精神科向け電子カルテメーカーとして歩んできたレスコは、これからの地域包括ケア社会に向けた新たなシステム構造「地域カルテ」を構想し、その実現に向けて挑戦を続けています。

今回は、医療連携の結びつきを強めるための“地域で使うカルテ”＝「地域カルテ」構造についてご紹介をします！

－地域をつなぐ「地域カルテ」とは

医療情報の適切な共有は、地域医療連携において必要不可欠です。地域カルテはクラウド上にプラットフォームを構築することで、その上に構築される各システムの情報を一元管理してシームレスな情報共有に寄与します。

また、プラットフォームは多様なツール・技術との柔軟なAPI連携を踏まえているだけでなく、データを医療・支援に役立てるデータヘルスにも対応することを前提としています。

地域のひとりひとりが個別最適化されたメンタルヘルスケアを受けながら、自分らしく生き生きと生活できるウェルビーイング社会の実現を目指したシステム構想です。

－地域カルテ構想誕生の背景

レスコは精神科医療に特化した電子カルテの先駆者として、精神科病院内における業務効率化と、多職種協働に必要な情報共有の支援を目的とした電子カルテを提供してきました。その中で、2004年の精神保健医療福祉の改革ビジョン（※1）から始まった地域移行の流れと、2017年からの「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」（※2）の構築を念頭に置いた新しい電子カルテの必要性を感じていました。

一方で、人の心の健康の問題がますます多様化・複雑化していく中で「精神疾患予防」の重要性が高まり、行政やNPO法人、障害福祉や介護といった複数のステークホルダーによる重層的支援体制の整備が求められるようになりました。そこでレスコは、精神疾患予防から外来、入院、社会復帰、就労支援といった様々なフェーズにおいて必要とされる「成育環境情報（※3）」を主軸としたカルテ情報を包括的に共有できる“地域で使うカルテ”＝地域カルテの開発を目指すことにしました。

※1）厚生労働省「精神保健医療福祉の改革ビジョン」https://www.mhlw.go.jp/topics/2004/09/dl/tp0902-1a.pdf

※2）厚⽣労働省「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築について」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/chiikihoukatsu.html

※3）その人の価値観を形成する生まれてから現在までの生活環境や家庭環境などのバックグラウンドのこと。本人・親族の成育環境情報は、精神科医療やひきこもり支援、生活支援などにとって重要な情報となります。

－地域カルテで一元管理する「成育環境情報」

個別最適化された生活支援や治療の提供においては、その人のライフログにあたる「成育環境情報」の正確かつ詳細な把握が求められます。

地域カルテでは、クラウド環境を活用した安心・安全な情報ネットワークを提供し、成育環境情報を一元管理することで、包括的な医療・支援の提供へとつなぎます。

－地域をつなぐ、地域で使える

精神疾患予防から通院治療、入院治療、社会復帰、就労定着といったメンタルヘルスケアに関わる全てのステークホルダーが包括的にカルテ情報を共有し、相互コミュニケーションを図ることのできる電子カルテ、それが地域カルテです。

具体的には「Warokuプラットフォーム」と名付けたオープンなインターフェースを備えたクラウドの電子カルテ共通基盤の上に、さまざまな用途に応じた電子カルテを実装することで、個人情報に配慮しつつ統合化された情報の利活用を可能にします。

その第一弾が精神科病院向けの新しい電子カルテ「Warokuホスピタルカルテ」であり、2022年2月14日に発表されました。今後、Warokuプラットフォーム版製品の順次提供を予定しています。

－辿り着いた答え　“クラウド”

「成育環境情報」をはじめとした医療情報の共有だけでなく、多様なツールとの柔軟な連携や、新しい治療法の発見といったデータを分析して活用するデータヘルスへの対応などを目指す「地域カルテ」。その実現に向けて辿り着いた答えがクラウド環境の採用です。

大切な医療情報を安全かつシームレスに共有するためには、堅牢なセキュリティを持つことのできるクラウドが最適であると考えています。また、情報の相互運用性を高めるために医療情報交換の標準規格「HL7 FHIR」への対応を前提に開発し、地域医療連携をサポートします。

レスコは地域カルテの供給によって、心の健康問題についてもっと相談しやすい社会環境の実現を目指しています。

これからは、個人が自身の健康データを管理するPHR（パーソナルヘルスレコード）をはじめとしたデータヘルス、デジタルヘルスの拡大が求められています。

レスコでは、新たな医療ICTインフラの構築に向けて共に挑戦をしてくれる仲間を募集しています！