精神科・心療内科を軸に、漢方・鍼治療・栄養療法・睡眠外来まで幅広く提供する札幌こころとからだのクリニック。「働く人を元気にして、社会に送り出す」というコンセプトのもと、開院から4年。心と体をまるごと診る「人生を支える医療」を実践しています。
なぜ、このクリニックでそれが可能なのか。内科・精神科・栄養療法を横断するキャリアを持つ院長の柏木理絵先生と、消化器外科から東洋医学の医師に転身した泉里友文先生に、クリニックのコンセプトと現場のリアルを聞きました。
働く人を、元気にして社会に送り出したい——クリニックを立ち上げた理由
──まず、柏木先生の経歴と、クリニックを開院した経緯を聞かせてください。
柏木:開院のきっかけは、「働く人を応援したい」という思いでした。
それまで勤務していた単科の精神科病院では、精神医療の大切さや専門性を深く学ばせていただきました。一方で、精神科病院への受診が昔に比べてハードルが下がったとはいえ、患者さまにとっては受診するまでに大きな勇気が必要だったかもしれないとも感じていました。
ですので、受診するか悩み、症状をこじらせてしまわないように、かかりつけ医の近所の内科の先生みたいに、気軽に相談できて、働きながらでも通いやすい場所をつくりたい。心の不調を感じたときに、我慢し続けるのではなく、早めに立ち寄れるクリニックでありたい。そんな思いが、私が独立し、札幌こころとからだのクリニックを開院した原点です。
──「働く人を応援する」とは、診療にどう反映されているのでしょうか。
柏木: まず通いやすい環境づくりを優先しました。土日診察・夜7時まで診療しているのも、仕事をしながら通える方を増やしたいからです。「また仕事に戻りたい」という方を診断から復職支援まで一貫して関われる場所にしたい。治療を受けて、また元気に社会に出ていく その流れをここで完結できるクリニックを目指しています。
また私自身は、今も難病(潰瘍性大腸炎)を抱えながら院長を務めています。患者でもある医師だからこそ、患者さんの気持ちに近い目線を持ち、クリニックの運営に活かしたいと思っています。
──泉里先生がこのクリニックに加わることを決めた理由を聞かせてください。
泉里: ここに来る前に、いくつかの病院からお声がけをいただきましたが、柏木先生のお話を聞いた瞬間「ここだ」と思いました! 私自身は消化器外科医として働くなかで、患者さんの生活背景や心の状態が回復に直結していることをずっと感じてきました。「働く人を元気にして社会に送り出す」という言葉は深く心に響きましたし、このコンセプトは自分の経験と共鳴した医療の形でした。」
──そもそも、東洋医学を学ぶようになったきっかけは何だったのでしょうか。
泉里: 私自身が大きな病気を経験したことがきっかけです。その経験から東洋医学を深く学ぶようになり、今に至ります。「西洋医学だけでは治せない病がある」という体験が、今の診療スタイルの原点となっています。
なぜ、私たちのクリニックだけが「まるごと診る」を実現できるのか
──このクリニックでは、精神科・内科・東洋医学・栄養療法・睡眠外来と、非常に幅広い診療を提供していますね。なぜ、メンタルクリニックながら、こうした「広範囲のケア」を行ってるのでしょう。
柏木: たとえば不眠で悩んでいる患者さんがいたとします。循環器内科ならここまで、精神科ならここから、と専門科ごとに診られる範囲が決まっているのが今の医療の現実です。受診先の選び方に迷われる方も少なくありません。うちは、そこに線を引かずにまるごと診ることを大切にしています。
医学用語として、「全人的医療」という言葉があります。特定の部位や疾患に限定せず、患者さんの心理や生活背景、社会的な側面まで含めて総合的に診るという考え方です。私はこの考えを大事にしているんです。心と体は分断できず、どちらか一方だけを診ていては、患者さんの本当の回復には辿り着けないと思っています。だからこそ、うちのクリニックでは広い範囲で患者さんをケアできることを大事にしています。
──広範囲のケアを病院の体制として設けるのは大変だと思いますが、なぜこのクリニックではそれが可能なのでしょうか。
柏木: 日本の医学教育は専門分化が進んでいて、一度専門を決めると他の領域を学ぶ機会はほとんどありません。私は内科と精神科の両方をきちんと研修しているので、その垣根を超えられるのが1番の理由です。自分が意図的にキャリアを積んできた結果ですし、うちのクリニックの独自性だと思っています。
──泉里先生は、東洋医学を取り入れることで、診療の幅はどう変わりましたか。
泉里:消化器外科医として働くなかで、症状の背景に生活環境やストレスが絡み合っているケースが多くありました。体の異常だけを治しても、根本的な原因が変わらなければ再発してしまう。そういう場面を何度も経験してきました。
東洋医学を学んでからは、複数の症状をひとつの「状態」として捉えて、まとめてアプローチできるようになりました。 治療の引き出しが増えたというより、患者さんの見え方そのものが変わった感覚があります。ここではそのアプローチをそのまま活かせています。
──心と体を両方診るというのは、患者さんにとってどんな意味がありますか。
柏木:私たちは必要であれば、精神科以外の診察を行い、処方箋をお出しします。それをすると、「メンタルクリニックなのに、風邪の薬も出してくれるんですか?」と驚かれることも多いです。患者さんからすれば、困っていることを一箇所で相談できるのは、シンプルにありがたいことですよね。来てよかったと思える場所にしたい、それに尽きます。
専門の壁を越えて学べるのは、聞きやすい関係があるから
──チームで多様な診療を提供するうえで、連携はどのように取っているのですか。
柏木: 特別なシステムよりも、とにかくコミュニケーションを大切にしています。自分の専門外のことは「先生、お願い!」と気軽に頼り合える関係性が自然にできていると思っていますね。患者さんを誰か一人が抱え込むのではなく、チームで診ていく感覚です。 またスタッフは、うちで提供している一部の治療が、社員価格で受けることができます。スタッフ自身が体験し効果を実感しているからこそ、患者さんへの言葉に力が出るんだと思います。余談ですがスタッフが友人や家族を連れてきてくれることもあって、それがいちばんうれしい口コミだと感じています。
──医師同士の診療スタイルも共有されているのでしょうか。
柏木:先生方がお互いの診療内容を確認し、学び合える環境になっています。例えば、泉里先生の東洋医学的なアプローチは、他の先生方が興味を持つことも多いです。その結果、いい学びの場になっています。
泉里: 私も同じで、ここに来て精神科の薬の使い方を実地で学ばせてもらっています。教科書で得られる知識とは全然違いますね。目の前の患者さんを診ながら学べるのは、どこでもできることではないと思います。
──先生との距離感について、現場はどんな雰囲気ですか。
泉里:スタッフからは、先生方に対して壁を感じないと言われますね。わからないことをそのままにせずに聞きに来てくれます。院長をはじめ先生方みんなが話しかけやすく、その雰囲気がクリニック全体の空気を明るくしているのだと思っています。
柏木: あまり意識してそうしているわけじゃないんですけどね(笑)。ただ、わからないことをそのままにする方が患者さんにとってよくないという空気はあると思います。聞きやすいから動きやすい。それがチームとしての強さにもなっているんじゃないかと感じています。
「面白い医療従事者になれる場所がある」——で働くことの意味
──このクリニックで働くことで、どんな成長ができますか。
泉里: やろうと思えば、何でもできると思います。精神科も学べるし、私から東洋医学を学ぼうと思えばできる。栄養療法も、睡眠外来も、それぞれ専門の先生がいる。普通のクリニックで積めるキャリアとは幅が違います。
また、自分が持ち込んだ知識がそのままクリニックの強みになっていくという実感もあります。私が東洋医学のアプローチを取り入れたことで、診療の選択肢が増え、次に誰かが新しい専門性を取り入れれば、またクリニックの幅が広がっていく。興味の方向さえあれば、「やってみたい」が着実に形になる環境です。
──成長のために、クリニックとして用意している環境はありますか。
柏木: 「こんな資格を取りたい」「この領域を深めたい」という声があれば、クリニックとして全力で応援します。患者さんの治療において諦めないのと同じように、スタッフの成長に対しても一緒にできるようサポートするという姿勢は変わりません。
──最後に、入職を考えている方へメッセージをお願いします。
柏木: このクリニックは、今もまだ育ち続けている途中です。スタッフや先生方の熱意が混ざり合って、私が最初に思い描いていたよりずっと、規模も大きくなってきました。だから「こうあるべき」という型はなくて、患者さんのために何ができるかを自分で考えながら動いていける人と一緒に働きたいと思っています。
泉里: 医師目線で言うと、「普通の医者や医療従事者でいることは、どこでもできる。でもここに来たら、面白い医者や医療従事者になれる」というのが、私が感じていることであり、そのまま伝えたいことです。
医師だけでなく、看護師や事務スタッフの方にとっても学びが多い環境である点は変わりません。心と体の両方に関わりたい、もっと幅広く経験したいという方に、ぜひ一度クリニックの雰囲気を見に来てほしいですね。