夜空に1000機のドローンが浮かび上がるショー。その裏には、顧客への提案から企画、航空法に基づく申請、関係者との調整、現場での設営まで、地道な仕事が積み重なっています。株式会社協和産業でドローンショーの営業を担う加藤一真さん(ドローン事業部 本部長 ドローンショーディレクター)に、華やかなショーを実現するための地道な仕事と、そのやりがいについてお話を伺いました。
氏名:加藤 一真
所属部署:ドローン事業部 本部長 ドローンショーディレクター
経歴:京都府出身。東京で十数年テレビ制作に携わり、地元へ戻って約10年前に株式会社協和産業へ入社。2016年にドローン事業を立ち上げ、販売・レンタル・許可申請代行へと広げたのち、2024年にPRドローンショーを本格始動させた。
お客様の「やりたい」を聞き、ショーの本番まで伴走する
── 加藤さんの現在の業務内容を教えてください。
加藤:ドローンショーの営業全般を担当しています。お問い合わせをいただいたら、まずは目的や予算、会場、希望日をお伺いし、地図上で飛行可能かどうかを一次判断します。そのうえで見積もりをご提示し、現地の下見で飛行エリアや周辺環境を確認する流れです。案件によって見積もりと下見の順序は前後しますが、費用や実施条件をご確認いただき、ご契約へと進みます。デザインは、お客様が実現したい企画を一緒に考え、当社のデザインチームで制作しています。
デザインが完成した後は、飛行のプログラミング作業に入ります。一般的なドローンのように手動で操縦するのではなく、1機ずつの動きをプログラムで制御するんです。例えば300機のショーであれば、300機分の動きを事前に作り込みます。必要な申請や関係者との調整も進めながら、最後にリハーサルを実施し、いよいよ本番を迎えます。
現在は私が営業からショーの実施に向けた調整まで幅広く担っているため、営業に専念していただける方を迎えたいというのが、今回初めて専任営業を募集する背景です。
これまで実施してきたイベントは、自治体様の周年イベントやプロスポーツ、祭りや花火大会、企業様のPR、学園祭など幅広いです。直近では、東北楽天ゴールデンイーグルス様の球場で800機のショーをさせていただきました。
── 一つのショーの準備期間はどのくらい必要なのでしょうか?
加藤:案件の規模にもよりますが、本番の2ヶ月ほど前から動き出すのが理想です。500機から1000機にのぼる大規模なイベントや、飛行条件が難しい場所では、3ヶ月ほどかかることもあります。
営業は複数の案件を並行して進めるため、スケジュールごとに締め切りを整理しています。特に8月はお祭りやイベントが集中する時期なので、担当案件が重なることも多いですね。
── 一つの案件には、どのような関係者が関わるのでしょうか?
加藤:主催者や自治体をはじめ、イベント運営会社や広告代理店など多岐にわたります。会場の管理者や警備担当者との連携も欠かせません。もちろん、音響や照明、花火を担当される方々とも綿密な打ち合わせを行います。
申請関係では、当社は主に航空法に基づく許可・承認の申請を担当し、管轄の航空局や空港事務所とやり取りをしています。一方、警察や消防への届出、海上保安庁や河川の管理者などとの調整は、基本的に主催者側の担当です。私は、その進捗を確認しながら、必要な資料を提供するなどしてお手伝いしています。
総じて、立場も専門用語も異なる方々から話を伺い、整理して実施へと導く調整力が必要ですね。
── お客様からのご相談は、どのくらい具体的な状態で来るのでしょうか?
加藤:「漠然とドローンショーをやりたい」「予算感を知りたい」といったご相談が多いですね。まずはそこから目的を深く掘り下げて、何をやりたいのかを明確にしていきます。お客様が観客に何を見せたいのかを、ヒアリングを通じて一緒に整理していくんです。
最近は同業の会社も増えてきており、相見積もりになるケースも非常に多くなりました。そのため、お問い合わせに対して即時対応することを常に心がけています。
また、単なる要望への回答にとどまらず、一歩踏み込んだ提案をすることも意識しています。選んでいただくための工夫を考えながら動くため、高い傾聴力や対応力が求められますね。
── 当日のショーにも営業担当は同行するのでしょうか?
加藤:はい、私たち営業担当も必ずショーの現場へ同行します。機材を運搬して搬入し、機体を配置して、一つひとつバッテリーを入れる作業も行うんです。会場内を歩き回って、関係各所に電話をかけるなどの連絡業務も担います。ショー自体には華やかなイメージがありますが、その裏側ではかなり地味な作業もやっているんです。
特に本番直前は、安全のために天候や風の状況確認が絶対に欠かせません。事前に決めていたタイミングで、どうしても飛ばせないケースも発生し得ますから。そうした際、スケジュールの変更を関係者へ的確に伝えるのも営業の重要な仕事です。
現場のリアルな状況を知っているからこそ、お客様に説得力のあるお話ができるんですよね。パソコンの前で提案書を作るだけでは、分からないことが現場にはたくさんあります。だからこそ、これから入社される方にも、現場でリアルな状況を体感することを大切にしてほしいと考えています。
進行調整から安全確認まで担い、自分の企画が形になる瞬間を見届ける
── 加藤さんの普段の1日の流れを教えてください。
加藤:出社後は、案件の進捗とメールの確認からスタートします。午前中は社内の制作メンバーとの打ち合わせや、見積もりの作成といった事務作業が中心です。午後はお客様とのオンライン会議をはじめ、提案書や演出構成の作成などに充てることが多いですね。各種申請に必要な情報の整理を行うことも、重要な業務の一環となります。下見が入っている場合は実際の会場へ足を運び、現場の障害物や観客の位置などを確認します。
── ショー当日の一日の流れも教えてください。
加藤:会場入り後は、主催者や運営会社と、当日の進行、会場の使用状況、天候の確認を行います。そこから機材の搬入を一緒に行い、離陸場所への機体配置を進めていく形です。バッテリーや通信状態のチェックに加えて、リハーサルの補助まで幅広く担当しています。現場の状況をお客様へ報告し、予定通りに進行できるか関係部署と調整するのも営業の役割です。
また、観客の方の動線や警備体制が整っているかどうかも、常に気にかけているポイントです。もし不十分であれば、主催者に改めて対応をお願いすることになりますね。本番はパイロットが機体を操作するため、着陸後の機体を一緒に回収し、最後にお客様へご報告します。正直なところ、ショー当日は早朝から夜遅くまで現場にいることもあります。
── これまでに難しい状況に直面したことはありますか?
加藤:ゲリラ豪雨で、急遽ショーが中止になったことがあります。また、当日の電波干渉によって、ドローンを飛ばせなかったケースもありました。ドローンは無線で制御しているので、天候だけでなく、周囲の電波環境にも左右されるんです。
台風のように何日も前から予測できていれば、お客様にもご理解いただきやすいかもしれません。しかし、前日や当日に電波の問題で中止となると、「なぜ飛ばせないのか」という反応になってしまいますよね。だからこそ、ただ「できません」と伝えるのではなく、きちんとしたエビデンスを示すことが重要です。安全第一であるという部分をご理解いただくための、真摯な交渉が必要になります。そうした事態に備え、中止の判断基準を事前にしっかりとご説明しておくことも、普段から強く意識しているポイントですね。
── ドローンショーの営業でやりがいを感じるのはどのような瞬間ですか?
加藤:「ドローンショーをやりたい」という漠然とした相談だったものが、実際にショーとして形になり、目の前で飛んでいるのを見たときですね。何度も打ち合わせを重ねてきたショーを、観客の方が「すごい」と驚いたり喜んだりしてくださる。その姿に、やりがいを感じます。
お客様から「すごく良かったよ」「また来年もやりたい」と言っていただけるのも嬉しいですね。
地道な作業も経験するからこそ達成感を得られる
── どんな方がドローンショーの営業の仕事に向いていると思いますか?
加藤:本番の日程は絶対に動かせないので、逆算して動くことが求められます。立場の異なる関係者と協力しながら一つの成果物を作り上げる、イベントや映像制作の営業を経験された方は非常に活躍しやすいと思います。途中で要望が変わることや、確認や修正が多く発生することも珍しくありません。当日に向けた締め切りが動かないという前提を理解されている点は、大きな強みですね。
そうした経験のある方は、お客様の言葉を制作側に翻訳し、制作側の事情をお客様へ説明する力に長けているケースも多いです。
── ドローンの知識がなくても挑戦できるのでしょうか?
加藤:はい、ドローンの専門知識がなくても大丈夫です。入社後は先輩について、お問い合わせへの対応や見積もり、提案資料の作成などをお任せします。現場にも同行して、機材の搬入から撤収まで経験してもらいます。
3ヶ月程度で基本的な流れを理解し、その後は先輩のサポートを受けながら、小規模な案件や既存案件の一部を担当します。半年から1年で、条件整理から提案までの一連の流れを任せられる状態が目標ですね。ただ、安全判断を伴う仕事であるため、無理に一人で決めない姿勢も大切です。分からないことは、どんどん周囲に聞いていただければと思っています。
── 最後に、ドローンショーの営業職への応募を検討している方へメッセージをお願いいたします。
加藤:ドローンショーと聞くと華やかなイメージを持たれるかもしれませんが、実際は現場作業や細かな調整も多い仕事です。出張もありますし、休日や夜間に本番が入ることもあります。現場では設営から撤収まで担います。だからこそ、提案から現場での準備まで携わったショーが形になると、達成感は大きいですね。
ドローンの知識は入社後に学べるので、まずは人の話をきちんと聞いて、分からないことを確認しながら、自分から動ける方に来てほしいです。営業経験を活かして、新しい市場を一緒に作っていきたい方をお待ちしています。