「開発ベンダーの社長とは思えないほど、色々な事業をやってきた」と笑いながら話をしてくれたのはアップストリームの創業者であり代表取締役社長の苅谷翔太郎さん。今回は苅谷さんの今までの人生を振り返りながら、今後どのような事業家でありたいかやアップストリームをどんな会社にしていきたいかについて話をしていただきました。
大学時代は経済学オタクで、途中からインターネットを使った事業を志すようになった。
両親が自営業をしていた影響もあるのか、「自分も将来は会社を立ち上げる」と幼いころから思っていました。普通なら将来はサラリーマンになることを考えるのが一般的なのかもしれないですけど、私にとってサラリーマンになることの方がイレギュラーだなって思っていたんです。
小学生くらいから大小ありますがいろんな事業を考えて実行していました。自分で考えたことでお金を稼ぐのが好きだったんですよね。実際に法人として最初に会社を立ち上げたのは大学生のころだったと思います。大学は情報学科に入学したのにミクロ経済学とゲーム理論に興味があって、あまり友達も作らず経済学の勉強ばかりしているような学生でしたね。大学3年生くらいになってくると自分はインターネットを使った事業でお金を稼ぐのが向いているかもしれないと思うようになり、そこから情報学の勉強に力を入れるようになりました。
ビジネスの仕組みを学びたくてリクルートに新卒で入社した。
大学を卒業したらそのまま独立するか一度新卒で企業に入社するか迷っていたんですけど、何度か大学生の時に考えた事業のほとんどがリクルートと競合していくうちに将来独立するための知識をリクルートでつけようって思うようになりました。あとリクルートの新規事業提案制度である「NewRING」って若手起業家の登竜門みたいなところが僕たちの大学生の頃にはありました。それでリクルートのみ就職試験を受けて、運良く受かって、次の4月に入社することになりました。
事業開発は生活の一部。事業成功はマーケットとタイミングが9割。
市場調査や需要・供給の不一致の調査などのマーケットを見ることって、私の中だともはや趣味みたいになっているところが大きくて、よく暇な時にメルカリで儲かる商材を探していたりしています(笑)。事業開発のためにたくさんの情報を仕入れることが楽しいし、その情報収集能力や知識などの引き出しの多さが私の武器だと思っています。事業開発って成功のために一番大切なのは「どこのマーケットでどのタイミングで実行するか」だと思うんです。もちろん実行力も大切だけど、どれだけ良いものを作ってもマーケットとタイミングを外したら大きな収益を得ることってできないですからね。私はマーケットとタイミングを見ることで9割が決まると思っています。
テレビ業界の配信事業に成功したからってこれで終わりではない。
私は生涯事業家として現役でありたいなって思っているんです。それは1つの事業を成功させて長続きさせたいって意味だけではなく、新しい事業を生み続ける事業家でありたいという意味も含まれています。事業開発ってもはや私の生活の一部で、それを考えて実践し世の中にインパクトを与えることが、仕事をしていく中で何よりも楽しいなって感じる部分なんですよ。だからこそ「テレビのコンテンツをインターネットに開放する」というミッションの達成だけでは満足したくない。これからもどんどん新しいことに挑戦し続けていきたい。そしてその挑戦する時期を見定めてマーケットの選定をすることが私のCEOとしての使命だと感じています。
良い会社は良い起業家や技術者を世に排出する。アップストリームもそんな会社でありたい。
リクルートに入社した経験も踏まえ、「本当に良い会社って良い起業家や技術者を世の中に輩出していくな」って感じていて。だからこそアップストリームの社員たちにもどんどん新しいことに挑戦していってほしいなって思うんです。やらされているだけの仕事からは成長していかないからこそ、社員それぞれにある程度の裁量を持たせて自分で決める幅を増やしていってもらいたいです。そしてその中で事業提案をしてきてくれるような社員が生まれてきたらうれしいですね。ただ事業企画は結構シビアに判断してしまうのでうまくいかなそうな企画の時はうまくいかないと思うって言ってしまうと思いますけど…(笑)うまくいくなと感じる企画を持ってきたなら、その時にその環境があれば挑戦させてあげたいですね。いずれアップストリームで培った知識や技術で次世代を作り上げるような事業家が生まれたらこんなにうれしいことってないですよね。新卒時代の私が若手の登竜門としてリクルートを選んだように、若手の登竜門としてアップストリームの名前が挙がってくるような組織を作り上げられるようにしたいなって思っています。