皆さんには「大切にしている言葉」はありますか?偉人の名言だったり、恩師の一言だったり。その言葉は時に自分を励まし、時に寄り添ってくれるものですよね。
今回は、株式会社brexの松尾さんにインタビュー。一度絶望を味わった松尾さんが救われた言葉と、それを伝えるためにbrexでしている仕事を聞きました。
「あの先生みたいになりたい」絶望から目指した作業療法士
ーーよろしくお願いします!まずは簡単に自己紹介からお願いします。
株式会社brexの松尾といいます。短大を卒業してからは、疾患によって身体や脳の機能が落ちてしまった方の機能を向上させるリハビリの病院で、作業療法士として努めてきました。
作業療法士というのは、簡単にいうと「その人が、自分らしく生きていけるような手伝いをする」職業です。
日常で必須となる「食事をする」「服を着る」「字を書く」などといった能力や、地域社会とのコミュニケーションなどといった、人が生きていくために重要なことをサポートします。ケガや疾患で日常の動作ができなくなることに、大きなショックを受ける患者さんも少なくありません。そんな人のメンタルケアをするのも私たちの仕事の一つですね。
ーーどうして作業療法士を目指そうと思ったのでしょう?
興味を抱いたのは中学生からで、実際に自分の中で固まったのは高校生のころですね。中学生のときに大きなケガをして、2ヶ月近く学校に行けなかった経験をしたんです。思春期ど真ん中の時期だったので、学校にも行けないし友達にも会えないことのショックは大きかったですね。課題にも身が入らないし、「自分の将来どうだっていいな」と。
そんな時に出会った作業療法士の先生が、私にとってはとても良かったんです。派手さはなくて謙虚で落ち着いた雰囲気の方でしたが、だからこそ一言一言が身に染みたといいますか。その先生は、銀行員から作業療法士に転職するといった珍しいキャリアをお持ちでした。そんな先生の「人生はどこからでもやり直せる」という言葉には、説得力があったんです。
他にも、「今どんな気持ちであろうとも、生活はこれからも続いていく」という言葉もいただきました。その言葉があったから、この先の生活を無駄にしないようにリハビリを頑張ることができたんだと思います。
退院してからも「あの先生みたいな作業療法士になりたい」という明確な像を持って高校生活や短大生活を送れたと思いますね。
喉がカラカラになるまで話した面接。ここで活躍したいと思えた
ーーそんな出来事を経て作業療法士としての勤務。今回転職に踏み切ったのはなぜでしょうか
ひとつは「自分の価値をもっともっと高めたい」と感じたからですね。病院でずっと勤務することももちろん選択肢の一つでしたが、もっと広い世界を体験してみたくなったんです。
他の仕事を経験していけば、「〇〇もできる作業療法士」という付加価値がつきます。自分のスキルアップやキャリアアップを考え、転職活動を始めました。
最初にbrexを見つけたのは福祉系の求人媒体でしたが、一目見て「おもしろそうだな」と。私の勤めていた病院はとても歴史があったので、「こんなに新しい事業所って、どんなところなんだろう」という興味が強かったですね。
実際に面接してみると、代表の深谷の想いがビシビシ伝わってきて、気づいたら私も夢中になって話していたことを思い出します。面接が終わった頃には喉がカラカラでしたね(笑)。ここなら私の思った仕事ができるかもしれない、とbrexへの入社を決めました。
ーーbrexに入社してから、どのような仕事をしているのでしょうか?
就労継続支援B型作業所(※1)のメンバーとして働いています。障害によって一般就労が難しい利用者さん一人一人のできる作業を考え、社会との繋がりを作る仕事です。他の企業さんから作業を委託してもらうので、その担当者さんとの打ち合わせや調整も大事な仕事ですね。
私が感じる病院との大きな違いは、退所(退院)するときの利用者さんの表情ですね。病院って、万全の状態で退院できることってあまりないんです。だから患者さんの表情もどこか不安げで、私たちも不安や心配を持ちながらの見送りになることが多いんです。
でも今、ここを巣立っていく利用者さんの表情は明るいですね。ここで過ごすことで、利用者さんが自分の未来を明るく捉えることができているのかな、と。就職に限らず、卒業の理由は様々ありますが、どの利用者さんも良い表情で巣立っていくので、そこは病院では味わえない大きなやりがいだなと思います。
ーーbrexで今後、どんな社会人になっていきたいですか?
作業療法士としてのスキルをもっと活かしていきたいですね。今の利用者さんとのコミュニケーションを、これまで培ってきた医学的な根拠をもって行えるようになっていければ、自分自身のスキルだけでなく、事業所自体のレベルも上がっていくと思っています。
あとは、今の私の上司である後藤のような支援員になっていきたいなという気持ちもあります。どんな人とでも打ち解けて、深い話ができる。私自身「今いい話ができたな」と思う瞬間は、大きなやりがいを感じる瞬間でもあるんです。
関係が深くなったからこそできた話とか、目標や目指すべき場所が明確にできるような話が、自然とできるような支援をしていきたいなと感じます。
私がどん底の時にもらった「人生はどこからでもやり直せる」「どんな気持ちであろうとも、生活はこれからも続いていく」のメッセージを、さまざまな要因で就労が難しい利用者さんに届けられたらいいですね。
ーー他にも魅力的なメンバーがいる、brexにはどんな方が向いているんでしょうか
毎日の変化がとても大きい会社です。その時々の状況や人数によってもスケジュールが変わったり、その場にいる利用者さんも変わります。そんな変化を楽しめるようであれば、まず大丈夫ですよ。
そんな気持ちがあれば未経験であっても全然大丈夫です。キャリアチェンジをするにも良いかなと思います。「誰かの役に立ちたい」と思った経験があれば、きっと活躍できると思いますよ。
※1:就労継続支援B型作業所
障害のある方に就労の機会や生産活動の場を提供する事業所。生産の対価として「工賃」を受け取りながら、必要な知識やスキル向上のためのサポートを受けることができる