民間企業からの転職。2人が見つけた「この仕事だからこその面白さ」とは。【運営メンバー紹介/河口・百谷】
2021年10月に発足した「ひろしま好きじゃけんコンソーシアム」。これまでは難しかった産学連携の課題を洗い出し、解決の仕組みを構築している“次世代型DXオープンイノベーションプラットフォーム”です。会員企業数は70社以上、会員数は200名を突破しました。
目指しているのは、広島地域を中心とした新たなビジネスモデルや付加価値を創出し、地域経済をさらに活性化させること。では、コンソーシアム事務局で働くスタッフは日々どんなことに取り組んでいるのでしょうか。なかなか想像しにくい彼らの仕事内容や抱いている想いに触れてもらいたいと考え、運営メンバーにインタビューを行いました。
今回紹介するのは、アントレプレナー教育の推進マネージャーを務める河口亮介さんと、研究者の起業支援を担う百谷祐哉さん。民間企業出身である2人は、なぜ転職を決断したのでしょうか。また、前職と現職ではどんな違いがあるのでしょうか。転職者ならではの視点で、今の仕事について語ってもらいました。
アントレプレナー教育推進マネージャー
河口 亮介(かわぐち りょうすけ)
広島出身。新卒で株式会社広島銀行に入行。主に法人営業として、数々の経営者に対して投資信託や保険のご案内、融資の提案などを担当する。2022年9月より現職。現在は、コンソーシアムに加盟する7大学に向けて、アントレプレナーシップ教育を推進している。
スタートアップ推進マネージャー
百谷 祐哉(ももたに ゆうや)
大阪出身。新卒で広島の老舗食品製造会社へ入社。オセアニアでの海外営業や、社内システム導入や東南アジアの事業所出店計画などの推進担当として活躍。2022年10月より現職。GAPファンドの審査委員会の運営などを通じて、研究者の起業支援を手がける。
働きながら起業を学べる。迅速な意思決定がある。絶好の環境。
──前職ではどんな仕事をしていましたか?
河口:広島銀行で、主に法人営業として働いていました。地場で企業やお店を営むお客様に向けた融資のご案内や、投資信託や保険商品といった金融商品の提案をする仕事です。またアドバイザリーとして事業継承などにも携わりました。
百谷:私は、カニカマや卵焼きといった日本食材の「あじかん」という食品製造会社に勤務していました。1年目は、海外営業としてオセアニアの輸入商社へ法人営業を行いました。2年目からは海外企画推進部という部署に異動し、システム導入や、東南アジアへ事業展開するための企画立案などを手がけました。
──「ひろしま好きじゃけんコンソーシアム」の事務局へ転職した理由を教えてください。
河口:入行した当初は定年まで銀行で働く気持ちでいた私ですが、その一方で「友人と動画編集の会社を立ち上げたい」という密かな夢も持っていたんです。銀行でしばらく勤務しましたが、経験したかった仕事に一通り携わることができたことで起業への思いが強くなり、退職を決意しました。
会社を辞めてすぐ起業する道も考えていたのですが、ハローワークでたまたま「ひろしま好きじゃけんコンソーシアム」の求人に出会いました。そこで企画や事業運用など会社運営に役立つ経験がいろいろ積めると分かり、今の自分にピッタリだと感じて応募しました。
百谷:転職理由は大きく2つあります。1つは、同じ会社にずっと貢献するよりも様々な会社や人の役に立ちたいと考えていたこと。そしてもう1つは、前職が意思決定を慎重に行う会社だったため、よりスピーディーに物事が進む環境で働いてみたいと感じたことです。
試しに自分のプロフィールを転職サイトに載せたところ、広島大学からスカウトメールをいただきまして、それが出会いのきっかけになりました。面談でお話を聞いて、まず研究者を支援するという貢献性の高い仕事内容に魅力を感じましたね。また祖父が個人事業主ということもあって起業支援にも興味があり、選考に進むことにしました。
研究者との折衝、海外視察、起業支援など、毎日成長を実感。
──現在、どんな仕事をしていますか?
河口:ひろしま好きじゃけんコンソーシアムでは、学生起業家を育てるために「アントレプレナーシップ教育」の機会を増やす取り組みを行っており、私はその推進マネージャーを務めています。現状は「アントレプレナー」という言葉も学生に浸透しきっていないため、その存在や魅力を広めていくにはどうすべきか、策を練っているところです。
具体的な業務としては、アントレプレナーシップ教育のカリキュラムなどを話し合う「PSIアントレプレナーシップ委員会」の司会進行や意見の取りまとめ、企業と協働して行うインターンシップの窓口業務・運営、自治体から予算を獲得するための準備…など様々なものがあります。学生と接する機会も多いので、毎日が刺激的です。
百谷:私は、起業を目指す研究者の創業支援を行う「GAPファンド」に関わる仕事をしています。主に手がけているのは、国からの予算をどの研究者にどれくらい割り当てるかを話し合う「審査委員会」の運営です。各分野の研究者や専門家など総勢45名が委員メンバーとなり、審査項目に沿って研究者のアイデアや成果を審査していくのですが、その際の日程調整や意見の取りまとめを行うのが私の役目となっています。今はまだ入社間もないため、サポート業務を通して少しずつ知識や経験を積んでいます。
また、研究者の方々が起業に興味を持つような施策を考えるのも仕事のひとつです。起業に繋がるよう関係者を紹介したり、アントレプレナーシップ教育の側面からセミナーや交流イベントを企画したり…といった取り組みを行っています。
──現在の仕事のやりがいや面白さについて教えてください。
河口:この仕事は「令和8年度までに、中四国の学生の半数にアントレプレナーシップ教育を受講してもらう」という最終目標が決まっていて、そこに至るまでの細かなKPIは特に設けられていないんです。日々の仕事のゴールをどこに設定するかはすべて自分次第なので、自らの裁量で周りを巻き込みながら進めていく面白さがあります。前職では「半期で◯◯件の契約を達成する」と常に短期的な目標を自ら設定していたので、仕事の仕方はかなり変わりました。
最近嬉しかったのは、カルビー株式会社さんと開催したインターンシップが無事に終了したこと。ひろしま好きじゃけんコンソーシアムは設立してから日が浅いため、インターンシップの実績もまだ少ない状態です。今回大きな実績が作れたため、今後さらに多くの企業とタイアップができたらな…と期待しています!
百谷:先日、広島大学の研究者など5名とともにテキサス州のオースティンに行ってきました。オースティンは世界でも特にイノベーティブな街だと言われていて、この街のアントレプレナーエコシステムを学ぶプログラムに参加させてもらったんです。こんな経験、今の仕事以外ではできないですよね。とても勉強になることばかりでした。
その時に、帯同していた広島大学の研究者から「どうすれば起業できるのか分からないから教えて欲しい」と相談を受けまして。私が起業についてまとめられたプラットフォームを紹介したところ、「すごく役に立った」と直接感謝の言葉をいただきました。前職では自分がどう役立っているのかがあまり見えなかったため、目の前の人に感謝されるのはこんなに嬉しいことなのか…と感動してしまいました。
──前職の仕事や職場環境と比べて、現職にはどんな魅力がありますか?
河口:前職の顧客は地域に特化した地場産業の中でも、特に中小企業が多かったため、何をやるにも親会社などにお伺いを立てる必要があったり、経営者と出会っても自らの意志で物事を進めることは稀でした。しかし現職で対面するのは、自分たちで課題を認識して能動的に動いていく人や企業ばかりです。意思決定のスピードが速く、考えるべきことも多くて頭を悩ますこともありますが、今はそれが自己成長と感じており、すごく楽しいですね。
百谷:フラットな人間関係も、このコンソーシアムの大きな魅力だと思います。上長と呼べる立場の人はいるのですが、その方々も現場社員と同じくらい手を動かしていて、私たちと同じ視点で話してくれるんです。上司だからといって媚を売る必要はなく、仕事に必要なことだけを議論できる環境です。そして本当に仕事ができる方ばかりなので、自分自身の成長も感じられます。正直に言うと仕事は毎日忙しいのですが、こんな職場環境だからか、しんどさを感じたことはありません。むしろ、日に日にモチベーションが高まっていくんです。
将来の目標は、広島に「イノベーションの輪」を作ること。
──将来の目標やビジョンを聞かせてください。
河口:このコンソーシアムは、何らかのイノベーションが起きる可能性を秘めている場所ですから、より多くの大学・企業・団体に輪を広げていきたいです。そのために、まずは様々な実績を作っていくことが直近の目標です。
百谷:まずは、私の支援で研究者に創業してもらうことが第一の目標です。また、その方々が日本や世界で名を馳せる活躍をした暁には、広島に還元してくれたら嬉しいですね。先ほど話した海外視察で、イノベーションを成し遂げた研究者がその土地に寄付やアドバイスをして還元している姿を見たんです。そうやって知識や資金が次の世代へと循環していくんですよね。私も、ひろしま好きじゃけんコンソーシアムをそんな場所にしていけるよう尽力したいです。
──今後どんな方と一緒に働きたいですか?
百谷:本当に幅広く様々な方と関わる仕事なので、柔軟な考えを持っている方だと嬉しいです。上下関係や役職などに関係なく、お互いオープンマインドで働いていきたいです。「風通しのいい職場で働きたい」「お互いを高め合える人間関係の中で働きたい」とお考えの方には、かなりおすすめな職場です。
──事務局で働くにあたって、必要な経験や知識はありますか?
河口:いえ、特に「これがないとダメ」という経験や資格はありません。私も百谷も、今まさに働きながら必要なことを学んでいる最中ですからね。大切なのは、自分が今持っている能力をどう生かすか、自らで考えること。その意欲がある方を、心から歓迎します!
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▼お問合せ先
広島大学 ひろしま好きじゃけんコンソーシアム事務局
HP:https://www.sukijyaken.jp/contact
Mail:sukijyaken@ml.hiroshima-u.ac.jp
TEL:070-1542-7123