GODAI note編集部です。
今日は、今年6月24日にオープンした「ブルーボトルコーヒー NEWoMan YOKOHAMA カフェスタンド」に、「GODAI港北」フロントマネージャーの守屋晴美さんと来ています。
ソーシャルディスタンスの中でも、“気持ちの距離”は近くなった
――ブルーボトルコーヒーが日本に初進出したのが2015年。守屋さんは、1号店の清澄白河店に、オープン時に行ったことがあるそうですね。
そうなんです。当時は「GODAI亀戸」のオープニングスタッフとして立ち上げ準備に当たっていました。スクール内にカフェスペースを設けるということで、ヒントを得たいと思って同じ江東区内の清澄白河や門前仲町のカフェ巡りをしたんです。もう5年前のことですね。
――そのときは、何かインスパイアされるものはありましたか。
オーダーを受けてからコーヒーを淹れるというスタイルだったので、お客様一人ひとりに対する接し方は勉強になりました。今日もコーヒーができたときに、名前を呼んでくれましたよね。
――さて、GODAIの各スクールは6月1日に再開しました。再開した後のお客様のご様子はいかがですか。
みなさん、素直にテニスやゴルフを楽しんでいらっしゃいます。2か月間、ほとんど運動ができなかったと思うので。
でも、いまはこういう状況なので、お客様とも以前のように気軽に会話できないのが残念です。ただ、直接会話をしなくても、行き帰りの表情や雰囲気で「楽しんでいらっしゃるな」ということがわかりますね。
――接客も、ソーシャルディスタンスなどいろいろ制約があると思います。お客様とはどうコミュニケーションをとっているのですか。
そうですね。マスクで表情が隠れているぶん、目で表情を作るようにしたり、ジェスチャーを使って伝えるようにしたり。あとはカウンターにもシェードを設置していて声が聞きとりにくいので、そのぶんゆっくり話したり。いろいろ工夫しています。
お客様のほうも私たちのことを気にかけてくださって、「いつも館内を消毒していて大変ね」とよく声をかけていただきます。
――まだ外出にもリスクがある中で、毎週テニスやゴルフを楽しみに来てくださるのは本当にありがたいですよね。
こういう状況になってあらためて気付かされたのは、毎週3000人ものお客様が来てくださることが、当たり前ではないということです。
だから、私たちフロントスタッフにとっても、お客様を思う気持ちがさらに強くなりました。ソーシャルディスタンスを保ちながらも、“気持ちの距離“はぐっと近くなった気がしますね。
亀戸支店を離れるときに、たくさんの餞別を……
――守屋さんといえば、2年前に亀戸支店から港北支店に異動することが決まって、亀戸勤務の最終日にいっぱい“貢物”をもらったというお話が、とてもインパクトがあって……(笑)。あのときはどんなものをもらったんですか。
お花やお菓子……あとはお酒などですね(笑)。ありがたいことに、いろんなお客様から餞別を戴きました。お客様だけでなく、行きつけの飲み屋の大将からもお花をもらって(笑)。
――会員さんでもないのに、辞めるときにお花を持って駆けつけてくれるなんて。すごいですね!
GODAIにとっても亀戸支店は、東京都内で初の出店。「ゴダイって何?」というところからのスタートだから、大変だったと思います。
新しいスクールを一からつくり上げるということで、オープンの半年前からスタッフ間で「どんなスクールにしていきたい?」とミーティングを重ねました。
それまでは、コーチとフロントというのは役割が違うので、うまくコミュニケーションが取れないこともありました。でも、それでは新しいスクールは絶対にうまくいきません。オープン後も、コーチ・フロントの垣根を超えて、とにかく話し合うようにしていました。それで、だんだんとお互いの立場を理解し、尊重できるようになっていきましたね。
――チーム同士の仲がいいと、それがお客様にも伝わりますよね。だから、自然とお客様ともいい関係が築けたのかなと思います。
それを、私はいつも「トライアングルの関係」と言っているんです。
お客様、コーチ、フロントで「トライアングルの関係」を築く
――トライアングルの関係?どういうことですか。
お客様、コーチ、フロントがそれぞれ双方向の矢印(⇔)で結ばれている関係です。三者の関係性はフラットで、誰が偉いということではなく、誤解を恐れずに言うと、お客様が偉いということでもないんです。
このトライアングルの関係がうまく構築できれば、コミュニケーションが循環し、スクールの雰囲気はよくなります。コーチがお客様に伝えたことをフロントにも共有されると、フロントからも同じ情報をお客様に伝えられる。あと、お客様によってはコーチに言えないから、フロントに伝えてくるということもよくあります。
――ひと昔前みたいに「レッスンしているコーチが偉い」というスクールだと、フロントがお客様からクレームを聞いてもコーチになかなか伝えられない。でも、お客様は「フロントに言ったはずなのに改善されてない」とますます不満に思います。たしかに、コーチとフロントの関係がフラットで、コミュニケーションが円滑になると、お客様の満足にもつながりますね。
そこがスムーズになると、自然と協力関係もできていきます。仕事へのスタンスも、亀戸支店を立ち上げた経験をへて「独りでがんばらなくていいんだ」と思えるようになりましたね。
――たくさんの餞別は、守屋さんのもって生まれた人柄もあるとは思いますが、スタッフの関係がお客様に伝わっていたというのもありそうですね。
はい、それは間違いありません。亀戸支店にはいまもミーティングなどで訪れるのですが、お客様から「いつ戻ってくるの?」と声をかけられます。嬉しいですね。
お客様との「出会い」と「別れ」を大切に
――こういうスポーツクラブのフロント業務というのは、自動認証技術や自動決済技術が発展して、大きな流れとしてはスタッフの削減や無人化など、そういう方向に向かっているように思います。腕のいいコーチがいて、80分間いいレッスンを提供してくれれば別にフロントなんて要らないのでは?と。でも、こういうお話を聞くと「テニススクールってレッスンだけじゃないんだ」と思わされます。
お客様が一週間の中で、GODAIに滞在する時間はほんのつかの間です。それでもみなさん、多かれ少なかれ日常生活でストレスを抱えている。さらに、いまはコロナのストレスも重なっています。
GODAIに来ている間だけは、日常のストレスを忘れて汗を流して、帰る頃には「GODAIに来てよかったな」と思ってもらいたいですね。
――改めて、フロントスタッフがお客様に提供できる価値は何だと思いますか。
フロントスタッフは、レッスンをご提供することはできません。でも、来館したお客様といちばん最初に会うのはフロント、最後に会うのもフロントです。
肝心なのは「出会い」と「別れ」。いくらレッスンが良くても、最初と最後の印象が悪いと、その印象がお客様には残ってしまいます。だから、「出会い」と「別れ」は強く意識しています。
レッスンを終えたお客様が帰られるとき、私はかならず「お疲れ様でした」の後に「ありがとうございます」と添えてお見送りするんです。
――その「ありがとうございます」の一言だけで印象は変わりますね。
さらに「ありがとうございます」で終わるのではなく、その人の後ろ姿を見ながら「また来てね」と心の中で言っているんです。「ありがとうございます」と言いながらすぐ別の作業に移ってしまうと、お客様がその後に振り向くかもしれませんよね。
――心に余裕がないと、そういうあいさつもできませんよね。
心に余裕を持つには、仕事を楽しむこと。その点で、私はこのテニスに携わる仕事が好きなんです。そこで働いている自分も好きです。
私は以前にブライダルの業界にいましたが、ブライダルというのは式が終わってしまえば、そのお客様とお会いすることはありません。でも、テニススクールは毎週毎週、同じ方に会うことができる。お客様のライフスタイルに寄り添えるというのが嬉しいんです。
やっぱり人が好き。だから、フロントの仕事が好きなのかもしれませんね。
※「GODAI note編集部」より転載