伊豆大島のホテル再生で直面した“複雑すぎる権利関係”と、たった一人の奮闘記
はじめに
HOTEL Flarito 伊豆大島は、廃墟だった分譲マンションをリノベーションし、新しい地域の拠点を生み出すプロジェクトです。
しかし、再生のスタートラインに立つまでには、想像以上に時間と労力のかかる“見えない障壁”がありました。
それが、**「複雑に絡み合った所有権・借地権・抵当権などの権利関係」**です。
この壮絶な権利調整を、私たちは外部の専門家に頼らず、プロジェクトリーダーである小島が実質ひとりで2年かけて完遂しました。
今回のストーリーでは、その過程と「なぜ自らその役割を担ったのか」を、正直にお伝えします。
プロジェクトのはじまりにあった“迷宮”
- 舞台は築43年の分譲マンション
- 所有者は20名以上。中には相続放棄や法人倒産も
- 抵当権付きの部屋、住み続ける借主、所在不明の権利者…
本来なら不動産専門家のチームが年単位で取り組むべき内容でした。
それでも、「このプロジェクトを誰かが進めなければ」という想いから、代表の小島弘嗣が自らすべての権利関係の整理に着手しました。
書類ではなく、“人”と向き合う仕事だった
権利調整というと、登記簿や契約書を読み解く作業と思われがちです。けれど実際には、人の記憶・感情・背景に触れながら、ひとつずつ対話を積み重ねる仕事でした。
- 古い住所を辿り、全国に散らばる権利者を探し出す
- 相続や登記の放置に向き合い、裁判所や管理人と調整する
- 何十年も住んでいた借主と、退去と未来について話し合う
どれも正解のない問いに向き合い、正面から対話し続ける必要がありました。それは、不動産ではなく「記憶」「誇り」「家族の歴史」に触れることでもありました。
朽ち果てたマンションエントランス
荷物が散らばる退去当時の部屋の様子。
なぜ、一人でやろうと思えたのか
プロジェクトリーダー・小島の言葉です。
「正直、やりたくなかったです。でも、誰もやりたがらない。じゃあ自分がやるしかないと腹を括りました。」
「こういう“面倒くさいけど重要なこと”に向き合わないと、地域の再生なんてできないと思っています。」
この姿勢があったからこそ、プロジェクトは一歩ずつ、しかし確実に前に進みました。
時間をかけて信頼関係を築いた結果、地元の方々との関係も深まり、今では30名を超える関係者が関わるプロジェクトにまで育ってきました。
工事中のHOTEL Flarito 伊豆大島の一室
“面倒な仕事”こそ、未来を変える力がある
HOTEL Flarito 伊豆大島は、ただの宿泊施設ではありません。
廃墟を再生し、地域に新たな関係と価値を生み出す「まちづくり」のプロジェクトです。
だからこそ、最初の一歩として、最も地味で、複雑で、誰もやりたがらない仕事に向き合う必要がありました。
このプロジェクトに関心を持ってくださった方、ぜひ次回のストーリーもご覧ください。
次回は、開業に向けて立ち上がった“共創チーム”の紹介と、「ホテルを通じて地域と都市がどうつながるのか」についてお話します。
プロジェクトを一緒に育てていく仲間を募集しています
- 離島での仕事・暮らしに興味がある
- 空き家・まちづくり・ホテル運営に関心がある
- 都市と地域の接点を自分ごととして考えたい
そんな方にこそ、このプロジェクトに触れてほしいと考えています。
2026年春の開業を目指し、運営・採用・仕組みづくり・地域連携など、まだまだ関わっていただきたいことは山ほどあります。
ぜひ、お話だけでも聞きにきてください。