こんにちは!LDI(ローソンデジタルイノベーション)の採用広報担当です!今回はLDIのR&D制度について、データイノベーション部データ分析ユニットの野呂祐介さんに話を伺いました。
ローソンのビッグデータを分析しクーポンの効果測定を担当する野呂さんが、LDIのR&D制度を活用してチャレンジしている独自の「顧客行動基盤モデル」を語っています。大学院で脳活動パターンを研究し、監査法人を経てLDIでビッグデータを扱う野呂さんの視点から、ローソンのグループ企業であるLDIの魅力を解説していますので、ぜひご覧ください!
目次
ビッグデータの分析を追究するため大学院で脳活動を研究し監査法人を経てLDIへ
-プロフィールをご紹介いただけますか。
データイノベーション部データ分析ユニットの野呂祐介です。大学・大学院で理学部に在籍し、「fMRI(機能的磁気共鳴画像法)」を利用して脳活動データのパターンマイニングを研究しました。脳の特定領域を使うとその領域の血中酸素濃度が変化するBOLDシグナルから、脳のメカニズムを解明しようとする分野です。
大学・大学院時代の研究を通じて大量のデータと向き合い規則性を導き出す「データ分析」に興味を持ち、仕事で実践したいと考えるようになりました。そこで、新卒で監査法人に入社しました。
監査法人のクライアントである企業の決算情報など、財務面のビッグデータが大量に集まっており、データから規則性を導き出す経験が活かされるだろうと考えたからです。約3年間、会計監査業務やコンサルティング業務に携わり、監査や業務改善のためのデータ分析を行いました。
例えば将来の貸倒や訴訟額の見積、事業拠点の異常検知において、データ分析を活用したんです。データを軸としたキャリア形成という意味で、研究の対象が脳活動データから企業の会計データに変わりましたが、私の中では一貫してビッグデータによるデータ分析の世界に身を置いていると考えています。
-監査法人からLDIに入社したのは、どのようなお考えからでしたか。
監査法人からの転職を検討したのは、2つの理由からでした。ひとつが「扱うデータに対するアクセス権限などの制約」の問題です。
監査法人は外部の第3者機関ですから、アクセスできる顧客のデータが非常に限定的でした。「本当はこのデータを分析すればもっと質の高い提案ができるのに」と思っても、データにアクセスできず限られてしまうケースが多かったんです。
また、ふたつめが依頼されたタスク以上の業務ができない点でした。外部のコンサルタントの立場上、クライアントの要望に応える形ですから「本当に解決すべき課題は別にある」と気づいても、なかなかその課題にアプローチすることができず、歯がゆさを感じていたんです。
そこで、当事者としてデータをフル活用できる環境を求め、転職を考えはじめました。コンビニエンスストアは全国に店舗があり事業規模が大きく、私自身も消費者として利用していましたから、膨大な顧客データや購買データが集まるプラットフォームであることは知っていました。
そして、LDIはローソンが100%出資するローソングループのIT戦略企業として、ローソンにとても近いポジションにあります。外部クライアントのためではなく、ローソングループという自社ビジネスをよくしていくために動ける環境と考え、入社を決めました。
ローソンのマーケティングデータエンジニアリングにおけるクーポンの効果測定などを担当
-LDIに入社してからの業務をご説明ください。
LDIには2021年に入社し、データイノベーション部データ分析ユニット(当時はオープンイノベーション部)に配属されました。ローソン本体のマーケティングデータ抽出や分析、施策の効果測定などデータエンジニアリングを担当しています。
データ分析で要望が多いのは、LDIが開発と運用を担当しているローソンアプリに関連する分析やレシートなどに付いているクーポンの効果測定ですね。クーポンに対するお客様の行動から費用対効果を検証したい、さらに効果的なクーポンの出し方を研究したいといったマーケティングに関連する要望をいただくことが多いです 。
例えば、ある特定のクーポンを付けた際に、どのような層のお客様から反応が良かったのか、といった点を分析しています。今までに一度も購入したことのない商品のクーポンを使って購入してくださったお客様が、その後クーポンがなくともリピート購入してくれたかといったデータから、「クーポンが新規顧客の開拓につながったか」どうか判断できます。
会員データが紐づいていないと誰が買ったか特定できない限界もありますが、ローソンが蓄積する膨大なデータから精緻に分析するのが私の担当業務です。日々のデータ分析を通じて、お客様ごとにコンビニエンスストアの役割や用途がかなり異なっていることがわかってきました。
毎日お茶だけを買いに来るお客様もいれば、日常的に大量の食品や日用品を購入されるお客様もいらっしゃいます。毎日決まった銘柄のビールを買う方もいれば、新作のお菓子だけを目当てにしている方もいます。
それらのお客様ごとの利用目的や行動タイプを過去のデータから類型化し、タイプ別にクーポンの利用傾向や新規獲得傾向を調べ、適切なクーポンを最適なタイミングで配布できるようになるのが目標です。
-膨大なデータ量をどのように処理しているのでしょうか。
ローソンのデータは全国約15,000店舗から日々集まってくる大量のビッグデータです。データ処理や計算には、高度な統計解析ソフトの基盤環境を活用していますが、これほど大量のデータになると、人手の問題ではなくコンピューターの処理能力やインフラのパフォーマンスが問題になってくるため、分析するデータは目的に応じてその一部を切り取って利用しています。
巨大なデータベースからのデータ抽出や複雑な条件での加工は大変なので、日々の業務はデータ分析というよりデータエンジニアリングに近い業務が多いです。
LDIのR&D制度を活用して独自のイノベーションモデル「顧客行動基盤モデル」の研究開発を推進
-LDIのR&D制度の概要をお話しいただけますか。
LDIはローソングループのIT戦略会社として、ローソンからシステム開発やデータ分析業務を受託しています。そのため、自主的に予算を確保して新しい取り組みにチャレンジするにはハードルがあります。
しかし、単に受託業務だけを行っていると、新しい技術の芽やイノベーションのチャンスを逃してしまう可能性もありますよね。そこで、ローソンから依頼されていない内容であっても、将来的にローソンのビジネスに大きく貢献したり、LDI社内の開発効率に資するような研究テーマであれば、R&D制度として社内予算で独自に取り組むための施策がR&D制度です。
本業が忙しいため、なかなか業務中に時間を割けていないのが現状ですが、R&D制度を利用して、生成AIを活用した先進的なプロジェクトが4つほど展開されています。以前は年にひとつプロジェクトがあるかどうかでしたが、社内で技術への関心が高まっており、新しい挑戦が歓迎される環境が整ってきているので、組織としては素晴らしい傾向だと感じています。
-野呂さんはR&D制度でどんな取り組みにチャレンジしていますか。
日常業務で常に気になっているのが、膨大なデータの一部を使って特定の目的を満たすための小規模な分析や機械学習にとどまってしまっている現状です。ローソンには全国の店舗から大量のデータが蓄積されているにもかかわらず、そのデータを十分に活かしきれているとは言えません。
そこで、この課題を研究を通じて解決したいと考え、蓄積されたビッグデータを最大限に活かせる高度なAIモデルの開発をR&Dのテーマとして進めています。プロジェクト名は「顧客行動基盤モデルの開発」です。
基盤モデルとは、データベース上にある大量のデータをあらかじめ学習させた状態の、非常に巨大なAIモデルを指します。生のデータでは扱いにくいものを、データから知見を取り出しやすい中間状態にしておけば、様々な用途に柔軟に応用できます。
インターネット上の膨大なテキストデータをすべて学習したChatGPTのように、ローソンの顧客データや購買データを学習させた巨大モデルを構築し、様々なビジネス課題の解決に対して汎用的に活用する試みです。
-「顧客行動基盤モデル」は、将来的にどのような形で利用されるのが目標ですか。
顧客行動基盤モデルはすでに一部をローソンで利用していただいています。基盤モデルは、解きたい課題に柔軟に適応させることができるためです。例えば、 お客様と商品の相性を予測したり、店舗ごとに商品の需要を予測 するなどの形でビジネスの意思決定に活用できます。
「もっとも効果的にクーポンを提供できるお客様は誰か」「お客様にマッチした商品はどれか」などを予測する場面で、顧客行動基盤モデルが用いられています。そして、最終的な目的は、お客様の購買行動をコンピューター上で精度よくシミュレートできる状態を作り上げることです。
「今日が晴れではなく雨だったら、お客様はどのように行動するか」「この店舗で特定商品の半額キャンペーンを実施したら、全体の売上やお客様の動きはどう変化するか」といった仮説を顧客行動基盤モデルで精度よくシミュレートできれば、将来や反実仮想の予測精度が高まります 。
将来的には、マーケティングだけでなく店舗ごとのキャンペーン影響や欠品を考慮した需要予測、最適な品揃え戦略、またデリバリーサービスにおける代替商品の推奨といった領域にも活用の幅を広げていきたいですね。顧客行動基盤モデルがローソン全社におけるデータ活用の中心的な存在になれればいいな、と考えながら開発を続けています。
LDIはローソンの巨大ビジネスを基盤に、データを活用して課題の解決に取り組める魅力ある環境
-LDIに興味をお持ちの候補者の皆さんに、メッセージをお願いします。
LDIの最大の魅力は、ローソンの持つ非常に大きなビジネス基盤のもと、データを活用して解決すべきタスクや課題が豊富に存在する環境である点です。外部のコンサルティング会社として関わるのではなく、事業会社の内部組織として、自分ゴトとしてデータを活用した本質的な貢献ができます。
そういった部分に面白さを感じていただける方に、ぜひ来ていただきたいです。実際の業務では、高度なデータ分析の知見より正確にSQLが書けたり、複雑で細かい条件でも的確にデータ処理ができるなどシステム基盤を支えるデータエンジニアリング的スキルが求められる場面も多いです。
ただし、LDIの役割をそれだけにとどめず、ローソンのビジネスに大きく貢献するような新しいプロダクトやAIモデルを自ら作っていくべきだと個人的には強く思っています。ですから、現状に満足せず、新技術に貪欲で挑戦的なマインドを持つ方と一緒に働きたいですね。
ローソンという巨大プラットフォームでのデータ活用に興味をお持ちいただける方からのエントリーをお待ちしています。
※取材時の部署・役職を記載しています。
(取材日:2026年7月10日 聞き手:垣本陸)