株式会社WARC(以下「WARC」)は、成長企業の支援を目的とした様々なサービスを提供しています。
2023年3月に立ち上げたWARC Tech事業部は「テクノロジーの力でコーポレート部門の負を解消する」をミッションに、新規事業として内部統制DXを昨年リリースしました。
そんなWARC Tech事業部を率いるのは昨年取締役COOに就任した億田です。これまでのキャリアを踏まえてなぜWARCを選んだのか、WARCやWARC Tech事業の魅力などについて、詳しく聞きました。
目次
プロフィール
研究職から事業開発まで。好奇心が導いたキャリア
専門家集団とつくりあげる新規事業の可能性
ふたつの柱で挑むWARC Techの事業展開
部門の壁を超えて実現する新しい価値創造
プロフィール
億田 正貴(Okuda Masaki)
COO / WARC Tech事業部 部長
大日本印刷を経て、伊藤忠テクノロジーベンチャーズではスタートアップ企業への投資を担当。その後株式会社レトリバ入社では取締役COOとしてビジネスならびに新規プロダクト開発に従事し、2020年より合同会社DMM.comにて新規事業の推進を担当。
2022年2月より当社に入社。主に新規事業の立ち上げに従事。2024年8月取締役COOに就任。
研究職から事業開発まで。好奇心が導いたキャリア
- 幅広い業界や業種で活躍されてきた億田さんですが、まずはこれまでの経歴を教えてください。
大学では、電気電子情報工学科でコンピューター、特にハードウェアを学んでいました。
その後、大学院の修士課程では電気工学の知見でバイオ領域の研究に取り組むことに興味を持ち分子生物学/構造生物学の研究室で研究を進めることに。
大学院では、高効率に遺伝子を組み替えるためのタンパク質変異体遺伝子の合成とタンパク質精製およびパフォーマンス計測の研究をしていました。
卒業後は大日本印刷に新卒で入社。主にICカードの発行システム開発および技術営業に携わりました。
- 最初のキャリアはエンジニアだったんですね。
はい!そうです。システムエンジニアとして設計〜開発〜生産ライン構築を担当する傍らで、営業同行も引き受けるようになりました。
エンジニアが営業同行することはそこまで多くなかったので、営業チームとの良い関係が築けました。
エンジニアが営業活動をすると技術的な論点を商談の場で解決できるので、スムーズな面もあり営業活動は積極的に関わるようにしていました。
するとだんだん良い案件が集まってくるようになって、そこでビジネスのおもしろさに気づいたんです。
システムエンジニアとして業務を一定程度経験した上で「もっとビジネスサイドで働きたい」という思いが強くなっていきました。
技術職から営業職へのキャリアチェンジは簡単ではないと考え、30代を前に思い切って退職を決意してビジネスを学び直すため、慶應義塾大学のビジネススクールに進学しました。
そこでは主に意思決定論を学びながら、研究活動として企業のコンサルティングやデータ分析を経験しました。
さらには伊藤忠テクノロジーベンチャーズ(以下、「ITV」)でのインターンシップも経験し、現在は上場した企業も含めた複数の投資にも関わることができました。
- VCに進まれた理由は何ですか?
元々興味があったことと、思いがけずITVでインターンシップの機会があったことが大きなきっかけです。
当時、ベンチャーキャピタリストという仕事に興味を持っていましたが、知見は全然なかったんですよね。ですが「応募者の中で一番よく分からない人だけどおもしろそう」という理由で採用されたんです。
最初は1ヶ月の予定だったインターンシップでしたが、どんどん延長いただき、気づけば大学院卒業後そのまま入社することに。
ここからベンチャーキャピタリストとして歩み始めた道ですが、想像以上に大変でした。
最初の2年は自分の投資案件を成立させることができず、他の投資担当のサポートや既存の投資先支援に励む日々。
でも、その間も地道に案件を開拓し続けた結果、ようやく自分の担当として投資を実行できるようになりました。本当に貴重な経験を積むことができたと思っています。
- そこからどういった理由でレトリバさんへの転職に繋がったのですか?
株主という立場だけでなく「事業の現場でもっと手を動かしたい」という思いが強くなっていたんです。
レトリバには、これまでの営業経験も活かしつつセールスエンジニア兼経営企画として入社しました。
その後、経営企画室長として営業からマーケティング、コンサルティングや開発、広報、資金調達まで幅広い業務を担当。最終的にはCOOとして経営にも携わりました。
その後は一度休憩のため退職し、個人でスタートアップや上場企業の新規事業立ち上げのコンサルティングやデータ分析などの仕事をしていました。
でも、コンサルタントとしてクライアントの事業にアドバイスするよりも「現場で事業に関わりたい」「手触り感を持って事業運営をしていきたい」という思いから、ご縁のあったDMM.comに入社することにしたんです。
最初は一メンバーとして入社して頑張ろうと思っていたら、入社翌月には子会社のビジネス開発マネージャーになったりと、意思決定や人事のスピード感に驚きました。
その後も色々な部署を経験しているうちに、知人からの紹介で山本と石倉に出会いました。
ちょうどそのとき、WARCは新規事業を推進する人を探していたんです。
当初は知人を誘っていたそうなんですが、結果的に私が選考を希望して入社となりました。
専門家集団とつくりあげる新規事業の可能性
- WARCの面接では、内定後にご自身から再度面接を希望されたと聞きました。
そうです。
最初に山本、次に石倉とそれぞれ面接して内定をもらいました。その後希望して、もう一回山本と面接しました。
- なぜ再度面接を希望されたのですか?
内定をいただいた段階で、自分がWARCにどんな価値を提供できるのか正直わからなかったからです。
石倉との面接で印象的だったのは「会計士という専門性を持つメンバーと新規事業を立ち上げる」という話。
私自身、自分が何をやりたいのか明確になっていなかったのですが、話を聞いたときに感じたワクワク感は本当に特別でした。
専門性の高い方々のアイディアを具現化し、ビジネスに育てていく。
自分の経験も活かせますし、それまで「自分発のビジネスの芽が見つからない」という課題があったのですが、一気に解決する可能性を感じたんです。
ただ、それで「じゃあ入社します!」という意思決定はできませんでした。
新規事業部門は、入社した瞬間は価値がゼロの状態からのスタートです。
その状態は許せなかったので、新規事業が本格的にスタートするまで、自分ができることを明確にしておきたかったんです。
実は当時、他にも数社からオファーをいただいていたのですが、山本との面接では「一番課題が多く、自分の提供価値がある会社を選びます」とはっきり伝えました。
そのときにWARCの課題として見えてきたのが、営業組織の弱さでした。
それまでは経営陣ネットワークを通じた紹介営業が中心で、組織的な営業体制ができていなかった。
当時はそれで十分に収益を稼げていたので問題なさそうでしたが、山本・石倉は更に成長を志向していたので将来的にビジネス開発組織が必要になると感じました。ここなら自分が貢献できると確信して、入社を決意したんです。
実際に入社後、すぐに『SYNCA』の営業チーム立ち上げと新規事業の企画立案に取り組みました。
- 入社後、WARCにどのような変化があったと感じていますか?
かなり大きな変化があったのは『SYNCA』の顧客獲得規模とCo-WARCの新規案件の獲得方法です。
『SYNCA』はマーケティングコストをかけない営業体制構築を行いました。再現性のあるアプローチを模索して組織で営業活動をしていく型に。
この結果、積極的に導入を希望される企業の開拓が進むとともに、サービス導入までの一連のプロセスを営業チームが担当できるようになりました。
これにより営業チームの規模に応じた安定的な成果創出を実現することができました。
一方、Co-WARCですが、WARCの強みである企業とのネットワークを活かした案件獲得と、既存クライアントから継続でご利用いただくケースが多くを占めていました。
それは今でも非常に重要な部分ではあるのです。ですが、新しい経路として営業組織やマーケティング組織が主体となって新規案件を獲得できるようになってきました。
また、組織としての動きが整ってきた点も大きな変化だと思っています。
以前は個の側面が強い組織でしたが、2023年にCFOの齋藤が入社し経営管理体制が整っていきました。
また、昨年に私と河上、齋藤が取締役に加わり、会社として一丸となりながら物事を進められるようになった。これは私が入社してから大きく変わった部分だと実感しています。
ふたつの柱で挑むWARC Techの事業展開
- WARC Techがどんなことをしている事業部か教えていただけますか?
主にふたつあります。
ひとつはプロダクト開発です。新規プロダクトを見出すのがミッションで、現在あるプロダクトが『smoove J-SOX』です。
もうひとつはビジネス開発。
全社のビジネス開発、マーケティング活動、ビジネス活動をやっていきます。事業部を超えて全社的な営業機会を作っていく、このふたつがミッションです。
これまで、数多くのベンチャー・スタートアップを含む成長企業のハンズオン支援をしてきたからこそ、WARCが持つナレッジって本当にたくさんあるんです。『smoove J-SOX』も実際にその中から生まれました。
そういったナレッジやリソースについて統合的にマーケティングし、提案していくということをミッションとしています。
- 『smoove J-SOX』はどのようにして出来上がったのか、もう少し詳しく教えてください。
毎週金曜日に新規事業の案についてミーティングをやっていて、そこで無数に出ていました。トータルで50本ぐらいは案が出ていましたし、並行していくつも企画書も作成していました。
社内の専門家に知見を借りながら新規事業を作っていたので、かなりスピード感を持って現場感のある企画作りが出来ていたのではないかと思います。
『smoove J-SOX』については、Co-WARCを管掌している取締役の河上からの「内部統制の3点セット作りが大変」という一言から始まりました。
そこから、まずは内部統制の業務を整理することからスタート。その後は3点セット作り、内部統制の構築や顧客のペインなどについてCo-WARC事業部のコンサルタントにヒアリングしながらカスタマージャーニーを作成。
それらがベースとなって企画書になりました。
Co-WARCのメンバーにもたくさん手伝ってもらいました。本当にありがたかったです。
顧客について解像度が高いメンバーが社内にいることは心強いし、迷いが少なく新規事業づくりが進んでいったなと感じています。
実際に『smoove J-SOX』をサービスとして提供できるようになるまでは、約1年2ヶ月の準備期間がありました。
- かなり短期間でのリリースだと思うのですが、当初は事業部のメンバーも数名だったと思います。少人数ながら成功したポイントは何ですか?
成功のポイントは、シンプルですが「人」です。
初めは、CTOの田中が入社してくれたことが本当に大きかったです。
内部統制関連のプロダクトが一定の形になった頃、次の段階として「どのように開発を進めていくか」という議論が始まり、開発チームの結成が検討されていました。
そのときに相談をさせてもらっていたのが田中さんでした。
田中さんとは元々知り合いだったのですが、こういったプロダクト作りのときに真っ先に頭に浮かんだのが彼でした。そしてちょうどタイミングが重なり、WARCでの新規事業開発に参画してもらうことができました。
次は、元々Co-WARCでコンサルタントをしていた柏原です。
彼がコンサルタントではなく新しい次のキャリアを考えていたタイミングと、事業部立ち上げのタイミングがちょうど重なって。
「0から事業をつくる」ことに興味を持っていたので、異動をしてくれました。
元Co-WARCメンバーということもあり、Co-WARC事業部やクライアントとのキャッチボールがとても早く、プロダクトの検証がハイスピードで終わりました。おかげでどんどんプロダクトを進めることができたんです。
田中さんと柏原さん、このメンバーでスタートできたことが良かったです。
そのあとは続々と新しいメンバーが入社してくれたり『SYNCA』の開発チームが合流してくれたりと、一気にチームとして形になって加速しました。
2023年の秋頃から採用にも力を入れるようになって、チームが一気に大きくなりました。
部門の壁を超えて実現する新しい価値創造
- 昨年2024年の8月に取締役に就任されましたが、その経緯を教えていただけますか?
それでいうと、私はWARCに入ると決めたときから取締役になる心構えでいました。
ですが役職にこだわっているわけでもないし、山本とそういった約束をしたわけでもありません。
まずは成果を出して、経営陣になれるような実績を積むことと責任感を持つことが大切だと考えていました。
特に注力した点は課題はふたつ。ひとつめは「ビジネス」です。
当時の会社を見渡すと、会計士とエージェントというステータスを持っており、管理面は強化されていましたが、ビジネス開発分野はまだまだ発展途上でした。
そこを自分が主体的に取り組んでいこうと決意しました。
もうひとつは「事業部間の連携」です。
これはファンドでの経験が基になっています。母体が総合商社のため、各部門が独立して動いている様々な部署との業務提携を進める機会が多くありました。
この経験から、部門を横断する連携の重要性を実感しましたし、この経験を活かさないわけにはいかないと思いました。
- COOという役職は億田さんが希望されたんですよね?
そうです。これは横串を持って各部門を連携させたいという思いからです。
COOとしての最初のミッションは、ビジネス面の立ち上げと、それをスケールさせる仕組みを確立させること。そして、複数の事業間でシナジーを生み出すことを自分の重要なミッションとして設定しました。
企業によっては、売上を上げている部門が強くなりすぎたり、プロダクトを作っている開発部門が強いといったアンバランスな状態を良く見かけます。
私がWARCで実現したいのは「対等な関係性」です。
意識して「対等な関係性である組織」を作っていく必要があると私は考えています。
例えば、Co-WARCとWARC Techの関係がわかりやすいかと思います。
Co-WARCはコンサルティング、WARC Techは営業とプロダクトと、それぞれ得意分野は異なりますが、お互いの足りない部分を補完し合っている。
WARCの良いところは、役員陣が完全にフラットな関係性であるという点です。
役員陣の中でもこの「対等な関係性」を保ち、それぞれの役割を果たすことを意識していますし、事業部間でも同様です。
- 人数が増えると「対等であること」がどんどん難しくなると思いますが、意識されていることや実践していることはありますか?
組織においては役割をきちんと分担していくことを意識しています。
WARC Tech事業部で例えると、営業やカスタマーサクセス、エンジニアと、それぞれの専門分野に集中できる組織づくり。かつ各役割のメンバー同士で対等な関係性と連携を求めています。
特に意識しているのは、組織としての仕組みづくりです。
個人に依存すると、その人の能力の限界が組織の限界になってしまう。そうではなく「組織として機能する体制」を作りたいですし、その上で仲間を増やしていきたいです。
現在のWARC Tech事業部では「特定の誰かがいなければ成り立たない」という状況は着実に減っていますし、その分、皆が新しいことにチャレンジでき、成長できる。
これからもそんなチームであり続けるよう、意識しています。
- 億田さんが思うWARCの強みは何ですか?
大きくふたつあります。選択肢の多さと、解決の深さです。
選択肢の多さについて具体例を挙げると、エージェント、コンサル、プロダクト、イノベーションと、クライアントの悩みに対して様々なアプローチができます。
例えば「役員採用をしたい」というご相談をいただいたとき。
エージェント事業だけの会社だったならば、単に人材を紹介するだけですが、私たちはそもそもなぜその人材が必要なのかという本質的な部分から一緒に考えます。
その結果、実は「役員ではなく、違うポジションの人材が必要」だということが見えてくることもあったり、採用支援よりもコーポレート領域の支援で内部を整えたほうが良いのではないかというご提案もできます。
このように、WARCはひとつの課題に対して多角的なアプローチをすることができます。
各分野に精通したメンバーがいて、それぞれが深い専門知識を持っている。この選択肢の多さと専門性の深さ、このふたつがWARCの最大の強みだと考えています。
- では、WARCにまだ足りないところは何だと思いますか?
先ほど事業部間の連携の重要性についてお話ししましたが、今いるメンバーであればもっと良い連携を生み出していけるはず。
より密な連携を築いていくことによって互いの専門性を活かしたサービス提供の機会を広げ、さらなる付加価値を提供できるようになると考えています。
ビジネス開発組織としても、まだまだ成長の余地があります。
例えば、経営管理のニーズに対する多角的な提案力といった面でも伸びしろがあると感じています。
これは現在の強みと矛盾するものではなく、むしろさらなる進化の可能性を示しているといえます。
WARCの最大の特徴は、幅広い提供価値とそれらを的確に提案できる力にあります。さらに、会計士が揃う組織としてガバナンス領域のSaaSに挑戦していることも、他社にない強みです。
これらの価値をさらに高め、成長企業の皆様により良い価値を届けていきたいと思います!