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今回は、「おもしろい会社がある」と沖縄から上京し、UPDATERに転職した調達チームのリーダー、森拓実さんにお話を伺いました。沖縄で証券マンとして活躍していた森さんは、金融の世界に身を置いたことで付加価値の重要性を認識し、転職を決意しました。そんな森さんに、「UPDATERが提供する付加価値で営業をする」ことの魅力と今後の目標についてお聞きしました。
苦手だからこそ選んだ金融の世界
ーお仕事の内容を教えてください。
2019年の入社以来、今年の3月まで法人需要家の営業を担当していました。具体的には、UPDATERの小売電気事業「みんな電力」から電気を供給する企業を見つける仕事です。今年4月からは調達チームに配属され、発電所との契約を通じて電力を仕入れる営業をしています。
最近は「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)」の買取期間が終了した「卒FIT」事業者や、買取価格の低下により様々な可能性を模索する太陽光発電事業者からの問い合わせが増えています。
ー中途入社ですが、前職はどんなことをやられていたのですか?
前職は沖縄の証券会社で営業をしていました。当時は金融に対して未知の部分があり、少し苦手意識もありましたが、仕事にすることで理解が深まると感じ、最終的に証券会社に入社しました。
ー苦手な分野なのに挑戦されたんですね。
気づいたら苦手なことと向き合う環境にいることが多く、今回もその一つだったんだと思います。「好きの反対は無関心」という言葉がありますが、好きではないからといって関心がないわけではありません。私はむしろ関心を向けてしまうタイプです。
金融でも複雑で分かりにくいからだとかいろいろと考えました。しかし、法律を見たりするうちに、生きていく上で必要な知識だと実感し、関心が湧きました。実は営業もそうなんじゃないかと思っています。多くの人が営業ってなんだか大変そうだなってイメージがあると思うんです。それでも営業をしている人がたくさんいるのは、心に残る印象が関心に変わるからだと思いますね。
「付加価値」を使った営業を学ぶために
ー苦手が関心に変わった金融業界からどうして転職されたんですか?
結婚がきっかけでした。妻の沖縄赴任を機に結婚、その後彼女が東京本社に戻ることになり、2年間遠距離で暮らしました。やはり一緒に暮らしたいと思い、東京への転居を考えました。その時に妻が仕事の関係で関わったのがUPDATERでした。「おもしろい会社があるよ」と聞いて調べたら、おもしろそうだったので入ろうと思いました。
ー金融と電力は、違うジャンルだと思います。どこに魅力を感じたんですか?
証券で働く中で沖縄ではモノやコトの価値が適正でないことに気づきました。沖縄には素晴らしい資源があり、付加価値をつけることで地元がもっと潤う環境にできると感じたんです。
そんな中、みんな電力の「顔の見える電力」というコンセプトに強く惹かれました。再生可能エネルギー(以下、再エネ)を経済的な理由で売るのではなく、「誰がどのような想いで作っているか」を付加価値として伝えることでお客さまに選んでもらう。この価格ではなく価値で判断してもらうという考え方は、沖縄にも活かせるのではないかと思いました。
ー入社されて、付加価値について実感する場面はありましたか?
入社後、「横横プロジェクト」という取り組みを担当しました。これは神奈川県横浜市の企業に対して、青森県横浜町の再エネを供給するプロジェクトです。
このプロジェクトでは、横浜市近郊で横浜町の名産品を販売したり、横浜町から修学旅行で横浜市を訪れてみたいという話がでるなど、電気の繋がりだけでなく人の交流も促進しました。
▲横横プロジェクトでは、青森県横浜町の産品などを販売する「電気と食の物産展」も開催
当時は新電力の事業者もたくさんあり、基本的な売り文句は「安くなるから買いませんか」でした。みんな電力の場合は、値段が高くなることもありましたから「再エネにしませんか」という提案をしていました。大手電力と知名度や実績で戦えず、価格も安くならない中で、この「横横プロジェクト」はわかりやすい事例としてPRできたんです。
そのころのみんな電力の営業は、本当に泥臭いものでした。お客さまに電話して「こんなプロジェクトがあるんですけど、どうですか?」や「ちょっとパンフレットを置いていいですか」と突然訪ねることもありました。
そんな中でこの付加価値を理解しご利用いただいたお客さまとは、今も繋がりがあります。価格ではなく価値を評価してもらっての切り替えだからこそ、生まれているやりとりがあると思います。多分それは私だけでなく、営業担当はみんなこの付加価値の大事さを実感したんじゃないかと思いますね。
ーまさに付加価値の重要性ですね。このやりがいというのは今も変わりませんか?
今はみんな電力を使うことで企業価値を向上させることを目指しています。例えば、新入社員が増えたや、再エネの企業として社会的な認知が上がっただけでも嬉しいです。実際にそういった事例もあります。
ただ、これを定量的に評価するのは難しいんです。再エネに切り替えたからといって、必ずしも従業員や顧客満足度が上がるとは言えません。しかし、そう言えるように努力していますし、お客さまが同じ目線で再エネをアピールしてくれたら嬉しいです。あとは、それこそ発電事業者さまと需要家さまが繋がれることを、顔の見える電力を選んでいる価値があると理解してくださったらとても嬉しく感じますね。
ー営業したものが、お客さまのためになることでやりがいを感じるのでしょうか?
もちろんお客さまのためになるのは前提ですが、少し違います。私はやりがいというのは、やりたいことで、やりたいことというのは、自分のためにするものではないかと思うのです。ですから仕事を頑張って自分が満足したい、その上で頑張ったことがお客さまの利益になればより嬉しいという考え方です。
私の心から良いと思う「顔の見える電力」をお客さまが使ってみて、良いと思ってくだされば嬉しいです。仮になかなか価値を実感するのが難しい時でも、私は本当に良いものだと思っているので、別の方向から価値を高める提案をすると思います。
自分が良いと思うものだからこそ、その意義も伝えられ、自信を持って営業できる。そこが付加価値があるということのやりがいだと思いますね。
UPDATER基準のいい発電所をつくる
ー需要家さま向けと発電事業者さま、双方の営業に携わられるわけですが、これからどういったことに挑戦したいですか?
端的に言うと「いい発電所」を増やしたいです。「いい発電所」の定義というのは私は持続可能な発電所だと思っています。
これからは電気をどこに売るかを考える時代になります。こうした流れの中で、買い手が発電所と直接契約し、小売事業者がサポートに入るコーポレートPPAという方法も盛んになってきました。
そうなると、やはり需要家さまに持続可能な発電所を使っていただく方が良いですよね。数年で故障してしまう発電所や、経済的に立ち行かない発電所は持続可能ではないと思います。私は需要家さまも発電事業者さまも知っているので、持続可能な発電所を増やすことに貢献できると思うんです。
また、価値が埋もれている発電所もあると思います。地域に根差して頑張っている発電所がみんな電力の調達先にもありますが、その魅力は「小水力の発電所です」とか「電気を何キロワットアワー作れます」というだけではありません。発電所を作ることで、イワナが増えたりクマが里に降りてこなくなる話にスポットライトを当て、「これはいい発電所だ」としていけると良いですよね。発電所を作るときに、UPDATERが指針となり「UPDATER基準の発電所」を増やしていけたら良いと思っています。
ー「UPDATER基準の発電所」をトレンドにしていきたいですね。
この会社で営業をしていると、社会の仕組みや国の制度の影響を受けることが多いです。しかし、やっている中で制度が追い風になることもあります。
再生可能エネルギーは、いろいろな取り組みが実施されるようになりました。私たちが再生可能エネルギーを一生懸命に売ったから社会がそうなったとは考えていません。ある意味で先見の明があって進められた部分があると思います。ただ、それだけではないはずです。
小さなことかもしれませんが、「顔の見える電力」をずっとやってきたことで、「顔の見える電力って必要だよね」というトレンドが出てきたと思います。それが社会の構造を変えることに貢献できていたら嬉しいです。10年後、50年後には、「顔の見える電力」が当たり前になっていて、その一因になっていたら嬉しいです。