自動車輸出やロジスティクスどうあるべきか論
搬入情報の共有~日本からの中古車輸出台数を最大化するために~
■中古車輸出物流の出発点は?
SYNC LOGISTICS 一木です。
今回は搬入情報の共有の重要性についてお話させて頂きます。中古車輸出の物流のほとんどは、オークションからの陸送から始まります。キャリアカーと呼ばれる自動車を複数台積み込むことができる輸送トラックを利用し、大型車両であればドライバーの方が実際に自走で輸送を行います。中には、事故やエンジントラブルなどが原因で走行ができない車両などはローダーと呼ばれるタイプのトラックに付属しているウィンチで積載を行います。中古車オークションでは落札車両に対して”搬出期限”と呼ばれる期限を設定しており、この期限を過ぎた場合には落札者に対して、ペナルティとして懲罰金が請求されるルールがございます。毎週、日本各地で100以上のオークションが開催される中で、日本全国のトラックを保有する実運送会社と利用運送事業者の間で輸送に関する情報のやり取りが行われています。一年間に中古車輸出の業界だけで、およそ120万台が輸出されるので月間で約10万台。一日にして、約3000台の中古車が輸出YARDに搬入されていくことになります。日本中で輸送されている中古車の陸送は、こういった制約の中で、緻密な連携や協調関係をつくることで安定した輸送が行われています。
■中古車輸出物流の中で重要な結節点
その後、私達のような中古車YARDを運営する事業者の元にお車は搬入されて行きます。一般的に、中古車YARDのOPENは8:30前後であることが多いのですが、時期によってはドライバーの方がいち早く次の輸送にとりかかれるように、早朝からキャリアカーでYARDの前にお並び頂く場合もございます。私も博多でサービスづくりをしていた頃は、ドライバーの方とお話をすることが多く、限られた時間の中でより多くの車両を輸送するためにも配車スケジュールを守るためにもYARDに到着してからの受け取りのスムーズさは強く要望されていたのを良く覚えています。そういった国内の中古車輸出物流の中で、ストレスが強くかかりやすいものに“日本側YARDのパンク”がございます。一般的に私達の業界は2月や8月が閑散期。4月前後、10月前後が繁忙期になります。中古車のオークション出品台数は新車ディーラー様の年度末の販売強化や日本全国のリースアップ車両が出るタイミングからワンテンポ遅れて増加します。出品台数の増加は需要と供給の関係により、相場が下がりやすくなるため中古車輸出の落札台数は増加しやすくなります。加えて、為替レートも応札価格に大きな影響を与えるため、一気に物量が増えていく場合がございます。また、振興国への輸出は法律の規制によって輸出に制限がかかることがあり、そういった場合には駆け込み需要が発生し、想像を絶する台数のお車がYARDに搬入されて参ります。こういった様々な要因で需要が大きくなった場合に、物理的にYARDへ車両を搬入することができなくなり、関係者全員に対して大きなストレスがかかります。車両を降ろして次の現場に行きたいドライバー、各所から”なんとかしてくれ”といった電話が殺到するYARDの受付担当者。ビジネスは好調なのに搬入するYARDがないためオークションの落札を止めざる得ない輸出事業者様。一台でも多く輸出する共通メリットがある中で、ボトルネックになりやすいポイントと言えます。
また、中古車YARD運営をする上で最も大きい固定費が土地の賃貸借費用であり、できるだけ遊んでいる土地を減らすために必要最低限の広さで運営をしたい思惑があることも付け加えさせて頂きます。
■搬入予定を関係者間で共有する
私はこういった現状の中に、より関係者間における搬入データを共有していくことが重要であると考えています。仕事柄、中古車輸出以外の物流関係者と情報交換をすることが多いのですが、”搬入予定を事前に共有せずに受け取りが行われる”業界は非常に少ないようです。現在国内外で大きな成長を遂げているアマゾンのようなEC系の倉庫は搬入情報をデータとして事前に受領したものだけを倉庫で受け取る運用フローが確立されています。考えてみれば、資産価値があり一定のスペースを必要とするお車という商材を取り扱う上で、こういったデータの連携は必須であると同時に、中長期においてのビジネスの見通しを共有することは非常に重要であると考えています。現在、弊社ではこの現状を変えていくためにも2023年7月の公開に向けた船積みシステムのリニューアルを進めています。次回のメルマガでは、そのシステムについてもお話させて頂ければと思います。
最後まで、ご覧頂きありがとうございます。