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コロナ禍の社会に役立つソリューションをいち早く提供 自治体と一緒に作り上げたヘルスケアアプリの開発裏話

こんにちは、SOMPO Digital Labの須田です。

私たちSOMPO Digital Labは、2016年に発足した組織で、日本国内のみならず海外グループ会社を含め、グループ全体のデジタルトランスフォーメーションの実現に向け、既存事業の変革新規事業創出に取り組んでおります。

中でも「Sprintチーム」と呼ばれるデザイナーとエンジニアで組織された内製開発部隊では、SOMPOグループの種々の事業に関わる様々なプロダクト開発にチャレンジしています。


今回はそんな「Sprintチーム」が手掛けたプロダクト紹介の第一弾として、「Light PASS」「WiTH Health」についてご紹介したいと思います。

企画者であるSOMPO Light Vortexの松本さんと、開発者である「Sprintチーム」エンジニアの木村さんのお二人に、詳しくお話をお伺いしました。

どのような経緯で2つのプロダクトが誕生することになったのかという開発裏話や、印象に残っているエピソード、そして今後の展望など、様々なトピックについてお話いただいています。

どうぞ最後までご覧ください。

◆お話を伺ったメンバー◆

松本 尭

SOMPO Light Vortex 株式会社 デジタルヘルス事業部 マネージャー

Light PASS / WiTH Health事業においては事業開発サイドとして携わり、企画提案営業から事業計画管理まで、事業全体の統括を行う。

趣味は登山で、雪山にも登る。

木村 一統

SOMPO Digital Lab Sprintチーム リードエンジニア

Light PASS / WiTH Health事業においては、リリース前の初期段階から携わるエンジニア。その後も両プロダクトの開発・運用に邁進する。

趣味はトレッキングと3Dモデリング。


◆紹介するプロダクト◆

ワクチン接種証明アプリ「Light PASS」2021年12月リリース

Light PASS
・ユーザー登録時(ユーザー登録が最後まで終わっていない場合) 下記記載の1もしくは2のいずれかの対応をお願いします。   1. ユーザー登録画面が表示されている場合 画面中央の認証コードを再送するボタンを押してください。 ...
https://lightpass.lightvortex.com/

トータルヘルスケアアプリ「WiTH Health」2022年10月リリース

WiTH Health
健康で笑顔溢れる地域を共に創る 住民の皆様の健康、地域活性化の支援アプリ
https://withhealth.lightvortex.com/

ーー まず初めに、Light PASSを企画することになったきっかけは何ですか?

松本 : 時期としては2021年8月になるのですが、当時はコロナ禍でありながらも、日本ではまだワクチン接種証明アプリが存在していませんでした。一方で、海外ではワクチン接種証明アプリが登場し、どんどん普及が進んでる状態で、日本は世界各国から遅れをとっているような状況でした。

その様な日本と海外とのギャップを受けて、「コロナ禍の日本において、社会課題の解決に役立つプロダクトを世に送り出したい」と考えたのが発端です。

そして、そのアイディアを基に様々な自治体へアプローチしてみたところ、各自治体からも「一緒にやりたい」というお声をいただいたので、実際に形にすることになりました。


ーー その後、WiTH Healthはどのように企画が立ち上がったのでしょうか?

松本: Light PASSのリリースからしばらく経った2022年5月頃に、「今後はコロナ禍も終息していくだろう」ということで、コロナ後の需要も見据えて企画したのがWiTH Healthです。こちらも自治体の賛同があり、自治体と一緒に進めている企画です。

先にリリースしたLight PASSでは、ワクチンの接種記録ができるのですが、WiTH Healthではそれに加え、マイナポータルとの連携による健康データの取得や取得したデータにあわせた健康管理もできるようになり、機能を拡張させています。



ーー なぜLight PASSの機能拡張はせずに、新たにWiTH Healthをリリースすることになったのでしょうか?

木村: 開発サイドから言うと、Light PASSについては「時間勝負で」ということで、2020年8月に企画を立ち上げてから、11月には実証を開始、12月には本リリースをするという比較的速いスピードで進めていきました。

ユーザーの方々に素早くサービスを提供できたというメリットの反面、正直に言うと犠牲になってしまったものもあります。具体的には、開発目線でのクオリティなのですが、それが今後のLight PASSを発展させていくにあたって、障害になってしまったということは否めません。

その障害となる部分を改善しようという案もあったのですが、コスト面で検討した際に、改善するよりもゼロから作る方がコストがかからない上に、追加開発のための開発スピードも早いことが判明しました。

このような経緯があって、今回はLight PASSを拡張させるのではなく、新たにWiTH Healthを作って発展させることになりました。


松本:ビジネスサイドも絡めてお話をすると、単なるワクチン接種証明アプリからPHR(Personal Health Record)といった重要な健康情報を扱うアプリへ転換させていくことを考えた時に、「高速にリリースして早く世の中に提供する」ということは、とても重要でした。

そして何よりも扱うデータの重要性が高まるので、セキュリティ的にも検討する必要がある部分が増えたという側面もあります。特にマイナポータルとの連携においては、公的なシステムからの情報も扱うようになるので、そのような経緯から、アプリ自体を作り直すことがベストだと判断しました。


ーー Light PASSとWiTH Healthの開発にあたって、特に印象的だった出来事は何ですか?

松本: Light PASSについてですが、とある自治体と一緒に進めていく中で、先方から「12月下旬までには、絶対リリースして欲しい」と強く打診されました。

なぜ12月下旬を希望されたかというと、その時期はちょうどクリスマスや年末年始休暇の直前のタイミングであり、国のアプリよりもいち早くリリースすることで、Light PASSを広く普及させ、年末年始により多くの人にLight PASSを利用してもらたいという意図があったためです。

そのような強い要望をいただいたため、スケジュール的にはかなり厳しかったのですが、社内外の多くの協力を得て、なんとか期日までにリリースまでこじつけたことは、本当に感慨深い思いでした。

それに加え、リリース当時はテレビなどにも取材していただいたり、様々な記事に取り上げていただいたこともあり、かなり大きな反響をいただきました。その様な状況下で、大きなインシデントなくサービスをスタートできたということは、とても印象深く残っています。


木村: 私も今松本さんがお話してくださった部分は、強く印象に残っています。

ちなみに私は2021年の11月に入社して、入社と同時に担当した案件がこのLight PASSであることに加えて、このプロジェクトで初めてモバイルアプリの開発を経験したので、印象的な出来事は多々あります。

入社1ヶ月半後の12月にリリースするというスケジュールだったのに加えて、入社まではエンジニアリングの部分は外部に委託しており具体的な手順が整っていないという状況から、まず最初は色々とキャッチアップすることに注力しました。

具体的には、アプリケーションをユーザーに配信できるような状態に持っていくまでの、サーバーのセットアップなどの手順も含めて、自身で筋道を立てて整備しました。

もちろん前職での経験や知識もありますが、会社や案件ごとに仕組みなどは異なりますので、そういった差分を埋めていくのに、多少苦労はしたかなと思います。

その他で言うと、リリース後の苦労というのもあります。先にもお話しした通り、スピード重視でリリースした背景から、リリース後に細かい問題を発見して、順次整えていく必要がありました。

しかし先ほどお話しした通り、開発に関する部分は元々外部委託していたため、アプリケーションで何らかのエラーが発生したとしても、それを究明するための情報が上手く特定できないことがあり、その対応には苦心しました。

本来であれば、リリース前の段階である程度想定されなければならないことなのですが、短期間でのリリースだったため、今回はそこまで事前に対応しきれませんでした。

そのような事から、運用後の苦労については想定以上の困難があったため、ある意味印象に残っています。

もちろん良い意味で印象に残っていることもあります。前職まで私は、Webアプリケーション・Webサイトの開発を行ってきたのですが、今回初めてモバイルアプリに携わって実感できたこととして、ユーザーとの距離感の近さが印象的でした。

私の経歴としてBtoBや、ある程度IT知識が豊富な人へのサービス提供を行ってきたこともあり、一般層へサービスを提供するのは今回が初めてで、一般層からのリアクションや問い合わせは、自分では想定していなかったような内容も多く、とても新鮮に感じられました。


ーー 立場の違いから、意見が衝突することはありましたか?

松本: アプリの仕様そのものについて、意見が衝突することはありました。細かい部分が多いのですが、「この機能は必要なのか」とか「ここまでやる必要ないんじゃないのか」とかですね。


木村: 機能の優先順位については、何度も擦り合わせをしました。企画の段階で欲しいと言われた機能でも、よくよく考えてみると本当に必要かなと思う部分を議論したり。

また、必要ないとまでは言わないまでも「もっと他に優先すべき機能があるのではないのか」といった観点で意見交換することは多々ありました。


松本: とにかく細かい内容が多いので、それを一つずつ話し合って解決していくことで、前に進めていく感じですね。


木村: あとは、自治体とすでに約束をしているなどの理由から、ある程度大枠では実装が決定している機能というのもあります。

そのように既に決定した機能の実装方式についても、互いに意見が食い違うことがあったのですが、そのような場合には、「実装方式Aではこのようなメリット・デメリットがありますよ。一方で実装方式Bではこのようなメリット・デメリットがありますよ、どちらにしますか?」というように、一方的な見解を押し通すのではなく、パターンで示して話し合えるように工夫しました。

この時に伝えるメリット・デメリットというのは、実装するためのコストだとか、それが実現できるまでの時間的コストなども含みます。時間的コスト、金銭的コスト、運用上のメリット・デメリットなど、全てを加味して関係者全員で話し合った上で決めるようにしていました。

この様に今回の案件で活発に議論できたことを踏まえても、SOMPOは意見を言える・議論しやすい環境であると感じました。

もちろん自分の言った意見が通るか通らないかは、その時の状況などを加味して論理的に判断されるので、必ずしも通るわけではありませんが、自分の意見が出せる環境だとは思います。


ーー 開発サイドとしてどんな事を考えながら取り組みましたか?

木村: 一番大事にしたのは、エンドユーザーはもちろんのこと、自社の利益になるような開発をすることを念頭に置いて取り組みました。

エンジニアがよく陥りがちなパターンとして、「開発が楽しいあまり余計な機能をたくさんつけちゃいました」ということがあるのですが、必要な機能を必要なだけ作ることが重要だと思っています。

そのように考える一番の理由は、不要な機能をつけるとそれだけコストが嵩むからです。多少有益な機能であっても、優先度によっては敢えて作らないこともあります。

個人的には「最小労力で最大限のメリットをユーザーにも与えたい」と考えているので、こちらから余計な機能をつけないということはもちろん、企画サイドからの要望でも「それって本当に必要なんですか?」という検討や確認は必ず行うようにしていました。


ーー 本プロダクトの今後の展望を教えてください。

松本: 今までは「我々だけのプロダクト」というよりは、自治体のリクエストに応じて作ってきた部分が結構大きかったと思います。

自治体と一緒にやることによるメリットというのも当然あって、その区域の市民の方へのアプローチを強化できるのは良い点ですが、次年度からはもう少し自社プロダクトとして意思決定できる領域を広げながら作っていければと構想しています。

そして、開発体制もまだ完全に固まっているわけではないので、メンバーと協議しながらベストな体制を柔軟に構築していけたらいいなと思っています。

また、SOMPO Light Vortexとしては、どんどん新しい物を社会に提供していきたいと思っているので、PHRアプリの中でもより先端的なプロダクトにしていきたいと考えています。


木村: 開発者目線で言うと、まだまだリリース速度が遅いと感じています。現状では、早くて1ヶ月に1回程度のリリースのため、良いものができた場合でも、ユーザーへ届くまでにタイムラグが発生してしまうという大きなデメリットが発生してしまいます。

より深い部分の話で言うと、様々な機能を一気にリリースすることになるため、バグ発生リスクも高まってしまいます。そして実際にバグが発生した際にも、バグを特定するのが困難になってしまうという点でもデメリットを感じています。

そうした状況を打破するためにも、今後はもう少し頻繁に、例えば週1でリリースすることで、ユーザーにもっと早く価値を提供していきたいと考えています。

ーー お二人とも貴重なお話をありがとうございました!

今回は「Light PASS」「WiTH Health」について、松本さんと木村さんにインタビューしました。

両者がそれぞれの立場でどのような事を考えながらプロジェクトに注力し、協業したのかといった内容に加え、エンジニアメンバーも自発的に考え、積極的にチームへ働きかけている様子なども感じ取っていただけたでしょうか?


SOMPOのSprintチームでは、「Light PASS」「WiTH Health」のように、多くの人々が求めるソリューションをスピーディーに提供することによって、世の中に対して大きな影響力を持つようなプロジェクトに参画することが可能です。

そしてSprintチームでは現在、エンジニアを募集しております。ぜひ「世の中に大きく貢献できるような、ダイナミックな環境で仕事がしたい」と思った人は、下記「話を聞きに行きたい」よりカジュアル面談にご応募ください。

カジュアル面談では、Sprintチームのエンジニアについて、様々な角度からより深く知ることができます。少しでも興味を持っていただけましたら、実際にエンジニアのメンバーとお話ししてみませんか?

SOMPOホールディングスでは、エンジニアチーム以外のメンバーを含め、今後も様々な社員や会社の様子がわかる記事を掲載していきますので、どうぞお楽しみに。

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