他社が手放したシステム開発の「炎上案件」を引き受け、完成まで導いてきたHornetVentures。現在はソフトウェアに加え、カメラAI「HACHINOS」やLEDディスプレイ「GEOLUME」といった、システムと連携できるハードウェアの企画・開発・販売にも挑戦しています。
なぜ、誰もやりたがらない仕事を選んだのか。なぜ開発会社がハードウェアを扱うのか。そして、どんな仲間と働きたいのか。代表の清水に聞きました。
■ 7社の経営、3度の失敗。その先で選んだのは「誰もやりたがらない仕事」
――まず、HornetVenturesを創業するまでの経緯を教えてください。
18歳から会社を経営していて、当時からずっとシステム開発に関わってきました。これまで7社を経営し、そのうち3社は廃業や倒産を経験しています。直前はゲーム会社の取締役を2年ほど務めていました。
廃業や倒産を通して学んだのは、お客様からお金をいただくことの重み、事業を続ける覚悟、そして人とどう向き合い、信念を貫き通すかということです。この経験が、今の会社の土台になっています。
他社のコンサルティングや自社の案件の進め方を見ながら、「もっと良い経営、良い事業とは何だろう」とずっと考えていました。そこでたどり着いたのが、いちばん効率が悪くて誰もやりたがらない、でもお客様にいちばん感謝される事業をやろうということです。心機一転してつくったのがHornetVenturesです。
――炎上案件に関わるようになったきっかけは?
最初は、ほとんど巻き込み事故のようなものでした(笑)。私が関わっていた事業の別の部分で開発ベンダーがいなくなってしまい、プロジェクトが止まってしまったんです。そこを立て直したのが始まりでした。
■ 炎上の本当の原因は、技術ではなく「伝わらないこと」
――多くの炎上案件を立て直してきて、見えてきたことはありますか?
炎上のいちばんの原因は、コミュニケーションが通らない現場と、1つのプロジェクトに何社も関わる多重請けの構造です。間に何社も入ると、意思が伝わるのがどうしても遅くなる。
だから私たちは、コミュニケーションのロスを仕組みでなくし、課題について常に議論できる体制をつくっています。そして、お客様が抱えている課題や「ここが嫌だ」という部分にも誠実に向き合う。そうすると方向転換がしやすくなり、お客様自身も気づいていなかった経営の課題まで、システムで解決できることがあるんです。
――特に印象に残っている案件を教えてください。
オリジナルTシャツ作成サービスの案件です。前の開発ベンダーが中途半端な状態で納品してしまい、お客様の社内で誰も運用・管理できない状態でした。
引き取ってから、既存のソースコードを活かして立て直すつもりでした。ところがコードが複雑に絡まり合っていて、熟練のエンジニアが見ても修正は難しい状況でした。
私たちは諦めて、全額返金することを決めました。そして発注してくださった会社に現金を持って伺ったんです。そのとき、その会社の社長からこう言われました。
「持って帰りなさい。その代わり、このシステムを最後まで作り上げてほしい」
そこから4か月、設計書から作り直し、無事に納品することができました。お客様と誠実に向き合うことの意味を、今でも思い出させてくれる案件です。
■ ソフトウェアだけでは、お客様の課題を100%は解決できない
――なぜ、開発会社がハードウェア事業を始めたのでしょうか?
AIが広く普及していく中で、いずれ「原点回帰」が起きると考えていました。つまり、ソフトウェアだけではお客様の課題を100%解決することはできない、ということです。
ハードウェアと掛け合わせてソフトウェアを構築することで、本当の意味での業務効率化や売上アップに貢献できる。そう考えたのがきっかけです。
――GEOLUMEとはどのように出会ったのですか?
大手企業2社が関わる3Dモニター販売事業の開発を、共同で担当させていただいたことがありました。その仕入れ先である海外メーカーを訪問した際に、人づてに紹介してもらったのが出会いです。
GEOLUMEは、電気を消すとただの壁、電気をつけるとモニターに変わるLEDディスプレイです。これまでのサイネージでは景観を損ねてしまっていた水族館や博物館、百貨店、店舗などにも導入できます。
――もう一つのプロダクト「HACHINOS」は、どんな思いから生まれたのですか?
原点は、生まれ育った実家のお店です。
家業が傾いたとき、なんとか立て直そうと走り回りました。それでも最後は、自分の手で店と家を手放す決断をしました。あのときの悔しさと情けなさは、今でも忘れられません。
立て直しの間、いちばん苦しかったのは「お店の中で何が起きているのかが見えない」ことでした。POSデータを見れば、何がいくら売れたかという結果はわかります。でも、現場に自分が立っていない時間に起きている小さな異変には気づけない。気づいたときには、もう手遅れなんです。
小さな違和感を早く教えてくれて、経営者の孤独な決断に寄り添ってくれる道具があれば、結果は違ったかもしれない。その思いから生まれたのが、カメラ映像で店舗の中を見える化するHACHINOSです。
HACHINOSは、防犯カメラを「守る設備」から「稼ぐ資産」に変えるサービスです。もう誰にも、あのときの自分と同じ思いをさせたくない。この事業には、そんな気持ちを込めています。
――開発会社だからこそできることは何だと考えましたか?
海外製品には「安かろう悪かろう」というイメージを持つ方も多いと思います。でも今は、安くて品質の良い製品が欧米にもたくさん輸出されています。
足りないのは、日本の使い方に合った仕組みです。私たちはこれまで、日本の文化に合わせた画面設計や使い勝手を、ユーザーやお客様の声をもとにいち早く改善してきました。その私たちが放映システムをつくれば、日本でも広く使ってもらえるものにできると考えました。
■ 営業には「お客様の声」を、エンジニアには「最適解」を
――今、どんな仲間を求めていますか?
営業の方へ。
私たちの軸はソフトウェアメーカーです。モノを売るだけではなく、お客様の課題を解決できることが、他社にはない私たちの強みです。お客様の声を一つでも多く拾い、お客様の成長に貢献してくれることを期待しています。
エンジニアの方へ。
エンジニアは、1人で何人分もの力を発揮できる仕事です。AIが登場したことで、できることの選択肢はさらに増えました。
だからこそ、最先端の技術を追いかけることよりも、今ある技術の中から最適な答えを選び、そこに独自の工夫を加えてほしい。そして、お客様や営業とのコミュニケーションを通じて、いち早く課題を解決してくれることを期待しています。
■ 身につくのは「誰よりも人に優しく、誰よりも自分に厳しい」器
――HornetVenturesで働く魅力は何でしょうか?
一言でいうと、「人格形成」だと思っています。
私たちは大きな会社でも、資金が潤沢な会社でもありません。年間休日や給与などは、できる限り一般的な水準で設定しています。ただ、それだけならどこにでもある会社です。
私たちが他と違うのは、お客様の課題に直接向き合うことです。だからこそ、しんどい場面や、目を背けたくなる場面を現場で見ることもあります。
そこで大切なのは、切羽詰まった状況のときに誰よりも冷静でいられるか。お客様の課題に対して、ブレずに行動できるか。その器を、この会社では身につけられると考えています。
誰よりも人に優しく、誰よりも自分に厳しい。それが身につく会社だと思っています。
とはいえ、私自身もまだ道半ばです。会社を経営する中で、自分の未熟さを痛感する場面は今もたくさんあります。私が教えることよりも、一緒に働く仲間から学ぶことのほうがずっと多い。私も一人前になるために、日々精進しています。
だからこそ、上から教え込むのではなく、仲間と一緒に成長していける会社でありたいと考えています。
■ 会社への忠誠心はいらない。大切にしてほしいのは、あなた自身の人生
――最後に、この記事を読んでいる方へメッセージをお願いします。
私は、仕事をするうえで会社への忠誠心や「会社に貢献しなければ」という気持ちは必要ないと考えています。それよりも、一人ひとりが自分の人生を大切にしてほしい。自分の人生の方向性と会社の方向性が重なるなら、その会社で働く意味があると思います。
社名の「Hornet」はスズメバチのことです。スズメバチはチームワークを大切にし、共通の敵には一丸となって立ち向かいます。
その気持ちを、お客様、一緒に働く仲間、協力会社の皆さまと分かち合いながら、日本の経済をもっと良くしていきたい。そう考えています。
少しでも共感していただけたら、まずは気軽に話を聞きに来てください。