こんにちは、RAYVEN採用担当です。
2026年7月、RAYVENは「Japan Expo Malaysia 2026」に、ICTスタートアップリーグの一員として参加しました。有望な日本のスタートアップとともに、マレーシア・クアラルンプールでの数日間を過ごさせていただき、とても刺激を受けたのでぜひレポートという形でお伝えさせてください。
なぜ、マレーシアだったのか
今回の視察は、ICTスタートアップリーグとしての活動の一環でした。訪問先は、マレーシアのデジタル経済を推進する政府機関「MDEC(Malaysia Digital Economy Corporation)」。
あわせて、Japan Expo Malaysia内のパネルセッション「Key Success Factors For Startups Entering The Japanese Market(日本市場に参入するスタートアップの成功要因)」にも参加しています。
RAYVENからは代表の鈴山佳宏が参加し、AIを活用した産業プラットフォームや業務支援について、現地の政府機関担当者へ直接説明する機会を得ました。
MDECとの対話で見えたこと
MDECは1996年に設立された、マレーシアのデジタル経済の成長を担う政府機関です。外国企業の誘致だけでなく、マレーシア企業の海外展開支援や、ICT政策への助言も担っています。
今回の面談で印象的だったのは、MDEC側の説明の力点が「税制優遇を出すので来てください」という従来型の誘致から、「具体的な政策課題や事業機会に、企業を接続する」というモデルへ移っている、という話でした。データセンター、AI、半導体設計、FinTechといった重点領域ごとに、政府として具体的なプロジェクトや需要を用意し、そこに合う企業とマッチングしていく、という考え方です。
MDEC側は、長年マレーシアに投資してきたPanasonicやHitachiのような日本企業を親しみを込めて「Old Samurai」と呼ぶ一方、これから呼び込みたいIT・半導体・AI領域の新しい日本企業を「New Samurai」と表現していました。特に弊社のようなAIエージェント関連のスタートアップは、まさにこの「New Samurai」として期待されている立ち位置だと感じ、身が引き締まる思いでした。
RAYVENの発表に対しては、MDEC側から、マレーシア政府が掲げる「AI Nation 2030」や「National AI Compute Initiative」といった構想と結びつけた質問やコメントがありました。単にAIの機能を評価されたのではなく、国内産業の生産性や人材育成、政府の標準化構想といった、より大きな文脈の中でRAYVENの取り組みを見てもらえたことは、率直に嬉しい反応でした。
海外展開の「型」を学ぶ
視察にあたっては、ICTスタートアップリーグから、海外展開の考え方を整理した事前学習の機会も用意されていました。詳細な内容は社外秘の資料のため詳しくは触れられませんが、大きな学びとして次のような視点があったことを共有します。
海外展開は「日本で完成させたものを、そのまま持っていく」延長線上にあるとは限らないということ。そして、タイ・マレーシア・日本という一見近い3カ国でも、商談の入り口や信頼の築き方、意思決定の進み方はまったく異なる、ということです。
また、「PoC(概念実証)」という言葉の捉え方も、国によって違いがあるという指摘も印象的でした。日本では技術検証や体制構築まで含めて広く「PoC」と呼びがちですが、現地では、PoCの段階からすでに本番運用を見据え、そこに残る不確実性だけを検証する、という考え方が根付いている場面もあるようです。
こうした「型」の違いを事前に知っているかどうかで、現地での対話の質は大きく変わるはずだと感じました。
パネルセッション「日本市場は目的地ではない」
Japan Expo Malaysiaのパネルセッションでは、マレーシア政府系の資金提供機関Cradle Fundのジョナサン・リー氏、Update Earth Foundationの福田会長、日本市場へ実際に進出したマレーシアのアニメーション制作会社Monsta Studiosのニザム・アブド・ラザク氏の3名が登壇しました。
福田氏が繰り返し強調していたのは、「日本は世界市場の一つに過ぎない。みんな世界市場で考える必要がある」という視点です。日本市場だけを最終目的地にするのではなく、日本が持つブランドや技術、流通網といった資産を、マレーシア側の市場や文化と組み合わせて、より大きな市場をつくるという発想でした。
一方でジョナサン氏は、日本市場への参入には最低でも1年、場合によっては3〜5年単位のコミットメントが必要だと述べ、関係構築や信頼形成にかかる時間の長さを強調していました。
Monsta Studiosのニザム氏は、実際に日本の企業と協業しながら、権利管理やIP運用のノウハウを学び、同時に自社が持つ東南アジア市場への知見を日本側に提供する、という「価値の交換」としての協業のあり方を紹介していました。日本へ一方的に売り込むのではなく、双方が持つ資産を持ち寄る関係だった、という話です。
三者の意見が完全に一致していたわけではなく、「速く動くべきか、時間をかけるべきか」という点では立場の違いも見られました。ただ、共通していたのは、日本市場に挑む企業が問われているのは、「なぜ日本が必要か」「日本に何を返せるか」「誰と組み、何年続けるか」を自分の言葉で説明できるかどうかだ、という点でした。
日本のAIスタートアップとして、参加して感じたこと
MDECとの会話で特に印象的だったのは、弊社のAIガバナンス事業が単なるプロダクト紹介ではなく、マレーシアの政策課題や産業DXの文脈で受け止められていたことです。AI活用や業務分析への関心は日本に限らず海外でも高く、前向きな反応をいただけたと感じました。
現地の方はとても優しく、採用面でも国籍にこだわらず、日本語でしっかりコミュニケーションできる方であれば、海外展開も見据えて一緒に挑戦できる余地があると感じています。今回の経験を通じて、RAYVENは国内だけでなく、海外の課題にも向き合えるチームをつくっていきたいと改めて思いました。
おわりに
今回のマレーシア視察は、RAYVENにとって、単なる海外進出の一歩ではなく、自分たちの技術や事業を、より大きな文脈の中で捉え直す機会になったように思います。
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