社員インタビュー第7弾は、代表の前田が学生時代に所属していた研究室の教授であり、アーバンエックステクノロジーズ (以下、アーバンエックス) にて取締役を担う関本義秀さん (以下、関本) に、前田と手を組むことになった経緯や、設立から2年半が経過したアーバンエックスについて語って頂きました。
ーーご経歴を教えてください。
関本:東京大学大学院にて博士課程まで進み、その後5年ほど国土交通省の研究所にて国家公務員として従事していました。5年ほど経過した後に大学に研究者として戻りました。
大学では、街づくりやインフラづくりに興味を持っていたので、同分野の専攻・研究をしています。
ーー街づくりやインフラづくりの面白さは、どんなところにありますか?
関本:スケールが大きいことと、それに紐づき成果がわかりやすいというのが面白いポイントだと思います。
また、近年では市民数人でも動かすことができるようになってきたのも面白いですね。「街づくり」と聞くと、偉いおじさん達がひっそり決めた事に皆が従って一生懸命街づくりしているのを想像すると思うんです。しかし今では、情報化・IT化が進んだ結果、「こう変えていきたい」という想いがある市民数人でデータやアプリをつくり、社会を動かせるようになってきたのは魅力のひとつだと思います。
ーー関本さんは代表の前田が学生の頃からのお知り合いとのことですが、一緒に働くようになるまでの経緯を教えて頂けますか?
関本:前田さんが大学3年生のときに、私の少人数セミナーを受講してくれたのが最初の出会いです。その後、研究室に入ってきてくれて、卒論、修論で今の原形となる研究が始まりました。
前田さんは大学を卒業後に民間企業へ就職したのですが、彼が行っていた研究が大規模自治体でも実証事業として採択されたため、「自治体プロジェクトを手伝ってくれないか?」と声をかけたところ、会社を設立する前提で承諾してくれました。
ーー「自治体プロジェクト」とは具体的にどのようなものだったのでしょう?
関本:「市民が街の不具合を見つけたら写真を撮って道路管理者などに送り、知らせる」というものです。そのプロジェクトを運用していたところ、自治体より「投稿が増えると道路管理者の対応が手一杯になるから、道路管理者側が楽になるような取り組みができないか」という相談を受けたんです。
ーーそれがロードマネージャーの前身なんですね!
関本:はい。そこで、市民からデータを集めるのではなく道路の点検車両にスマホをおいてサーバーに送るということを考えました。ちょうど世の中でディープラーニングが流行り始めている時期でしたし、私の分野では使われていなかったので「新しく取り組んでみよう!」ということで前田に声をかけた形です。すでに会社設立以前にも10くらいの自治体と実証実験を行ったり、国際論文を出し世界的にもかなり引用されたりと、彼のアクティビティはかなり突出したものになっていたと思います。
ーー前田さんが合流し会社を立ち上げたのが2020年4月頃とのことですが、約2年半が経ち、変化を感じる部分はありますか?
関本:データの母数が増えたことと、データ処理能力が各段に上がったことは大きな変化だと思います。
前者に関しては、三井住友海上と協業したことが大きいです。もともとは道路点検車両にスマホを搭載してデータを取得していたので点検車両が走らないとデータが溜まらない仕組みでした。しかし、ドラレコを貸し出している三井住友海上のドラレコを使用できたことで数万台~数十万台の一般車両からデータを取得できるようになりました。
後者のデータ処理能力に関しては、エンジニアのお陰です。ドラレコのCPUでも高速に処理して動くようにするのには高い技術力が必要ですが、精鋭達がジョインし、どんどんブラッシュアップしてくれました。
ーー順調に進んでいる印象がありますが、反対に課題はありますか?
関本:ブラッシュアップしているものの、品質の担保はまだまだ高める余地があると思います。お客さんの数が増え、お声をキャッチアップする機会が増えるほど道路損傷を自動検出する機能の不具合など磨かれ切っていない部分が見えてきているので、改善を続けなければいけないと思っています。
また、当社は今の所は、土木の専門家は採用していないため、エンジニアやマーケの人たちが「道路のことを知る」「現場の声を知る」というのは現在成長中のところでもあり、課題でもあります。ここは土木関係にずっと携わってきた私の出番だと思うので、顧客が何を求めているのか、それを製品にどう落とし込んでいくかというところをメンバーに伝えていきたいです。
ーーまさに専門家としての力を発揮なさっているということですね。ちなみに、大学と会社の両方に携わっていると大変かと思いますが、両方をやっているからこそ感じられるメリットはありますか?
関本:会社は製品・サービスを通じて社会に価値を提供することが仕事で、大学は採算が合わないしこの先に何があるのかわからないものに旗を立てるという仕事です。
なので、会社の仕事で見えてきた課題に対して大学の研究でトライするみたいなことができる点は両方を持っているからこそできることだと思います。
ーー最後に、今後実現していきたいことを教えてください。
関本:「国産且つスタートアップで質の高い地図・デジタルツインを作る」ということをリードしていきたいです。
現代では「カーナビなんて使わなくてもGoogle mapさえあればいい」という意識があると思いますが、私はそこに危機感を持っています。GAFAだけに囲い込まれていると、いざ有事になったときに「Google mapを使わせてもらえない」などの事態は起き得ると思っており、それゆえ国産で作れるようにしておく必要はあると思うんですよね。
なので、まずは道路のデジタルツインをつくるところから取り組み、当社のビジョンである「都市のデジタルツインをつくる」というところに繋げていきたいと思っています。