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私たち「株式会社 天地人」は、衛星データとAIを活用して社会課題のソリューションに挑む、JAXA認定ベンチャーです。水道管の漏水リスクを検知する「宇宙水道局」などのサービスを展開しています。
本シリーズでは、天地人のことをより深くお伝えすべく、入社の決め手や業界のポテンシャル、仕事のやりがい、チームのカルチャーを掘り下げた社員インタビューを紹介します。
今回は、ソフトウェアエンジニア・GIS技術者の井上 真さんにお話を伺いました。
プロフィール
井上 真(いのうえ しん)/福岡県出身
プロダクト開発グループ アプリケーション開発部
大学院卒業後、新卒で天地人へ入社。天文学を専攻し、銀河の形成や進化を研究。現在は「宇宙水道局」の衛星データや自治体が保有する管路データの解析を担当し、SAR衛星画像の活用に取り組むほか、衛星データの特性を生かした解析手法の開発や、ノウハウの体系化にも尽力。幼い頃に家で見つけた望遠鏡がきっかけで天文学の道へ。月食や流星群の観測を今も楽しんでいる。
衛星データを“使う側”として、社会に役立てたい
ーー井上さんは学生時代からインターンとして天地人にジョインされたそうですね。どのようなきっかけだったのでしょうか?
研究室の同期が天地人でインターンをしていて、紹介されたことがきっかけです。ちょうどそのとき、就職活動を見据えた情報収集の一環でインターン先を探しはじめたタイミングでした。
宇宙に関係する仕事ができるのは面白そうだなと思って、僕もインターンに応募しました。
ーー当時の天地人への印象を教えてください。
入ったばかりの頃は、まだ会社自体が模索している時期だったと思います。社員も少なかったし、今と比べるとだいぶ雰囲気が違いました。研究開発寄りの仕事が多くて、社員それぞれが自分のバックグラウンドを持ち寄って、どんな事業にしていくか考えていたような印象です。
ーー大学院卒業後、そのまま社員として入社された理由は?
大学院を卒業したあと、同期は就職先としてJAXAや衛星の開発をする会社を選ぶ人も多かったんですが、僕は衛星データを“使う側”で仕事がしたかったんです。インターンとしても働いていて楽しかったですし、他の企業もみてみましたが、事業としてやってることがいちばんしっくりきたのが天地人だったので、ここで働きたいなと思いました。
ーー宇宙という言葉に惹かれたとのことですが、その印象は今も変わりませんか?
そうですね、たしかに最初は「宇宙に関わる仕事がしたい」という気持ちがモチベーションの大部分でした。でも、実際に手を動かしてプロダクトに関わっていくうちに、衛星データを活用した技術でどう社会課題を解決していくか、という部分に惹かれていきました。使い方次第で、日常生活に役立てられるものだと感じるようになったんです。
社会インフラと向き合う日々。業務も技術も“幅広く柔軟に”
ーー現在の業務内容を教えてください。
主に「天地人コンパス 宇宙水道局」の開発に関わっています。自治体から提供される水道関連のデータは形式も中身もバラバラなので、それを整えて、機械学習の入力に使えるような形に整備しています。オープンデータや当社が保有するそのほかのデータとも組み合わせて、より精度の高い分析につなげるのが僕の仕事です。
ーー単純なデータ処理というわけではないのですね。
はい、自治体の方との打ち合わせにも参加して、どんな課題を抱えているのかを直接聞いたり、こちらから技術的な説明をしたりすることもあります。営業メンバーだけでは拾いきれない細かな部分をカバーする役割もあると思っています。
ーー業務で使用している技術についても教えてください。
GIS系ではQGIS、プログラミングはPythonが中心です。最近はChatGPTやGitHub CopilotなどのAIツールも積極的に活用しています。必要性があることは大前提ですが、自分で興味を持ったツールを提案すれば柔軟に導入を検討してもらえるので、技術好きにはありがたい環境ですね。
ーー井上さんは天地人メンバーの中では“古参”ですが、インターン時から比べて自分の成長を実感することはありますか?
アプリケーション開発部に所属してから、「技術を運用するための視点」がかなり身についたと感じています。以前はコードをひたすら書くことも多かったですが、最近は設計や保守のしやすさ、長く使える仕組みにするにはどうするかを考えるようになりました。AIを活用することでコードを書く量自体は減っていても、考えることはむしろ増えていますね。
「複雑なデータ」が来たときこそ燃える
ーー大量のデータを扱う中で、「これは手応えあったな」って感じるのはどんなときですか?
やっぱり「いいアウトプットが出せた」ときですね。宇宙水道局で出したリスクマップなどが、自治体の目的通りに機能しているとわかったときは、とても嬉しいです。
ーー逆に、苦労するのはどういう場面ですか?
数千件の漏水履歴データと詳細情報をいい感じにつないでください、みたいな抽象的なご依頼を受けることも多いです。どうやって“いい感じに”実装するか非常に悩みますし、ときには1000ページ以上ある仕様書を読む必要もありました。でも、そういう「複雑なデータ」と格闘して、うまく整理できたときの達成感は大きいです。
ーーそういう時にこそ、井上さんのバックグラウンドが活きていそうですね。
そうですね。天文学もデータを読み解いて仮説を立てるような世界なので、理学部で身につけた「わからないことを考える力」は、今の仕事にすごく活きていると思います。変則的なデータでもまず受け止めて、そこから意味を引き出す力は、まさに研究で鍛えられました。
宇宙、水道、そして地盤。日常に根づく技術として
ーーところで、井上さんはつい数ヶ月前に上京されたばかりですよね。今は武蔵野エリアにお住まいと伺いましたが、なぜそちらのエリアをえらんだのでしょう? 出社は週一回とはいえ、オフィス(日本橋駅)へのアクセスはあまりよくない印象ですが……
実は、どこに引っ越すかを考えたときに、自社のサービスでも取り入れている「耐震適合地盤判定マップ」を参考にしたんです。武蔵野台地で地盤がしっかりしていて、住み心地もよさそう、と思いこのエリアを選びました。自分が関わっている技術を、生活に応用できるって面白いですよね。
ーー学んできた技術がご自身の生活にも影響しているんですね。
先ほども話したように、最初は「宇宙に関わる仕事」という興味がきっかけでしたが、今は生活インフラに直結する仕事をしている実感があります。衛星データを通して、人の役に立つことができるんだなと。
働く上でも、データに対して柔軟な発想ができる人はすごくフィットすると思います。あと、地道なデータ処理や調整も多いので、そこを前向きに楽しめることも大事ですね。技術が好きというだけじゃなくて、それを社会にどう活かすかに価値を感じられる人なら、より力を発揮できるはずです。
ーー最後に、これから挑戦したいことは?
「宇宙水道局」は上水道だけでなく、下水道や他のインフラにも展開できる可能性があると信じています。まだデータ活用が進んでいない分野に対しても、衛星データやGISの力で貢献できるよう、これからも挑戦を続けていきたいです。