株式会社ノーススター:シニアEM兼PdM 増田 まきさん
大学では教育心理を専攻。卒業後、エンジニアとして入社し、以降一貫して医療ITに携わる。複数社での経験を経て、ノーススターにジョイン。現在は「キッズドクター」のシニアEM兼PdMとして、開発とチームマネジメントの両面を担う。
目次
1. これまでのキャリアと転機
ー まずはこれまでのキャリアについて教えてください。
ー 医療やITの分野に関心を持つようになったきっかけは何ですか?
2. ノーススターに惹かれた理由と入社後の実感
ー ノーススターに転職した経緯や理由を教えてください。
ー 実際に入社してみて、どんな印象を持ちましたか?
3. PdM兼EMとしての役割と挑戦
ー 現在の役割について教えてください。
ー管理画面(医療チーム向けシステム)のPdMとして、大切にしていることは何でしょうか?
ー エンジニア組織全体を見ながら、チームマネジメントで意識していることは?
4. プロダクトに込める想い
ー 「キッズドクター」の開発で難しさややりがいを感じる点を教えてください。
ー 印象に残っているエピソードはありますか?
ー 医療従事者の課題をどのようにプロダクトへ反映しているのでしょうか?
5. チームとカルチャー
ー ノーススターのチームやカルチャーの特徴をどう感じていますか?
ー エンジニアチームを束ねる立場として、エンジニア組織をどのように成長させていきたいですか?
ー 多職種との協働で面白さや学びを感じるのはどんな点ですか?
6. 未来への展望とメッセージ
ー 「キッズドクター」を今後どのように成長させていきたいですか?
ー 個人として描いているキャリアビジョンは?
ー 最後に、応募を検討している方へメッセージをお願いします。
1. これまでのキャリアと転機
ー まずはこれまでのキャリアについて教えてください。
大学では教育心理を専攻し、当初は教育職を志望していましたが、就職氷河期という厳しい時代背景もあり、なかなかご縁に恵まれませんでした。
その時にたまたま受けたWebの適性診断で「プログラマーが向いている」と出て、知識はなかったのですが、逆に抵抗もなかったので、「向いているのなら」と思いプログラマーを募集している会社に一括応募したんです。結果的に連絡をくれた会社に就職し、そこからエンジニアとしてのキャリアが始まりました。
1社目から医療系のシステム開発に関わることができて、医療職でなくても仕組みを通じて医療の分野に貢献できるのではと感じました。その後ノーススターに入社するまでに5社ほど経験しましたが、常に医療系のシステムを選び、キャリアを積んできました。
中には企業を横断しながら医療業界全体で利用される標準規格の設計などにも携わる機会があり、こうした経験が、いまノーススターでの取り組みにも生きていると感じています。
ー 医療やITの分野に関心を持つようになったきっかけは何ですか?
元々、人の体や心に関心がありました。
小学生の頃から本を読むのが好きで、医師が書いたエッセイなどを読むうちに自然と興味が深まっていったんです。大学は「心」の方を選びましたが、心理学の研究では実験結果をExcelでまとめることも多く、他の人の分までデータを整理することもありました。その経験からPC操作に抵抗はなく、数学に苦手意識もありませんでした。文系出身ながら自然とIT領域に踏み出せたのは、そうした下地があったからだと感じています。
2. ノーススターに惹かれた理由と入社後の実感
ー ノーススターに転職した経緯や理由を教えてください。
たまたまノーススターのカジュアル面談を受けたのがきっかけです。
以前勤めていた会社では遠隔読影のシステムを提供していたのですが、遠隔医療としては読影や病理診断などがメジャーで、「オンライン診療」が認められるようになったのはごく最近のことなので個人的に関心を持っていました。
それに加えて、アプリストアで「キッズドクター」の評価を見て、プロダクト自体にも魅力を感じたんです。当時は正直、事業内容ばかりに注目していたのですが、面談で代表や当時のEM(現VPoEの古谷です!)と話す中で「良いチームをつくろう」という姿勢に強く惹かれました。
また、面談の進め方も印象的でした。「代表はいい人だから気に入ると思う」「EMも良い人だから一度話してみて」と自然に紹介され、形式ばった面接ではなく、人と人とのつながりを感じられたんです。他社が事業やプロダクトを前面に出す中で、ノーススターは自然に人やカルチャーの良さが伝わってきたことにも魅力を感じ、気がついたら入社してました(笑)
ー 実際に入社してみて、どんな印象を持ちましたか?
入社後に改めて感じたのは「カルチャーの良さ」です。
プロダクトを通じて「良いチームで良い仕事をする」文化がしっかり根づいていて、人にフォーカスしながら仕事を進めている姿勢に感動しました。ビジョンやバリューが形ではなく日常に浸透していること、常に挑戦し続ける雰囲気、そして挑戦して失敗しても受け止めてくれる空気感もあって、面談で受けた印象は間違っていなかったと確信しています。
3. PdM兼EMとしての役割と挑戦
ー 現在の役割について教えてください。
現在はシニアエンジニアリングマネージャー(EM)とプロダクトマネージャー(PdM)を兼任しています。PdMとしては、まず「何を実現するか(Key Results =KR)」を整理し、相談しながらプロジェクトを進めています。アイデアをどう形にしていくか、必要な情報をどう突き止めるかを考え、最低限の形からスタートし、早めに評価して次のステップへ進むことを意識しています。
また、EMとしては、チームが困ったときに解決できるよう調整したり、仕組みを整える役割を担っています。例えば、あるチームが忙しければ「手伝ってもらえないか」と声をかけ、負荷のバランスを取る。あるいは、メンバーが「こういうことをやりたい」と提案してくれたら、それをどう活かせるかを一緒に考える。そうした日々の働きかけで、チーム全体が前に進める状態を作ることを意識しています。
ー管理画面(医療チーム向けシステム)のPdMとして、大切にしていることは何でしょうか?
医療系のシステムに長く関わってきたため「詳しい人」と見られることが多いのですが、あくまで大事にしているのは「全員でより良いものをつくる」ことです。そのために意識しているのは、知識レベルを一定にして、誰もが議論に参加できるようにすること。医療の知識をフォローアップしたり、情報を共有したりすることで、メンバーが安心して意見を出せる環境を整えています。
また、医療を必要以上に「神格化しない」ことも大切だと考えています。病院に常駐していた経験から、医師や看護師はもちろん尊敬すべき専門家ですが、同じ人間としてシステムで支えられる部分があると感じています。そうした視点をチームに示し、現場と同じ目線に立ちながら「変えていけるものはある」と背中を見せることを心がけています。
ー エンジニア組織全体を見ながら、チームマネジメントで意識していることは?
まず大事にしているのは「心理的安全性」です。ベテランになるほど「分からない」と言いにくくなるものですが、自分自身が率先して人に頼ったり、わからないことを質問したりする姿を見せるようにしています。チーム全体が安心して助け合える状態をつくりたいからです。
また、医療者とエンジニアでは使う言葉も考え方も異なります。その間に立って、両方の「ものさし」を持ちながら橋渡しをすることも自分の役割です。患者・医療従事者・エンジニア、それぞれの立場で出てきた意見を拾い、全員が議論できるように整えていく。そうした動きを通じて、チームが「最先端の開発にも挑戦できる」という自信を持てるようにしたいと思っています。
4. プロダクトに込める想い
ー 「キッズドクター」の開発で難しさややりがいを感じる点を教えてください。
「キッズドクター」は、患者向けと医療従事者向けの両面を持っています。
患者向けシステムでは、利用環境が多様であることが大きな難しさです。iOSやAndroidなど、どんな端末でも「誰でも使える」ようにしなければなりません。直接フィードバックを聞ける場が少ない分、アプリストアでのレビューがやりがいにつながっています。評価が良いとチーム全体の励みになりますね。
また、医療従事者向けシステムでは、業務フローが非常に複雑です。さらに、法令遵守や診療報酬改定といった外部要因によって業務の流れ自体が変わるため、常に試行錯誤が求められます。難しさは大きいですが、だからこそやりがいもあります。制約がある中で「どうすれば実現できるか」を考え続けることが、この仕事の面白さだと思います。
ー 印象に残っているエピソードはありますか?
患者さんから「このシステムを作ってくれた人に感謝しています」と声をいただいたことがあります。医師やオペレーターを褒めていただくことはよくあるのですが、開発側にまで感謝の言葉が届いたのは印象的でした。ノーススターのカルチャーや価値観が、ユーザーにも伝わっていると実感できた瞬間です。
また、ちょっとした機能追加が大きな喜びにつながった経験もあります。
たとえば、待っている患者さんのリストに「既読」を表示できるようにしたときです。開発は軽微であるにも関わらず、現場の方々にとっては業務効率を変える大きな改善で非常に喜んでもらえました。
ー 医療従事者の課題をどのようにプロダクトへ反映しているのでしょうか?
基本は「聞いていくこと」です。看護師さんや医師の方々から課題を伺い、その場で「フローをこう変えてはどうか」と提案します。厚労省の通知や法改正によって義務化される対応も多いため、「このままだと課題になる」と一緒に考え、改善策を試していきます。
特に意識しているのは、「諦めさせないこと」です。多くの医療従事者は「システムだから仕方ないよね」と受け入れてしまいがちですが、「声をあげれば変えられる」という経験を積んでもらいたい。毎週の定例ミーティングで相談の場を設け、出てきた声を反映することで、少しずつ信頼を積み重ねています。
5. チームとカルチャー
ー ノーススターのチームやカルチャーの特徴をどう感じていますか?
私はもともと「人」よりも「プロダクト」に関心を持つタイプでした。
ただ、ノーススターは「人」にしっかりとフォーカスしていて、「いいメンバーといい仕事をする」という考え方が浸透しています。それは単なるスローガンではなく、日々の行動に表れているんです。
バリューも形だけでなく自然に実践され、互いに評価し合う文化があります。プロダクトの成長と同じくらい、人の成長や挑戦も大切にしているのがノーススターの特徴だと感じています。
ー エンジニアチームを束ねる立場として、エンジニア組織をどのように成長させていきたいですか?
「束ねている」という感覚はありませんが、これまでの医療領域での経験がチームへの価値提供につながると考えています。たとえば、自分が持っている知識や現場経験を共有することで、メンバーが同じ目線で考え、同じ認識に到達できるようにサポートすることが、自分の役割だと思っています。
医療領域は専門性が高いため、知識の差から議論が深まらないこともありますが、そのギャップを埋めて同じ土台で話せる環境を整えることが、結果的にエンジニア組織の成長にもつながると考えています。
ー 多職種との協働で面白さや学びを感じるのはどんな点ですか?
多職種で関わること自体が常に面白いと感じています。エンジニア、看護師、医師など立場によって視点がまったく違うからです。その違いが議論を広げ、思いもよらない気づきを生み出してくれます。
たとえば看護師さんは、いつも人に寄り添って対応していますが、時にはエンジニアと同様、論理的な思考をしている部分も多いのです。看護師さんには、「エンジニアは魔法使い」とよく言われるのですが、看護師さんが行うトリアージなど患者さんの状態を整理して判断するプロセスは論理的でエンジニアニングに近いと思います。
違いがあるからこそ面白く、同じ考え方にたどり着けることもまた魅力だと思っています。
6. 未来への展望とメッセージ
ー 「キッズドクター」を今後どのように成長させていきたいですか?
今後はまず、医療システムとして不足している部分を補い、UXを改善することで土台をしっかり固めたいと考えています。そのうえで、医療チームが持つ強みや柔軟さを損なわずにサポートしていくことが大切です。1年後に「こういう機能を」と想像しているものもありますが、オンライン診療というまだ新しい領域だからこそ、挑戦しながら成長していきたい。まずは基盤を整え、「システムが追いつかないから無理だよね」と言われない状態を目指しています。
ー 個人として描いているキャリアビジョンは?
特に決まったキャリアパスはありませんが、これからも医療系システムに関わり続けたいと考えています。
これまでEMやPdMといった肩書は「やりづらくなるのでは」と感じて避けてきましたが、ノーススターには挑戦を後押ししてくれる文化があり、「やってみよう」と思わせてくれるんです。
当時のEMが 10人以上を一人でマネジメントするのに苦労している姿を見て「自分も力になりたい」と感じたのが、今の役割を担うきっかけでした。任せてもらえるなら全力で取り組みたい。その積み重ねの先に新しい未来が開けると思っています。
ー 最後に、応募を検討している方へメッセージをお願いします。
ノーススターでは「良いチームと良い仕事」ができます。世の中にまだ常識がないことにも恐れず挑戦できる環境です。医療は人命に関わる責任の重い領域ですが、だからこそ成長できる経験があります。
いろんな「好き」や「得意」を持った仲間が集まっているので、ぜひあなたの強みも教えてください。
一緒に新しい医療体験をつくっていきましょう。