第1章|塩干は主役になれる部門
「塩干(えんかん)って“干物の部門でしょ?”と思われがちですが、実際は違います。
うなぎ、カニ、数の子、貝類、牡蠣など、イベントシーズンには売上の柱になる商品を数多く扱う。
むしろ店の主役になれる部門なんです。唯一無二の塩干力です!
しかも鮮魚に比べて“入り口が広い”のも特徴。最初から包丁技術は必要なく、盛り付けや陳列から始められるので、未経験者でも初日から活躍できます。
経験を積めば三枚おろしなども学べますが、最初から求められるわけではありません。
だから「魚をさばけないから無理」と思っている人にこそ挑戦してほしいですね。」
第2章|売場づくりは“爆盛り”が命
お客様の足を止めるには、まずインパクト。
だから私は**“爆盛り”**にこだわります。
うなぎでもサケでも、その日に売りたい商品を決めたら、入口から一番目立つ場所に山をつくる。これだけで売上の伸び方が全然違うんです。
さらに欠かせないのがPOP。
値段は大きく見せ、自信のない価格の時は“旬ですよ”“食べ方はこうですよ”といった言葉で補う。
ほんの一言で売れ方は変わります。
他の従業員から『大きなPOPを見たら小林さんだと分かる』と言われるほど、POPは売場の顔なんです。
第3章|イベントは一年のハイライト
塩干はイベントでこそ真価を発揮します。
夏は土用の丑のうなぎ、冬はカニや数の子。売上が一気に跳ね上がる瞬間は本当に鳥肌が立ちます。
例えば今年の丑の日。土用の丑の日には平常1日数十尾売れるうなぎがたった1日で数百尾も売れるんです。
12月はまさに“塩干の天下”。カニと数の子の爆盛り売場をつくって店全体を引っ張る。
『12月のお祭り男みたい』と呼ばれています。
また12月は絶対に失敗できないというプレッシャーを毎年感じます、それは1年の中での12月の売り上げの占める割合が非常に高いからです。
毎年自分の限界にチャレンジしてます!
第4章|育成は“任せて伸ばす”
新人にいきなり全部教えてもパンクしてしまう。
だから私は一歩ずつ段階を踏んで任せるようにしています。
品出しと盛り付けから始めて、次は在庫チェック、そして定番商品の発注へ。
先日、私が出張で不在の際も、若手が一人で店を回しきってくれました。電話一本なく、発注まで完璧。
正直“ちょっとは相談してほしかったな”と思うくらい(笑)。
でも同時に『もう任せて大丈夫だ』と確信しました。
任せるからこそ責任感が生まれ、仕事が自分のものになる。その成長を見守るのが私の役目です。」
第5章|数字で語るのがプロの証
段取りや器用さも必要ですが、大切なのは数字です。
売上、粗利、廃棄…その数字をクリアして初めて『やったな』と言える。
今は評価制度も整っており、数字はそのまま給与や昇格に反映されます。だから現場には良い意味で緊張感が漂っています。
私も一日の終わりに『今日の爆盛りで数字を取れた』と確認できる瞬間が一番嬉しい。
逆に届かなければ悔しさが残りますが、それが次へのモチベーションになるんです。」
第6章|塩干からキャリアを切り開く
「塩干の担当者はまだまだ少ない。しかし店舗は増えていく。
店長と部門主任の椅子も次々と増えていきます。
つまり、チャンスがゴロゴロ転がっている部門なんです。
鮮魚のように高度な包丁技術が必要なわけではないから、若手でも早く任される。私自身は鮮魚部門でスタートし、今では塩干部長と店長を兼任しています。
“塩干=脇役”というイメージはもう捨ててほしい。
実際は主役を張れるし、キャリアアップの近道にもなる。塩干はそういう部門です。」