大正時代、田中パンという愛称で親しまれた町の製パン所が、株式会社スタイルブレッドとして焼成冷凍パンの事業を立ち上げて18年。
会社の顔であるスタイルブレッドのパンの開発部署、R&Dグループのキャプテン、小嶋秀一さんにインタビューをしました。
定番の食事パン、ハニーソイの生みの親
―毎日試作に励んでいるパン職人の小嶋さん、今までの生い立ちを教えてください―
出身は、群馬県。高校卒業後は医療系の大学に進学したく1浪までしたのですが、浪人期間中に飲食店でのアルバイトをきっかけに、自分の手で何かをつくりあげる「ものづくり」に興味を抱き、手に職をつけようと考えました。
パンが元々好きだったので、地元のパン屋さんに就職をしたんです。なのですが、飽きっぽい性格なので、20歳から30歳まで2年くらい働いたらやめて次の職場へ、の繰り返しでケーキ店や飲食店を転々としていました。大手ベーカリー、ファミレス、洋菓子店などでの勤務で、良くも悪くもフィジカル・メンタルが結構鍛えられました。
~スタイルブレッドのことを知ったきっかけは~
たまたま地元で入ったイタリアンレストランで食べたバゲットが美味しくて、普段あまりそういうことはしないんですが、お店の方にどこのパンか伺ったんですよね。そこでパナデリア(スタイルベーカリー※の前身)のパンと知り、少なくても月に2,3回、多い時は毎週通い詰めてはパンを食べまくっていました。
※以前運営していた実店舗
↑パナデリア
その後、ここでパンづくりを学びたいと思い、お店に電話で問い合わせをしたんですが断られてしまいました。当時、違うパン屋で働いていたんですが、諦められなくて再度電話をして、田中社長と面接できることになり、「働いてみるか」と言ってもらえて2005年に入社しました。
再アプローチして入社されたとは小嶋さんのパッションを感じます
入社して間もなく、焼成冷凍パンに舵を切った「スタイルブレッド」事業が立ち上がりました。当時は、店頭販売とホテルやレストランなどへのご提供用とで、たくさんのパンを作っていたので正直目まぐるしかったんですが、立ち上げメンバーとして関わることができたことは自分にとってとても大きな財産です。
18年勤めた後の転機
昨年、キッチンカーの事業に興味を持ち退社したんですよね。キッチンカーの事業をやっている方の元で桐生酵母パンを使ったホットドックを販売してました。お客様から美味しい、というお声をいただくことで今まで作っていたパンに誇りも持てたし、自分のモチベーションにもなっていたんですが…スタイルブレッドに戻りたい想いが強くなってきて、再入社させてもらいたいと田中社長にご連絡しました。
↑とある取材時の風景。同チームの田中さんと
ではここからお仕事のお話になりますが、まずチームのお仕事内容を教えてください
一言でいうとスタイルブレッドの顔となるパンの商品開発ですね。
業務を細かく分けると
・ルヴァン種の品質管理と安定供給(研究も含む)
・新商品の開発
・既存商品の改良
になり、現在チームメンバー3人で毎日試作や改良、検証などをおこなっています。
1日の流れについては、
8時に出社し清掃業務後、試作業務がスタートします。
生地の仕込み・成形・焼成等、試作業務をしながら手が空いた時間で原価試算をしたり、資料を作成したり、調べ物をしたり、他部署との情報共有などを進めます。
曜日にもよりますが上長とのフィードバック(相談や報告を行う場)や定例MTGなどもあります。
基本的には、パンをつくるのに仕込みから焼成まで2日間要します。
1日目に生地を仕込んで、低温で長時間熟成させます。
2日目に成型・焼成をおこない、冷凍庫に保管します。
日々この流れを繰り返し進めています。
開発段階から商品発売に至るまでどのくらいかかるんでしょうか
そうですね、大体4ヶ月から5ヶ月程度かかりますね。
業務用は売り先のカテゴリーごと(ホテル、レストランなど)、一般消費者用は自社のオンラインストア向けの試作をつくり田中社長に提案し、許可が出たらセールスマネージャーやオンラインストア担当者に提案・相談をします。
続いて、製造側と試作スケジュールを調整し、現場の方にレクチャーをするラボ試作をおこないます。その後、現場にて少量での試作、中量での試作を進めていきます。
実際、工場に落とし込んだら上手く製造ができないということもあるので、配合を変更したり設備の調整をおこなったり、現場がしっかり製造できるような製造工程をつくります。
そのほか、菌検査、落下テスト、配送テスト、リベイクテスト、剥離テスト、お得意先へのサンプル送付等もほぼ同時進行で進めていきます。
ラボ試作、少量試作:1ヶ月
中量試作:1ヶ月
標準原価、配合、製造工程確定:1ヶ月
各種テスト:1ヶ月
裏面表記などの調整、本生産準備:1ヶ月
新商品の開発と併せて、今まであまり手をかけられてこなかった既存商品の改良についても品質の見直しを随時おこない、より高品質なパンを効率よく生産し、提供していきたいと思っています。
↑定番の食事パン、ハニーソイ
最後になりましたが、今後会社でやりたいことはありますか?
現状、営業側からの要望や提案、田中社長からのアドバイスをいただいたものを受けて開発をしているものが多いので、R&Dチームから提案するパンをどんどん増やしていきたいです。
メンバー3人の少数精鋭ですが、個々のスキルアップはもちろんのこと、チームとしてしっかり成果を出していきたいです。個人的には、田中社長をアッと言わせてみたいです(笑)
ハニーソイのような会社の看板商品をどんどん世の中に提供していき広めていけるよう業務に取り組んでまいります。