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「入社1年目から責任あるプロジェクトを担当」トヨタ生産方式(TPS)を武器に現場を変えるエンジニアの挑戦
「トヨタ生産方式/TOYOTA Production System(TPS)」の考え方に基づいて、トヨタ自動車販売店や物流の業務改善を担うソリューション本部(現:戦略本部内、改善支援領域)。同本部に所属するエンジニアは、実際にどんなプロジェクトに携わり、どう現場の業務改善を進めているのでしょうか。物流改善支援部 物流システム開発室 物流開発2グループのM.I(写真掲載)と販売店改善支援部 販売店システム開発室 販売店開発2GのR.A(写真非掲載)に話を聞きました。
——はじめに、お2人がトヨタコネクティッドに入社するまでの経緯と、現在の業務内容について聞かせてください。
R.A)私は前職で6年間、独立系のSIerに勤めていました。システムエンジニアとして自動車関連のシステム開発や維持・保守に従事してきた経験を活かして、より上流の工程に携わりたいと考えたことが、トヨタコネクティッド入社のきっかけです。
2024年5月に入社して、現在は販売店改善支援部で需給改善プロジェクトの開発管理と維持・保守を担当しています。お客様へ車が届くまでのリードタイム短縮と、お客様へ正確な納車時期をお知らせすることを目的とした活動です。
M.I)私はもともと販売店で自動車整備士をしていまして、その後SIerに転職、エンジニアとして自動車に関わる開発業務に従事していました。その中でご縁があってトヨタコネクティッドに入社した経緯があります。
私もR.Aさんと同じく2024年5月入社で、現在は物流改善支援部に所属して「新車物流納期短縮プロジェクト」の開発を担当しています。お客様がトヨタの車を注文される際、サイドバイザーやナビゲーションシステムといったオプションを付けることがあるのですが、センターでオプションの取り付け作業を行ったあと、販売店への配送管理をするというシステムです。
作りすぎの「ムダ」をなくすTPSと現地現物主義に基づくプロジェクト進行
——戦略本部内、改善支援領域では「トヨタ生産方式(以下、TPS)」をベースに業務改善を進めていらっしゃるとうかがっています。これまでおふたりが携わったプロジェクトの中で、TPSの考え方を実際に活かした事例があれば、具体的に教えていただけますか?
R.A)現在携わっている需給改善の案件ですね。トヨタ自動車では、販売店がお客様から車の注文を受けることを「受注」、販売店からトヨタ自動車の工場に車の生産を依頼することを「オーダー」と呼んで区別しています。この受注やオーダーの状況を見える化し、販売店での改善活動につなげています。
これまでは、ディーラーから工場にオーダーした展示車や試乗車の生産予定と、お客様から受注が来るのを見越して販売店が工場にあらかじめオーダーする見込みオーダーは、画面上にデータとして表示されていませんでした。これらをまとめて表示し、販売店が生産予定を一括で見られるようにすることで業務効率化を図りました。
このときは、販売店側から生産予定を一括で見られるようにしてほしいという要望をいただき、要件定義をしたトヨタ自動車の担当者の方と、開発を委託する外部の開発パートナー会社の橋渡し役を担いました。
——プロジェクトではどんな人たちと連携するのでしょうか。
R.A)販売店の本部担当者とトヨタ自動車の担当者、外部の開発パートナー、私ですね。もともと店舗から販売店の本部に課題が提起され、それを本部とトヨタ自動車が協議した結果、システム改修・システム改善に取り組むことになりました。私は要件を詰める場から参加させていただいています。
別のケースで、トヨタ自動車内の商談時の見積もり作成システムや営業管理ツールなどと連携しているため、プロジェクトによってはそうしたシステムを管理する方々と関わることもあります。
M.I)そうですね。物流改善支援部も同じように、販売店の方や外部の開発パートナー、他に、センターで管理に携わっている方とのかかわりが多いですね。
TPSという点では、新車物流PJがまさにこの考え方のもとで開発を進めています。実際に販売店に出向いているメンバーが現地でヒアリングを行い、課題と解決策をトヨタ自動車側に提案、そこから私たちが要件を吸い上げて開発をしています。作りすぎのムダをなくすというTPSの考え方にものっとっていますし、現場を大切にする現地現物主義を体現する話でもありますね。
——M.Iさんが携わったプロジェクトについても具体的に聞かせてください。
M.I)センターから販売店への車の配送計画をシステム化した例ですね。センターでお客様から注文されたオプションを取り付け、その後販売店に車を配送するのですが、その配送計画は、これまでセンターに所属する担当者が作成していました。
車の配送に関しては販売店ごとに細かなルールがあって、配送計画を立てるためにはルールを把握していなければなりません。そのため、誰もがこの業務をできるわけではなく、どうしても1人の担当者に属人化せざるを得ない状況でした。そのため担当者が休んだり、退職したりする場合、引き継ぎが大変になります。かつ、1つの計画を立てるのに何時間もかかってしまい、業務効率の面でも課題がありました。
このプロジェクトは現在もまだ続いていますが、配送計画をシステム化することで誰もがこの業務を行えるようになるという利点がありますし、1つの計画を立てるための所要時間が数時間から約3分に短縮できる見込みが立っています。
TPSの実践研修やeラーニングなど学びの機会が充実
——日々の業務のいたるところにTPSの考えが表れているんですね。入社後、そうした考え方を学ぶためのトレーニング制度や支援体制はあるのでしょうか。
R.A)改善支援領域の組織ではTPSの実践研修を開催しています。TPSの基本的な考え方である「徹底したムダの排除」による原価低減をするために、「自働化」と「ジャストインタイム」を学ぶものです。この研修は、基礎編2回と実践編1回から成っており、ちょうど先日参加した実践編では、示された手順に従って、制限時間内にいかにムダを省いて車を組み立てることができるか、グループワークを行いました。
M.I)こうした研修はメンバーが1カ所に集まって行われますが、そこに参加できない場合でもeラーニングで学びを深めることもできますよね。内容も、TPSだけでなく、セキュリティやインシデント対応などさまざまです。教育体制はとても充実していると感じます。
R.A)M.Iさんとは入社してすぐの頃、実際にセンターに見学に行かせてもらったこともありました。埼玉と神奈川にあるセンターに伺って、自分たちがこれから実際に開発・管理していくシステムがどういうもので、現場でどう使われているか、センターのスタッフの皆さんが実際にどう改善活動に取り組んでいるかを教わる機会を用意していただきました。
広い視野とバランス感覚を養い、現場のお客様のためにカイゼンに挑む
——トヨタコネクティッドに入社してこれまで、前職との違いややりがいを感じていますか?
M.I)開発スピードの速さを感じますね。要件定義されてからリリースまでのスピードが非常に速い。それだけ現場が困っているのだから、早くサービスをリリースしなければという気概を感じます。ただ、スピードを意識しすぎるとどうしても品質が下がってしまいます。そのバランスが難しいですね。
まだ入社して1年足らずの私がスピードばかりを意識すると、より品質に悪影響が出てしまう可能性があるので、人の手を借りたほうがいいと判断したらすぐに声を挙げて、周囲にフォローしてもらうことを心がけています。
R.A)私は前職では小規模プロジェクトのマネジメントを担当することが多く、主に自社内での開発がスムーズに進捗しているかという視点でプロジェクトに参画していました。けれども、現在担当している案件では、外部システムの担当者や開発パートナー企業、お客様であるトヨタのグループ企業の方など、外部との関わりが非常に多いと感じています。その分、各所との調整やスケジュールの管理、全体を俯瞰したうえでの成果を意識しなければならないし、トヨタコネクティッドが検証環境や本番環境を管理していることから責任の大きさにもつながっています。どれだけ準備しても不安や重圧が拭えず、そこに困難を感じることもありますが、一方でやりがいも感じています。
——そうした困難ややりがいに向き合う中で、ご自身がどのように成長してきたと感じますか?
M.I)よりお客様のことを意識するようになりましたね。前々職で自動車整備士として販売店で働いていた経験があるので、販売店の現場で働くお客様の気持ちは理解しているつもりでいました。トヨタコネクティッドに入社して経験を重ねる中で、要件を提示されたとき、「それよりも、こっちのほうがお客様にとってよりよい方法ではないか」と考えられるようになりましたね。
R.A)研修制度が充実しており、かつ実際の現場を訪れる機会に恵まれているので、TPSの考え方については入社以降どんどん鍛えられていると感じますね。あとは、プロジェクトで他社や他システムと関わる中で、これまで内部しか見えていなかったのが、全体を俯瞰できるようになったと思っています。広い視野やバランス感覚を養えていますね。
「全員がリーダーであり、創業者である」というフィロソフィー。自ら先頭に立って動くというリーダーシップが必要
——トヨタコネクティッドでのキャリア機会についても聞きたいのですが、今後お2人はどんなキャリアを歩んでいきたいと考えていますか?
R.A)私は、今後マネジメントに挑戦していきたいと考えています。トヨタコネクティッドには「全員がリーダーであり、創業者である」というフィロソフィーがあります。この価値観に基づいて、社内では1人ひとりのリーダーシップや発想力、行動力が求められています。改善支援領域の組織ではリーダーやマネジメントを務めるチャンスはたくさんありますし、私自身、入社から1年に満たない状態で、全国の販売店で利用するシステムの開発という責任の大きなプロジェクトを任せてもらっています。
また、私たちの部署は現場改善を重視する部署ですので、現場に出向き、TPSを現場目線で捉えたいと思います。
M.I)R.Aさんの言う通り、現地現物の考え方は非常に大切ですね。私も「現場」を深く理解するために、販売店で現場の業務を経験したいと考えています。そして、現場で得られた業務への理解や考え方を、トヨタコネクティッドの組織にしっかりと浸透させていきたいと思います。そして将来的には部長職につくなど、経営側に携わっていきたいですね。
——「全員がリーダーであり、創業者である」という話がありましたが、改善支援領域の組織ではどんなマインドやスキルを持った方を求めていますか?
R.A)自分から発信する力や行動する力がなければ、現場改善は成し遂げられません。だからこそ、自ら先頭に立って動くというリーダーシップは必要ですね。
もう1つ、私の経験から、「他者も自分も大切にできる人」が活躍していると感じます。仕事というのは組織の内外に関わらず、ステークホルダーとなる人たちそれぞれの利益や目的を考え、その中で最適解を常に求めていかなければなりません。そのときに、自分の考えや意見を周りに伝える力はもちろん、逆に周囲の人の意見に耳を傾け、最適な落としどころを探っていける調整力は必須です。そうしたバランス感覚のある方にぜひ参画していただきたいですね。
M.I)そうですね。そうした向上心やリーダーシップに加えて、私が最重要視するのはコミュニケーション能力です。
例えば報告を1つ挙げるのでも、「この報告はすべきかどうか」と迷うことがあると思います。けれども、普段から周囲とコミュニケーションができていれば、「この報告を挙げるべきかどうか」を気軽に聞くことができます。そうすると、抜け漏れがなくなりますし、エスカレーションもスムーズにできるようになります。
「仕事に雑談は不要だ」と言う人もいるかもしれませんが、雑談を通して声を挙げやすい環境を作ったり、周囲の方とコネクションを構築したりする意味でも、明るい雰囲気で楽しく仕事をするのは大切なことだと思いますね。