株式会社Nexadata代表取締役の槍田三四郎です。私たちは、建設業向けの積算AIプラットフォーム「SAKUJI」を開発・運営しています。
初回のストーリーでは、私が職人見習いとして電気工事の現場に入った理由と、そこで見た光景がどうSAKUJIにつながったのかをお話しします。
夜の事務所で、現場監督は記号を数えていました
創業の前後、約1年にわたり、週末は職人見習いとして電気工事の現場に入っていました。ある夜、日中ずっと工事をしていた現場監督が、事務所に戻ってから図面を広げているのを見ました。蛍光ペンでコンセントの記号を一つずつ塗りつぶして数え、電卓を鳴らし、Excelに転記していく。数百枚の図面から数万個の記号を、人の目と手で拾っていく作業です。
その手は同時に、「これじゃあ現場でケーブルを通せない」と設計の無理を見抜いてもいました。目と手で数える作業と、経験がなければできない判断が、一人の夜の中に重なっていました。
積算は受注の入口であり、利益の源泉です
積算は、図面から必要な部材と数量を拾い出し、原価を積み上げて見積をつくる仕事です。受注の入口であり、工事の利益を決める源泉でもあります。それでも人手と経験に頼る構造が続き、時間外労働の上限規制、いわゆる2024年問題がその構造をさらに厳しくしました。
図面という「データの原石」は大量にあるのに、産業としてのデータ基盤がない。この構造が、私が解きたい問題でした。
外から助言する立場に、限界を感じていました
創業前は、エンジニアとしての経験を経て、コンサルティング会社で建設業や製造業のDXを支援していました。提案をしても、現場の仕事が変わるところまで届かない。戦略を立てようにも、分析に必要なデータがそもそも残っていない。
外から助言するだけでは現場は変わらない。そう感じて、自分が現場に入り、自分の手でプロダクトをつくる側に回ることを決め、2025年7月にNexadataを創業しました。
数える時間をAIに、判断の時間を人に
SAKUJIは、図面をアップロードするとAIが凡例を理解して品目と数量の候補を拾い出し、人が確認・補正する積算AIプラットフォームです。目的は、職人や積算担当者の仕事を奪うことではありません。「数える時間」をAIに任せ、工法の選択、原価の交渉、品質の見極めといった、人にしかできない判断に時間を返すことです。
「SAKUJI」は、建築を意味する日本語の「作事」に由来します。ものをつくる仕事への敬意と、海外ツールの焼き直しではなく日本の建設業の商習慣と図面文化に根ざしたプロダクトをつくる意思を、この名前に込めました。
積算のデータが蓄積されれば、原価構造が見え、経営の判断も変わります。私たちは積算AIを起点に、建設業の生産性と収益性を支えるデータインフラをつくっていきます。
現場と技術の両方に向き合いたい方へ
Nexadataは、「現場に学び、データで語る」ことを大切にしている会社です。建設業の現場と技術の両方に向き合う仕事に関心のある方、AIを現場で動くプロダクトに仕上げる仕事をしたい方は、ぜひ一度、話を聞きに来てください。
明日以降のストーリーでは、なぜ積算から始めたのか、どんなチームで、どう開発を進めているのかを順に紹介していきます。
創業の経緯は、2026年8月17日公開のnoteに詳しく書いています。リンク先は公開当時の記録です。
