林業未経験から、現場を任される存在へ。丹波市を拠点に山と共に働く会社「森のわ」で日々チェーンソーを握る黒木智成さん。動物に関わる仕事や温浴施設の店長を経て、まったく異なるフィールドから林業の世界に飛び込んだ黒木さんに、転職のきっかけ、現場での仕事、林業の魅力について語っていただきました。
ー まずはこれまでのご経歴を教えてください。
もともとは兵庫県農業共済で獣医として大動物に関わる仕事をしていました。その後は転職して温浴施設の店長をしていました。それから店長の仕事を辞めたタイミングで「次どうしようかな」と思っていたら、妻がグループ会社の「木栄(もくえい)」のことを見つけてくれて。
「体も動かせるし、うち薪ストーブだから薪が手に入るのもいいんじゃない?」って(笑)。正直、林業にはまったく縁がなかったけど、「確かにアリかも」と思って飛び込むことにしました。
ー 未経験からの林業。不安はありませんでしたか?
もちろん、不安だらけでした。道具も知らないし、山の現場なんてイメージすらつかない。でも、「とにかくやってみるしかない」と覚悟を決めました。
2年目には現場を任されるようになって、最初は手探りの連続。でも「緑の雇用制度」で資格取得のサポートをしてもらえたので、重機の操作に必要な資格などを取りながら現場で必要な知識を一つひとつ身につけていきました。
ー 現場での仕事には、どんな面白さがありますか?
一本一本、その木の向きや傾き、地形を見ながら「どの方向に倒すか」を考える。それだけじゃなくて、どこまで倒したらその後の作業がスムーズか、どこにリスクがあるかも瞬時に判断する必要があります。
まるでゲームをリアルにやっているような感覚。危険もありますが、だからこそ集中力が求められて、達成感も大きいです。
ー 「現場を任される」ことに対して、どんな想いで向き合っていますか?
単なる作業員としてじゃなく、自分の意思で動ける存在でありたいと思っています。会社という大きな機械の中で、言われた通りに動く歯車じゃなくて、「自分の意思で動く歯車でありたい」。
現場を預かるからには、コストパフォーマンスを意識し、事故なく効率的に作業を終わらせる責任がある。数字でも成果を見せられるように意識していますし、それがやりがいにもつながっています。
ー どんな方に「森のわ」に来てほしいと思いますか?
林業って「特殊な世界」と思われがちだけど、僕みたいに未経験からでも全然大丈夫です。必要な資格や知識は、入ってからちゃんとサポートしてもらえるので。
だから「体を動かすのが好き」「自然の中で働いてみたい」っていう気持ちがある人なら、きっと向いてると思います。
ー 今後、森のわでどんな役割を担っていきたいですか?
もっと現場を任せてもらえるように、信頼を積み上げていきたいですね。安全面にも気を配って、誰が見ても「安心して任せられる現場責任者」になりたいです。
あと、これから入ってくる人たちのいい“入口”になれたらとも思っています。未経験でもやれるよって、自分の姿で伝えていけたらいいなと。
ー 最後に、転職や移住に迷っている方へメッセージをお願いします。
やってみないと、何もわからないと思うんですよね。今の時代、転職なんて当たり前ですし、選択肢が増えてる分、迷うことも多い。
でも少しでも林業に興味を持ったなら、まずは一回、見に来てみてください。現場の空気を感じてもらえば、「あ、こういう世界もあるんだな」ってきっと思ってもらえるはずです。林業、面白いですよ!
冷静に。そして大胆に判断を下す林業の現場。“プロフェッショナル”としての誇りがにじみ出ていました。未経験からでも挑戦できる林業の世界。あなたも、一歩を踏み出してみませんか?