ジャンカラを運営するTOAIは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で「売り上げゼロ」の危機を経験しました。
しかし、TOAIはテクノロジーを活用して事業の立て直しを果たし、現在はさらなるデジタル変革に挑んでいます。
TOAIの取り組みや未来戦略について、東原元規 代表取締役社長にインタビューしました。
■ジャンカラを中心とした多角経営の歴史と挑戦
1986年に創業されたTOAIは、「ジャンカラ」の他に飲食店やフィットネスジム、買い物代行サービスなどを展開する多角的な企業です。
父から事業を引き継いだの東原元規社長は、現状に甘んじることなく、カラオケビジネスに大変革をもたらすべく奮闘しています。
米国でMBAを取得し、IT革命の最前線を経験した東原元規社長は、帰国後にTOAIへ参画。
事業ポートフォリオの見直しやホテル事業の売却を進め、「ジャンカラ」事業を中核に据えた成長戦略を推進してきました。
しかし、この挑戦はコロナ禍で試練を迎えます。
■逆境を力に変えたデジタル戦略
コロナ禍でカラオケ店の営業が停止し、「売り上げゼロ」という状況に陥りました。
しかし、東原元規社長はこの逆境を「テクノロジーを活用した変革の好機」と捉え、IT人材の採用を加速。
2020年以降、デジタル部門の体制を30名以上に拡大し、優秀なデータサイエンティストやエンジニアを積極的に迎え入れています。
その成果の一つが、スマートフォンアプリ「すぐカラ」の開発です。
このアプリは予約や精算を非対面で完結できる画期的なサービスとして、業界内で注目を集めています。
■スマホアプリ「すぐカラ」の成功とさらなる進化
「すぐカラ」では、スマホでの予約や精算が可能なだけでなく、入店時や退店時の手続きも不要。
利用者からは「ジャンカラ以外のカラオケ店には行く気がしない」という声も寄せられています。
「すぐカラ」を通じて予約された利用は、全体の60%を占めるまでに成長し、ジャンカラが競争優位性を確立する原動力となっています。
また、顧客体験をより豊かにするため、楽曲の事前登録や飲食の事前注文など、利用者の潜在的なニーズを反映した新機能も追加されています。
■東原元規社長の描く未来とTOAIの成長戦略
東原社長は「デジタルによる成長は無限の可能性を秘めている」と語ります。
TOAIは、これまで「空間ビジネス」として位置づけてきたカラオケ事業を、IT技術の力を活用することで新たな成長モデルへと変革させる取り組みを進めています。
具体的な例として、業界内でのアプリのプラットフォーム化を進めると同時に、オンラインカラオケサービス「UTAO」のリリースなど、顧客の利便性とエンターテインメント体験を向上させるさまざまなプロジェクトが進行しています。
これにより、既存の枠組みを超えた新しい価値提供を目指しています。
また、広告ビジネスへの展開も検討されています。
カラオケルームをショールーム化し、企業の試作品を利用者が試すことで広告収入を得るモデルや、顧客データを活用したデジタル広告戦略を模索中です。
■東京オフィス開設と人材採用の重要性
TOAIは東京オフィスを開設し、IT人材の採用をさらに強化する予定です。
東原元規社長は「やりたい事や事業アイデアはたくさんあります。その実現のためには優秀なIT人材、デジタル人材をもっと迎え入れる必要があります」と語っています。
SIerやSaaS企業の出身者をはじめとする幅広い分野のプロフェッショナルを迎え入れることで、さらなる革新と成長を目指しています。
TOAIは、ジャンカラをはじめとする事業を支え、デジタル領域の拡大に取り組む挑戦者を求めています。