スマートホームの可能性を信じて
僕は2013年に初めてスマートホーム事業に関わり、いつの日かその可能性に魅了されていきました。最初は手探りの状態で取り組んでいましたが、次第にその可能性を実感し、40歳半ばに、スマートホームの未来に対する信念を胸に起業を決意しました。それ以来、生活課題を解決するためのツールとしてのスマートホームの普及に全力を尽くしています。
スマートホームとは?
「スマートホーム」という言葉を聞いたとき、どのような印象を持つでしょうか。最近では、日本でも徐々に「使っているよ」という人が増えつつありますが、それでも依然として「知っているけど使ったことがない」といった声も聞かれます。日本にいると実感がないかもしれませんが、海外では一大産業として成り立っています。
スマートホームは、多くの人が「ガジェット」だと認識を持っているものですが、実は単なる便利なガジェットを超えて、生活のさまざまな課題を解決するためのインフラとしての可能性を秘めています。「自分には必要ない」と感じる方もいるかもしれませんが、スマートフォンが登場したときにも同じことが言われた時代もありましたが、スマートホームについても海外で市場が成長しているように、今後日本でも本格的な普及を迎えそうな気配が高まっています。
スマートホームとの出会い
遡ること2013年の秋、当時勤務していた東急のグループ企業に勤務していたとき、社内からの依頼でシリコンバレーへ出張することになりました。当時、スマートホームに関する知識はほとんどなく、センサーやカメラを中心とした製品群を見た第一印象は、「面白いけれど、サブスク事業として成り立たせるのは難しいだろう」と感じたことを鮮明に覚えています。そもそもデバイスにもさほど興味を持っていなかったこともありました。しかし、その後事業を推進し、海外で次々と登場してくる革新的なプロダクトや、そこから生まれる新たなユースケースを見ていくうちに、スマートホームが生活の質を劇的に向上させる可能性を見いだし始めました。
事業としての苦戦
シリコンバレーに降り立ってから約1年半をかけ、海外の市場調査や海外企業とのビジネス交渉を含め、馬車馬のように事業立ち上げに向けて奔走。ようやく2015年を明けたころにサービスインを迎えました。当時はスマートホーム自体が日本では物珍しく、デモをするたびに関心を示してくれる方々が増え、メディアにも取り上げられました。しかし当時の市場は、スマートホームに限らず、まだ「サブスク型サービス」への理解が乏しく、事業としては大苦戦を強いられました。
その後、スマートホームを日本市場に普及させるためには、もっと日本市場においてもスマートホーム製品の選択肢を増やし、消費者にスマートホームの認知を高めてもらう必要があると感じました。そこで、2018年春に立ち上がったばかりのスマートホームベンチャー「アクセルラボ」に参画し、約1年半を費やして、新たなスマートホームプラットフォーム「SpaceCore」を世に送り出しました。
X-HEMISTRYの設立
今ではSpaceCoreも売れるようになったものの、当時はまだ時代が追いついて来ませんでした。ただ、それまでの事業経験を通じ、スマートホームを事業として検討したいという企業が少しずつ増え始めてきたことを実感しました。そこで、そうした企業の背中を押し、日本市場におけるスマートホームの選択肢を増やすことによって市場を活性化したいという想いから、スマートホームに特化したプロ集団「X-HEMISTRY」を立ち上げることを決意しました。
当初は2人で起業し、2人が生活に困らない程度に食べていければ良いかなと思って始めた会社ですが、企業から丸5年が経過し、6期目を迎えた現在は10名体制を超え、社員一同が日々忙しく動き回っています。X-HEMISTRYを起業するまでは、「スマートホームとは」と説明を求められる機会ばかりの市場でしたが、今となっては認識にバラツキがあれども「スマートホームってなに?」という人に出会うことは稀になり、ようやく日本でもスマートホーム時代がやってきた感を日々感じています。
現在では、国内外の企業に対し、スマートホームの導入支援やアドバイザリー業務を通じて、より多くの人々にスマートホームの価値を届けています。我々の取り組みが、これからの生活にとって必要不可欠な存在になると信じています。