3Dデジタルツールを数多く取り扱っているシステムクリエイト。
弊社では取扱製品でどんなことができるのか日々検証しています!
そこで“こんなコトやってみた!”をご紹介するレポート、
略して「みたれぽ」をお届けします!!
前回の記事ではアセンブリ品(=複数の部品から1つのものを組み立てたもの)の中身がどうなっているのか知りたい!ということでルービックキューブをCTスキャンで解析してみました。
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このせっかく撮ったデータをそのままにして終わるのはもったいない!
ということで今回は…
前回得たDICOMデータを3Dデータ化して実際に造形してみます!!
まずはプリント準備!
今回は、粉末焼結積層方式(SLS)方式の3Dプリンタ「Fuse 1」を使用して造形します。
◎SLS方式って?
粉末状の材料にレーザーを当てて焼き固めることで、造形する技術です。
粉末のため、この形式では支えとなる部分は焼き固めることはしないのでサポートレスで造形することができます。
初めに、ソフト(PreForm)でプリント設定を行います。
スライス断面を見てみると、内部構造もはっきりと形が出ているのがわかりますね。
材料はPA12(ナイロン)、積層ピッチ0.11mmの設定で、プリント時間は3時間23分、
冷却時間は5時間40分という計算結果になりました。
ルービックキューブとご対面
プリント完了!
早速粉末を取り除いて確認します。
取り出してみると、ブロックの微妙なズレなど細部までデータ通りに表現できているようです!
これは期待できるのでは......?!
そして回してみると…
“そのままの3Dデータ”じゃ回らない!
なんとブロック同士が繋がってしまっているみたいです!!!
元のCTスキャンデータを確認してみると、ワーク自体のクリアランス(=隙間)がかなり
小さいのがわかりました。
データ取得の段階でくっついていたんですね......
忠実に形状を再現できる3Dプリンタだからこそ…
しかしここで終わるわけにはいかない.....!!
というわけで第二ラウンド!!
次こそ成功させるために、データを整えていきます。
気になったポイントは以下の3つ!
キューブが動かなかった一番の要因として考えられるのは「全体が一体化していたこと」
①CTスキャンでデータを取得した時点で、全てのブロック同士がくっついていたので、
各ブロックを分割し、独立させます。
加えて、データの形状を一つひとつ確認しながらブロックを修正して整列させて、
一定量のクリアランスを設けました。
②SLS方式では焼結していない部分の粉末はそのまま残ってしまいます。
今回のような中空形状のモデルも例に漏れず、中に粉末が閉じ込められてしまうんです......
このキューブの中空部分には可動機構があり、
粉末が残っていると回転させることができないのでかなり困ります!
そこで対策として、ブロックの表面を別パーツで嵌合キャップにし、
プリント後に粉末を取り出せる構造にしてみました!これで何とかなるはず!
③仕上げにデザイン面で気になったところの修正を行います。
そのまま作ってしまった時のモデルを見てみると、色もなくすべて同じ面で構成されていました。
このままではルービックキューブとして遊べない💦
ということで各面にアルファベットを入れることにしました!
これでかなり分かりやすくなった!!
いざリベンジマッチ!
見た目から機能性までまるごと複製できるのでしょうか...?
さっそく造形し、モデルを取り出します。今回カギとなるのが、粉末の除去!
Fuse Sift(粉末を払う専用の機械)で全体の粉末を払った後、
細かい部分をサンドブラスタとデンタルフロスで除去していきます。
クリアランスを設けた細かな部分もしっかり除いて、回してみると…
これは感動です!
それでは前回の変更点がちゃんと反映できているか確認していきましょう!
まずは一番気になっていたブロック間のクリアランスですが、
隙間に残った粉末を取り除くとそれぞれのブロックが分かれ、
クリアランスが取れていることが確認できました。いい感じ♪
続いて可動部。
キャップ式にしたパーツはブロックと嵌合するようになっており、開閉が可能です。
中空部分に残った粉末を取り除くことができるので、可動部への干渉はなし。
内部の可動パーツがきちんと嵌合していることが見て取れます。
最後は、面を判別できるように各面に追加した文字の確認です。
0.5mmの深さの凹文字ですが、アルファベットがきれいに出ていますね。
これなら面を揃えることができるので「ルービックキューブ」と呼べるものが完成しました!
無事CTスキャンで取得したデータからルービックキューブを複製することができました!
サポート材不要というSLS方式のメリットと、細部まで様々な表現に対応できる
Fuse 1の特長が十分に表れた結果ですね!
いかがだったでしょうか?
他にもたくさんの3Dデジタルツールを使って「やってみたレポート」を発信しています!
今後もどうぞご期待ください!!