全ての物語には、始まりの瞬間が…
慶應義塾大学の入学式だった。全国から野心あふれる若者が集うその場所で、代表の松間悠介は、後にビジネスパートナーとなる千葉登志彦と出会う。ペルー出身の千葉と、起業を志す松間。育った環境もバックグラウンドも異なる二人が、ただの友人として過ごした時間の中で育んだ一つの想い。それが、今日の事業の礎となっている。
今回は、共同創業者との出会いから会社の危機、そして原点回帰のピボットに至るまでの軌跡を、松間の言葉で辿っていく。
「お前から無理だと言ってくれ」友の苦境が、二人を起業へと突き動かした
――本日はよろしくお願いします。共同創業者である千葉様とは、入学式で出会われたそうですね。
松間: はい。僕は高校時代から「事業を創りたい」と考えていて、そのための仲間を見つけるために慶應大学を選んだんです。だから、入学式で千葉と出会ったのは、まさに狙い通りでしたね(笑)。
とはいえ、最初は二人でずっと遊んでいました。本当に仲の良い友達で、授業もいつも一緒でしたし、行きつけのお好み焼き屋で将来について語り合ったり。そんな中で、彼がペルー出身ということもあり、**「いつか一緒に、日本と世界を繋ぐような仕事がしたいね」**という話は、ごく自然に出ていました。
――そこから、実際に起業に至ったのは、どのような経緯だったのでしょうか。
松間: 大学2年の時ですね。千葉は演劇サークルで中心的な役割を担っていたのですが、彼は学費を自分で稼いでいたので、幹部になると忙しくなってバイトができなくなり、サークルを辞めざるを得ない状況に追い込まれていました。
ある日、彼から「自分では辞めるという決断がしづらいから、お前から『無理だ』と言ってほしい」と相談されたんです。僕はその場で「絶対に無理だから、辞めた方がいい」と伝えました。そして、続けました。**「じゃあ、サークルを辞めたら、来年、二人で何か面白いことを始めよう」**と。
そこから半年間、二人で事業アイデアを練り続け、大学2年の3月に最初の会社(合同会社NEXTMELIUS)を登記しました。
創業、そして初めての挫折。会社の危機が、二人の「原点」を思い出させた
――最初の会社では、どのような事業を手がけられたのですか?
松間: お客様の顔が直接見える、実態のある商売がしたいという想いが強く、最初は飲食店のマーケティング支援から始めました。大学近くのお店のクーポンを学生に配ったり、SNS運用を代行したり。そして、そこで得た資金を元手に、自分たちでランチのパスタ店とカフェを2店舗オープンしたんです。
――学生でありながら、ご自身で店舗経営までされていたとは驚きです。
松間: もちろん大変でしたし、ランチ営業なので儲けもわずかでした。でも、自分たちの城ともいえる「店舗」があったからこそ、僕らは事業を辞めずに続けられたんだと思います。
その後、事業を拡大するために店舗は閉じ、より収益性の高いマーケティングやAI関連の受託事業に注力しました。一時は月間の売上が700万円ほどまで伸びたのですが、やはり受託事業は景気の波に左右されます。お客様の経営状況が悪化すると、真っ先に契約を切られてしまう。次第に会社の経営は厳しくなっていきました。
――それが、現在の事業へピボットするきっかけになったのですね。
松間: はい。もう一度自分たちのやるべきことを見つめ直しました。その時、ふと思い出したんです。**「そういえば、俺たちは日本と世界を繋ぐ仕事がしたかったんじゃないか」**と。
受託事業で培った中小企業の経営者ネットワークと、当時盛り上がりを見せていたインバウンド需要。この二つを掛け合わせれば、何かできるはずだ、と。
私たちのクライアントには、事業拡大のためにM&Aを望む声がありました。一方で、後継者不足に悩む宿泊施設も多い。**「僕たちが、価値ある日本の観光施設をM&Aで預かり、それを求める企業へ繋げばいいんだ」**と。
その瞬間、バラバラだった点が一本の線になりました。会社の危機が、私たちを創業時の夢、千葉と交わした約束へと引き戻してくれたんです。
約束の場所へ。チームで、日本の観光の未来を創る。
――まさに原点回帰だったのですね。
松間: その通りです。社名を「日本観光開発機構」に変え、事業を観光M&Aにピボットしました。それは、遠回りだったかもしれないけれど、僕たちが本当にやりたかったことへの確かな一歩でした。
今、私たちはM&Aを通じて、多くの観光施設の未来を繋ぐお手伝いをしています。さらに、その知見を活かして、今後は自分たちで「面白い」と思える施設を開発していくつもりです。
――最後に、この記事を読んでいる候補者の方へメッセージをお願いします。
松間: 僕は、入学式での千葉との出会いがなければ、この事業を始めることはありませんでした。たった一人の友との約束が、会社の危機を乗り越える羅針盤となり、今の私たちを形作っています。
私たちの会社は、まだ始まったばかりの小さなチームです。だからこそ、一人ひとりの存在が大きく、仲間との繋がりを何よりも大切にしています。
もしあなたが、単に案件をこなすだけでなく、信頼できる仲間と共に大きな夢を追いかけ、まだ見ぬ未来を自分たちの手で創り上げていくことに魅力を感じるなら、ぜひ一度話を聞きに来てください。
入学式での出会いが僕たちの人生を変えたように、このWantedlyでの出会いが、あなたの、そして私たちの未来を大きく変えるきっかけになるかもしれません。一緒に、日本の観光を面白くしていきましょう。