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いしはる、bitFlyer プロフェッショナルを探ってみた。#4 | AML 統括部マネージャー

こんにちは、いしはるです。

今回は、社員インタビューシリーズ第 4 弾!

金融犯罪対策の最前線で働く AML 統括部マネージャーに密着!


ー 自己紹介をお願いします。

AML 統括部でマネー・ローンダリング対策や CFT(テロ資金供与対策)を目的とした取引モニタリングや取引スクリーニング業務を主に行っています。もともとは法律に直接的に関わる仕事に就きたいと思い、大学は法学部に在籍し、国会議員の事務所でインターンとしても働きました。将来は法律の執行に関わる仕事に就きたいと考えていた中で、東日本大震災が発生しました。その際に外で活動している警察官の姿を見て感銘を受けたことがきっかけで警察官になりました。警察ではキャリアの大半で組織犯罪対策の刑事を担当しました。組織犯罪対策の仕事は扱う範囲が広く、暴力団やいわゆる半グレ、匿名・流動型犯罪グループ、外国人犯罪グループによる事件、薬物密売事件や裏カジノなどの賭博事件、特殊詐欺事件など、さまざまな事件を担当しました。ビットフライヤーには去年入社し、AML 統括部で働いています。


ー 前職が警察官とは異色の経歴ですね、なぜビットフライヤーで働こうと思ったのでしょうか。

警察捜査というのは相当コストがかかります。裁判で有罪判決が出るまで証拠を集めるのは、一般の方が想像される以上に時間がかかります。規模の大きな事件だと、1 つの事件に数年以上時間を要することがあります。やりがいに困らない仕事である半面、自分が直接関われる案件は限られます。それよりも、実際の現場で犯罪者がお金を隠す先となる金融機関でこれまでの経験を活かす方がより社会の役に立てると思い、民間企業で金融犯罪対策の業務を担いたいと考えました。

(警察官だった方が民間企業に転職して、金融犯罪対策の業務を担うケースは多いのでしょうか?)

海外の金融機関では金融犯罪対策の現場で多くの元警察官が活躍していますが、日本ではまだ少ないかもしれません。



ー AML 統括部での業務内容を教えてください。

当社や関連会社を経由した金融犯罪に関する情報の集約や分析のほか、内外の組織と連携して金融犯罪の未然防止や被害抑制につなげることが主な業務となっています。具体的には、お客様の実際の取引をモニタリングして、犯罪が疑われる取引がないかチェックする取引フィルタリングと呼ばれる業務や、経済制裁対象者などへの資金供与を防止するスクリーニング業務などを行っています。金融犯罪対策業務は、金融サービスを提供する金融機関の使命です。法令やガイドラインなどに基づいて、場合によってはお客様が取引された際に取引内容に問題がないか確認する「取引時確認」を行う場合があります。お取引を急いでいるお客様にはご迷惑をおかけしてしまいますし、暗号資産の送金の速さという利便性を損なっているとお叱りを受けることもありますが、暗号資産取引の健全性を保つためには欠かせない作業です。このほか、金融犯罪対策業務の高度化や合理化のために、ときにはほかの金融機関と情報交換して、金融業界全体で犯罪被害防止に取り組んでいます。



ー 前職での経験が現在の業務に生きていますか?

はい、生きています。組織犯罪対策で対象とする相手は職業的犯罪者で、お金を稼ぐことが目的です。組織犯罪を減少させるためには、その目的物である犯罪収益を剥奪することが最も効果的で、検挙と没収(付加刑としての没収)の両輪というのが組織犯罪対策の中心でした。職業的犯罪者は、手に入れたお金を素早く安全に警察当局や税務当局、ほかの犯罪集団から隠すために金融機関のサービスを利用しようとします。この際、自分の名義で高額な入金を行うと金融機関から疑われるので、その資金を偽装したり、他者の名義を利用して隠匿したり、ほかのアセットや不動産に変えたりすることで追跡しにくくします。これがマネー・ローンダリングの基本です。そもそもマネー・ローンダリング対策というのは歴史的には違法薬物への対策を目的として始まった経緯があり、薬物事件捜査を担当していた際に麻薬特例法という法律を扱うことが多かった私は、警察官の中でも犯罪収益への考え方や没収といった部分には親和性の高い経験値があります。



ー 暗号資産交換業者を選んだ理由は何ですか?

マネー・ローンダリング対策は、一つの金融機関や一つの国などで仕組みを作ったり対策に取り組んでも効果は極めて限定的で、FATF(金融活動作業部会)を中心とした世界的な協調が必要です。金融犯罪対策の対象の一つである職業的犯罪者は収益を上げることに真剣に取り組みます。一般の人にとって便利なツールや仕組みは、犯罪者にとっても便利です。最先端のツールの導入はむしろ犯罪者の方が早いことも多く、送金が早い暗号資産は現在、犯罪収益が集まる場所の一つとなっています。ちなみに、これは私見ですが闇バイトなどで話題になっている匿名・流動型犯罪グループ(いわゆるトクリュウ)は web3 でいう DAO(分散型自律組織)的であると思っていて、社会や技術の変化と同じように犯罪の在り方もどんどん変化していっている例だと感じています。犯罪者にとって便利なツールというのは、業界自らが健全性を保つ活動を強力に推進していかなければ、過度な規制がかけられ、産業としての成長が阻害されてしまいます。銀行などの伝統的な金融機関では、AML / CFT はある程度成熟しています。この点、暗号資産交換業は、まだ法的な整備が途上であり、環境も大きく変化しています。その最先端で働くことに魅力を感じ、この業界に飛び込みました。これまで犯罪と直接対峙する現場で培ってきた知識や経験が暗号資産交換業界の発展の一助になればと考えています。


ー そのなかでビットフライヤーを選んだ理由は何ですか?

ビットフライヤーを選んだ理由は明確で、代表の加納さんとの採用面接が決め手でした。AML / CFT は業界全体で取り組みが必要な領域です。その中で先端の取り組みをするためには業界トップレベルの会社で働きたいと考えていました。加納さんとの最終面接の際、金融犯罪対策に関する詳細な知識を確認する質問を受け、大きな衝撃を受けました。金融犯罪対策業務は金融機関にとって欠かせない業務ですが、どうしてもコスト部門であり、経営の理解がなければどれだけ熱意があっても取り組みを高度化することはできません。AML / CFT に関するガイドラインでも「経営陣の関与・理解」が必要であるという記述が複数個所にあります。この点、加納さんはまさに AML / CFT 業務の重要性を深く認識され、取り組まれていると感じ、ビットフライヤーで働きたいと思った大きな要因になりました。



ー 入社していかがですか?

私が想定していた以上に金融犯罪対策に力を入れていて、とても驚きました。刑事として働いていた際に複数の金融機関とやりとりする機会がありましたが、取り組み状況やレベル感は金融機関によって全く異なり、問題のある金融機関もいくつか存在していました。当社は、相当数の AML 関連資格保有者がいることはもちろん、実際の取引モニタリングや取引フィルタリングなどの業務においても相当コストをかけてしっかりとした取り組みを行っています。また、複数の警察組織から数年にわたって研修生を受け入れていて、ブロックチェーン解析の手法や現場の経験を持ち帰っていただき、捜査に役立てていただく取り組みを行っています。数ある暗号資産交換業者の中でも当社を選んで研修に来ていただいているのは、当社の取り組みが評価されている証だと言えると思います。


(写真・左:神奈川県警 崎山刑事部長 右:荒木執行役員)

去年 6 月には、神奈川県警察本部から感謝状をいただきました。これは、当社の取引モニタリング業務の中で不審な取引を発見し、ブロックチェーン解析による情報を提供したことにより、ベトナム人グループによる地下銀行事件の検挙につながったものです。このような表彰をいただいたことは、普段から真摯に取り組みを行ってきた結果であると思います。


ー こちらの本にはたくさん付箋がつけられていますね、よく読まれているのでしょうか?

はい、常にデスクに置いて読み返しています。今回、当社の金融犯罪対策を取り上げてもらうにあたって、ご紹介しておきたいのが中崎さん(金融犯罪を専門とする弁護士で当社の法務部長)の「詳説犯罪収益移転防止法」です。金融犯罪対策に関する法令は難解なものが多く、情勢の変化も激しいためキャッチアップするための情報収集や日々の勉強が欠かせません。中崎さんは金融犯罪対策の研究会を主宰したり、犯罪収益移転防止法や外為法に関する著書も出しているこの分野の第一人者です。私は前職の頃からこの本を参考にしていましたが、私がビットフライヤーに入社したあと、中崎さんも入社され、本当に驚きましたし、うれしかったです。

(愛読していた本の著者と偶然にも一緒に働けるというのはなかなかない経験ですね!)

私にとっては非常にラッキーで、毎日のように金融犯罪対策の専門家と議論させていただき、勉強させてもらいながら業務に取り組めています。


ー ビットフライヤーへの入社を志望する方にメッセージをお願いします。

暗号資産や暗号資産交換業を取り巻く環境、社会的役割は今後も大きく変化し続けていくと思います。当然その業界の金融犯罪対策の環境も日々変化し続けていくので、教科書的なものから学ぶというよりも、暗号資産業界における金融犯罪対策に求められることを自らで考え、取り組んでいくことが求められます。金融犯罪対策に取り組み暗号資産の健全性を担保していくことで、日本での暗号資産の発展の一端を担っていきたい、そんな志を持った方と一緒に働きたいです。


取材後記

前職で培った刑事としての経験を活かし、業界を引っ張るビットフライヤーの金融犯罪対策をさらに高度化させようと懸命に取り組む姿勢が非常に印象的でした。実務に基づく具体的な対策や犯罪組織に対する適切な対応、業界の健全性を守る使命感、そしてまじめな人柄が伝わってくるインタビューでした。今後もその情熱と専門性で金融犯罪対策の最前線を牽引していただきたいです。暗号資産業界に限らず、金融業界全体をみても当社の金融犯罪対策は高いレベルにあり、成長の機会が溢れていると思います。そんな当社で高いスキルを発揮していただける方のご応募をお待ちしております。






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