返り)
1. PC〜Web1.0(1990年代)
- Moat:技術的独自性・特許
- 高額な R&D とクローズド情報で守れたが、OSS/API で再現コストが激減。
2. Web2.0(2000年代)
- Moat:ネットワーク効果(ソーシャルグラフ・二面市場)
- Winner-Takes-All だったが、モバイル分散で複数サービス共存が当たり前に。
3. モバイル/SaaS 勃興(2010年代前半)
- Moat:UI/UX 差別化+垂直統合
- SDK が黎明期で再現が難しかったが、デザインテンプレとローコードでコピー容易に。
4. クラウド at Scale(2010年代後半)
- Moat:巨大インフラと資本力
- データセンター投資がハードルだったが、マルチクラウドとセルフサービス SaaS で低下。
5. 生成AI時代(2020年代〜)
- Moat:Velocity(学習・改善の速さ)
- モデル・機能は即コピーされる一方、高速リリース→データ複利→さらに高速化 のループは模倣が難しい。
上記はChatGPTのDeepResearchの結果なので、どこまで正しいのかわかりませんが、元々は機能が参入障壁になり、機能が模倣される頃にはネットワークエフェクトやブランドの確立が行えていたと思うのですが、生成AIの進化により、ソフトウェアを書くということのハードルが激下がりしてしまい、ネットワークエフェクトやブランドとしての確立をみるまえに模倣されてしまう自体になった、ということだと思います。
結果として、機能やUIを長期的な強みとするのは無理ゲーになりつつあります。
もちろん短期的な強みとしては機能すると思いますが…
実際、どんなに優れたAIのモデルも、というか最高のものはOpenAIやGoogleがAPIで提供しているわけですし、オープンソースのモデルをファインチューニングして内製化することで特定のドメイン向けにより良いもの、より気の利いたものを作ることはできますが、それが長期的な強みをなるかと言われると、ちょっと考えてしまいます。
作りあげるモノは短期的な優位性を生まない以上、短期的な優位性を産み続けられるかどうかが重要になり、それを疾さという単語で表現しているのかな。
面白いと思う一方で、仕組みとしてVelocityを実現できないと、ただ「努力します」とか「頑張ります」になってしまうので、「こんな仕組みにより我が社は疾いのか」結果として「こんなスピードでこんなことが実現できています」が説明できないとダメですよね。
たとえば、毎週アップデートしていますとか、実際の成長率とかを示せないといけないですよね。あれ、成長スピードって元々スタートアップの世界では最重要指標だった気がするので、そういう意味では何も変わっていないのかな…
みなさまはどう思いますか?
a16zのThe State of Consumer Tech in the Age of AI
https://www.youtube.com/watch?v=we9mNqAW_5I