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営業のプロからデザインのプロへ、 キャリアチェンジストーリー

「自分の手で何かを作り出したい」。その思いが、馬場を営業職からデザイナーへと導きました。ソフトバンクで法人営業として活躍していた馬場は、クリエイティブへの強い興味から、大胆なキャリアチェンジを決意。その挑戦の軌跡と、現在のデザイナーとしての仕事、そして将来の展望について語っていただきました。

営業職での気づきとクリエイティブへの憧れ

馬場は新卒でソフトバンクに入社し、法人営業として携帯電話やITサービスの販売に携わった。営業の第一線で活躍する中で、馬場は自身の仕事に対する価値観を徐々に形成していった。

「営業の仕事は、確かにやりがいがありました。お客様の課題を解決し、喜んでいただけるのは大きな喜び。でも、4年ほど経験を積む中で、次第に違和感を覚えるようになったんです。」

その違和感の正体は何だったのか。

「前職でやっていた営業は、アピールポイントが決まったサービスを売ることが基本だったので、そこにもどかしさを感じたんです。「自分以外の誰かがやっても売れるんじゃないか」とも思いましたし。自分ならではの価値を果たして生み出せているのか、疑問に感じるようになりました。」

一方で、馬場は元々クリエイティブやデザイン、広告に強い興味を持っていた。営業の仕事をこなしながらも、「自分で何かを作り出すこと」に魅力を感じていたのである。

「高校時代から、音楽や美術などクリエイティブな活動が好きでした。でも、就職活動の時点では、それを仕事にするイメージが湧かなかった。だからビジネスの世界に入ることを選びました。」

しかし、馬場の心の中で、クリエイティブへの思いは消えることはなかった。その思いが再び強くなるきっかけとなったのは、今でも親交の深い、高校時代の美術の先生からの一言だった。

「彼に『何のプロフェッショナルになりたいの?』と聞かれたんです。「営業のプロになりたいのか、それとも別の道なのか」と。その質問に、すぐに答えられない自分がいて。そこで初めて、自分の本当にやりたいことを真剣に考え直すようになりましたね。」



デザインスキルの習得と社内での経験

キャリアチェンジを真剣に考え始めた馬場は、まず行動を起こすことにした。そこで選んだのが、オンライン学習のUXデザインコースだった。

「ビジネス経験が活かせそうで、かつクリエイティブなことができるプロダクトデザインに興味をもちました。UIデザインの基礎やツールの使い方を学びましたが、正直なところ、これだけでプロのデザイナーになれるとは思えませんでした。でも、この経験が次のステップにつながったんです。」

学んだスキルを活かす機会として、馬場は社内副業制度を活用。新規事業開発部で半年ほどデザイナーとして働く機会を得た。

「不動産アドバイザーとのマッチングアプリを、ゼロから作るプロジェクトでした。実際のプロダクト開発に携わることで、デザインの実務を体験できました。ただ、チームを牽引するほどのデザイン力はまだなく、もっと体系的にプロダクトデザインを学ぶ必要性を感じました」

この経験から、馬場はより本格的にデザインを学ぶ決意をする。選んだのは、社会人向けデザイン学校での学習だった。

「デザイン学校での経験は、本当に目から鱗で、先生がビジネス視点で教えてくれたのが特に良かったです。ビジネスシーンにおけるデザインの現実的な側面や、チームでデザインを行う上での立ち回り方を学べましたし、改めてデザインとビジネスは切り離せないものだと気づきましたね。」

この学びを通じて、馬場のデザインに対する理解は大きく深まった。

「デザインって、単に見た目を綺麗にすることではなく、ユーザーの問題を解決し、ビジネスの成功に貢献すること。結局は営業もマーケティングもプロダクトデザインも全て繋がっている。そんなデザインの本質的な役割を理解できたのが、大きな転機でした」



デザイナーとしての転職と新たな挑戦

キャリアチェンジへの準備が整いつつあった頃、馬場の人生に大きな変化が訪れる。妻の海外赴任が決まったのである。

「妻の海外赴任が決まったとき、『今がチャンスだ』と思いました。新しい環境で、新しいキャリアをスタートさせる。それが最適なタイミングだと感じました」

そこで馬場は、本格的にデザイナーとしての転職活動を開始。様々な選択肢を検討した。

「UI/UXデザイナーとしてプロダクトづくりに携わりたいという思いが強かったんです。ただ、経験が浅いこともあり、なかなか選択肢がなくて...。営業経験を活かせる、ビジネス寄りのデザインコンサルティングも視野に入れて探していました」

そこで、FAKEを見つけた。

「今の会社を選んだ理由は、少数精鋭ながらも規模の大きい案件に携われる環境があったからです。また、ビジネス経験者をデザイナーとして迎え入れる文化があったのも、大きな決め手でしたね」

転職から3ヶ月が経ち、馬場はデザイナーとしての仕事に手応えを感じている。

「自分の手で行った作業が直接クライアントへのソリューションとして結果に反映されることにやりがいを感じています。営業時代は、自分の貢献が数字でしか見えないことも多かったけれど、今は目に見える形で成果を感じられ、プロダクトやチームを導く原動力になる。それが大きなモチベーションになっています」



キャリアチェンジからの苦労と乗り越え方

「本業デザイナーとして働いたのは初めてでしたが、営業として提案の場数を踏んできたことが非常に活きていると思っています。デザイナーであっても、基本的にはクライアントを納得させなければならないことには変わりはないので、自分の作ったデザインがどのようなユーザーニーズや事業課題の解決に繋がるのか、ミーティングの場で自分の口から説明することが重要だと思っています。

ただ、提案するデザインが一つでは議論が発展しないので、ユーザーニーズが曖昧な中で仮説を立ててデザインパターンを作ることには苦戦しました。初めの頃は自分の中でデザインの引き出しが少なかったので、一般的に広まっているビッグサービスの体験やUIをインプットし、自分の経験や想定課題と照らし合わせてパターン化する、その繰り返しで引き出しを増やしていきました。」

そんな苦労を感じつつも、FAKEの成長環境に強い魅力を感じている。

「クライアントの事業成長を見据えたデザイン提案から表層のUIデザインまで、業務の分け隔てなく幅広くデザインに関わることができるのが一番の魅力だと思っています。要件が固まり切っている中でデザイナーがクライアントとエンジニアとの板挟みになったり、分業体制で役割が細分化されすぎてしまうようなことが少ない。」

その意味で、FAKEのデザインドリブンの考え方には納得感があると言う。



デザイナーとしての展望と意気込み

馬場は、デザイナーとしてのキャリアをさらに深めていく意向だ。

「まだまだ学ぶことは多いが、デザインを通じて価値を生み出せる日々に喜びを感じています。営業時代の経験も、実は大いに役立っていますし、クライアントやユーザーの視点を理解し、ビジネスゴールを意識したデザインができる。それが自分の強みだと感じています」

今後の目標について、馬場は次のように語る。

「短期的には、技術的なスキルをもっと磨いて、あらゆるプロジェクトに柔軟に対応できるような人材になりたいです。長期的には、デザインとビジネスの橋渡しをしてクライアントのビジネスに大きなインパクトを与えられるデザイナーになりたい。そのために、今の環境で多くの経験を積み、より良いプロダクトづくりに貢献していきたいです」

営業職からデザイナーへ。一見すると大きく異なるキャリアパスだが、馬場はその経験を見事に融合させている。異なるフィールドでの経験を活かしながら、新たなキャリアを築いている馬場の挑戦は、キャリアチェンジを考える多くの人々に勇気を与えるものとなるだろう。

「変化を恐れず、自分の情熱に正直に向き合うこと。それが、キャリアチェンジの成功の鍵だと思います」そう語る馬場の目には、さらなる高みを目指す決意が輝いていた。





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