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創業ストーリー ~今に至るまでのお話~

1.研究所として発足

 後にバブル時代の幕開けとも呼ばれた1980年代の中ごろ、我々の組織は真珠会社の海洋生物研究所として開所いたしました。当時の真珠業界は業績は大きく拡大していったものの、沿岸環境の悪化や疾病等による生産不調も各所で散見されるようになってきていた時代です。

 そこで当時、より高い品質の真珠を効率的に供給するための様々な施策を発信するべく設立されたのが弊社の前身となる研究所でした。1986年に開所し、2009年の譲渡に至るまで、真珠貝に関する様々な画期的成果を世に送り出し続けました。例えば病気に強く、生産歩留まりの高い真珠貝系統を確立しただけでなく、アコヤガイ以外の新たな真珠貝の養殖の実現や細胞培養技術を応用した試験管の中で生まれる真珠の開発等も実施しておりました。さらには、真珠貝だけでは飽き足らず、イセエビを民間企業としては世界で初めて育て上げたり、試験用生物としてアメフラシを自家採苗し、納品したり。ほかにも資源量が減った海域に放流する目的でナマコを採苗、飼育して供給するなど、まさに増養殖の出発点に関わる様々な試験研究を行っていました。

2.譲渡、そして法人化

 真珠会社の研究所として20年以上運営されてきた当所ですが、会社の事情により譲渡されることとなりました。そして2009年2月、研究職の人材サービス会社であるWDB株式会社(現WDBホールディングス株式会社)に当所の施設、知財、人員の全てが継承され、WDB環境バイオ研究所として再始動する形となりました。

 WDBグループはバイオ、化学、工学分野の研究開発現場で働く人材の派遣業を中心に展開している企業グループです。当時、この派遣サービスにおいて会社として問題視していたことの一つに、派遣登録している方々のうち、その一部に元々パーマネントな働き方(正社員)を求めていたものの、うまく働き先を見つけられなかった方々が含まれており、その方々の不満の受け皿にWDBグループがなることができていない、ということがありました。そこで、そうした方々に対して派遣就業以外の進路を提示するとともに、派遣就労以上の付加価値を社会に還元できる仕組みを作り、解決にあたろうと考えました。そのような背景から誕生したのがWDB環境バイオ研究所でした。

 WDB環境バイオ研究所は、WDBグループにおいてバイオ系の方々の受け皿となるべく、元々真珠会社時代に培った技術やノウハウ、リソースを応用する形でリスタートし、譲渡の翌年、2010年10月に子会社として法人化を果たしました。ただ、元々がいわゆる「研究所」であり、つまり独り立ちした組織ではありませんでしたので、所内の考え方や慣習は依存的・前例主義的、かつ経費は固定で発生する一方、何をどのように作って誰にどうやって販売し、収益を上げていくのか、というそもそもの部分を急ピッチで立ち上げなければならず、その上にWDBにおける派遣事業との相乗効果を構築していくことは至難の業でした。

 法人化の前後からグループ内異動という形で元々派遣就業していた数人を加え、当初の目的を達成するべく新規事業の模索を進めたり、既存ノウハウを商品化に結び付け新たな市場を開拓したりなど、組織内に前例のないことに挑戦を続けながら、少しずつ事業体としての形を作っていきました。

3.そして次なるステージへ

 WDBグループに編入されてから10年弱が経過した2018年、グループの事業再編の中でWDB環境バイオ研究所はWDBを離れることが決まり、新たな株主の元再出発することになりました。設立から32年が経過し、開所以来長らく「大きな組織の一部」として運営されてきた当所ですが、ここで本当に、完全に独り立ちした事業体として再々出発を果たします。

 まず決めたのは、我々が研究所時代から子会社時代を経て培ってきた財産の中で、何を「核」とするかでした。元々はアコヤガイの育種を中心とした研究を進めるための一機関でしたが、この30余年で様々な水生生物の増養殖に取り組み、さらに研究開発、商品開発の受託サービス等にも取り組んだ組織において、最も力を発揮すべきことは「水産業界に科学的なアプローチを持ち込む」ということと「健全な事業群の形成」でした。業界に今欠けていて、我々が得意とするところ、大事にしたい事を「核」にしたいと考えました。

 水産業界は成り立ちとその構造上、公と私があいまいで、かつ経験や経緯、業界慣習など属人的な要素に因るところが非常に大きいという特徴があります。元々明治政府が現在の水産業の大まかな形を作って以来、大きなゲームチェンジは起こりませんでした。ただその間世の中は変わり、外国産の水産物の輸入が進み豊かな水産物による食卓を演出する一方、進行した干拓等による沿岸域(=生態系)の消失、家庭排水や災害対策を目的とした護岸整備由来の沿岸環境の悪化、その過程で起こる過剰な採捕と資源量の減少、そしてメジャーチェンジしない漁業の形と儲からない事業からの人材の流出など、業界を維持することはできないレベルまで悪化が進んでいます。

 我々としては、もちろんうまく機能している部分や集落の文化的伝統はきちんと残しつつ、諸外国のような成長産業たる水産業の再興を目指し、海を取り巻く諸問題すべてに合理性あるアプローチを行うべく、「海の事をなんでもやる会社」として社名を「うみの」とし、これに取り組んでおります。

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