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質の高い顧客の獲得にディープラーニングは必須―RTB House×オンワードがセミナーを開催

業界向けの最新システムをはじめ、オンラインビジネスに関わる知見が一堂に集結するイベント「イーコマースフェア 東京 2024」が2月21、22日、都内で開催された。

本イベント内のセミナーの1つ、「ONWARDが近年注力するECマーケティングの強化施策とは?」と題したセッションには、RTB House Japan株式会社 アカウントマネージャー 石原 立也氏、株式会社オンワードデジタルラボ デジタルマーケティングDiv. マーケティングマネージャー 小泉 雄也氏が登壇した。

高LTVが期待できる新規ユーザーの獲得を

アパレル事業を営むオンワードでは、2009年にオープンした自社ECサイト「オンワード・クローゼット」を通してEC戦略を推進している。

小泉氏は、同社のEC戦略における注力領域の1つとして「高LTVが期待できる新規ユーザーの獲得」を挙げ、中長期的な費用対効果を可視化して、それを広告媒体評価に活用しているとした。

例えば、初回CPAが1万円の媒体Aと5000円の媒体Bを比較すると、短期的な費用対効果では媒体Bが優るが、中長期的に見ると媒体Aが高い効果を上げることもある。

そこで現在は「初回購入から一定期間の累計購入金額÷初回獲得コスト」を計算式として、中長期の売上集計期間を設けたROASを指標としている。この点について小泉氏は、「初回購入時に費用対効果が多少悪くても、その後継続的に購入頂ければ、長い目でみれば投資対効果は良くなっていく。初回購入件数だけでなく、その後の継続状況も加味して評価することで、将来LTV向上が見込め、ひいては自サイトのファンになって頂けるポテンシャルのあるユーザーと出会える媒体を評価している」と述べた。

ただし、これでは例えば評価期間を半年として、半年間のROASで評価する場合、半年ROASが判明するのは文字通り半年後になってしまうため、実際の運用指標には半年ROASと強い相関がある別指標を設定したうえで、「将来的に継続的な購入が見込める新規ユーザーを獲得できる広告媒体を評価しており、そこで非常にパフォーマンスが良いのがRTB Houseである」とした。


初回顧客×GA連携×専用カスタムバナーで効果を最大化

オンワードの広告施策を支えるのがRTB House Japanである。ディープラーニングAIを活用した広告配信とパーソナライゼーションを提供する世界で唯一のアドテクカンパニーである同社は、ユーザー行動を学習したディープラーニングを活用して行動予測ができる点を強みとしている。

AIの概念が生まれた1950年から半世紀以上が経つ中で、1980年にはマシンラーニング(機械学習)が、2000年代にはディープラーニング(深層学習)が出現し、RTB Houseのディープラーニングエンジンも同様のタイミングで開発されている。

石原氏は、「生成AIが生まれ、第4次AIブームとなっている昨今では、ディープラーニングを用いることで、より複雑なデータを扱うことができる。そのような環境で、100%ディープラーニングエンジンを採用できている広告媒体はRTB Houseのみである」と指摘した。

また、石原氏はオンワードとの具体的な施策の例として、①「新規顧客・初回顧客のLTV最大化」、②「GA連携」、③「専用カスタムバナーの導入」の3つを示した。

①は、同社のカスタムタグを活用してユーザーの購入回数を捉える施策となっている。初回ROASがどの程度あがったのかを計測して、2回目購入への促進配信などに最適化をかけている。

②のGA連携による最適化では、媒体タグで取得できる情報だけでなくGAタグや外部の計測ツールから得られるCVや売上を読み込ませ、そこに対して最適化をかけていく。高い効果が得られるだけでなく、他の媒体と並走してGAベースで評価できるため、最適な予算配分も可能になる。

③の専用カスタムバナーの導入では、セール、値引き、雑誌に掲載されている商品について広告バナーにも同様の情報を記載することでユーザーに対して一歩踏み込んだ訴求が可能となる。これは同社が独自で製作しているカスタムクリエイティブフォーマットとなっている。

石原氏は、「クライアントの売上最大化は当然ながら主要な施策である」としながらも、「当社の施策はそれだけに留まらない。2社の取り組み開始以降、コロナ禍を挟みながらも前述の初回売上最大化を初めとする様々な施策を導入して5年間で209%成長と順調に配信を伸ばしている」とした。



開発・提供がRTB Houseだからこその知見

その後、デジタル業界を席巻しているクッキーレスに話題は移る。石原氏は、ユーザーの個人情報保護の観点からクッキー廃止の流れになっているとしたうえで、クッキーレス時代においてもGoogle Privacy Sandboxという技術を使用することで、プライバシー保護と広告効果の担保を両立させることが可能であるとした。

ここではProtected Audience APIが鍵となる。これはGoogle Privacy Sandboxに含まれる技術で、ユーザーの個人情報を保護したまま、ユーザー行動を通して、特定の興味関心を持つユーザーグループをセグメントすることができる技術である。Protected Audience APIによりDSP事業者はユーザーの個人情報にアクセスができなくなるものの、今までと同様の広告配信が可能となる見込みとなっている。

さらにProtected Audience APIには、Product-Level Turtledoveと、Outcome-Based Turtledoveという2つの主要な機能がある。前者はユーザーの興味関心のセグメンテーションを、後者はユーザーの購買意向や、どれだけお金を使ってくれるユーザーかを判別する仕組みになっている。どちらもユーザーのブラウザに情報が保存されることで個人情報が保護される仕組みになっているとともに、特筆すべきは、これらの機能はRTB Houseが開発してGoogleに提供したものであるということである。この2つは実際にProtected Audience APIのコア機能となっている。


セミナー終盤の「クッキーを使用したリターゲティングとクッキーレス下でのターゲティングの効果は異なるのか」という質問に対して石原氏は、「現状は、DSP事業者とメディアがそれぞれ保有するクッキーをすり合わせるCookie Syncという作業が発生している。Cookie Syncは技術的な問題でユーザーの欠損が発生してしまう。一方でProtected Audience APIの場合はデータソースがChromeのみとなるため、Cookie Syncを必要とせず欠損が発生しない。これにより広範囲なユーザーへの配信が可能となるのではないか」と期待を寄せた。

また、「Protected Audience APIは他社でも利用できるのではないか。RTB Houseと他の広告媒体で違いはあるのか」という質問に対しては、「Protected Audience APIのコア機能(Product-Level TurtledoveとOutcome-Based Turtledove)は、当社が開発してGoogleに提供した技術である。当社には圧倒的な知見があり、ディープラーニングによる最適化の独自性と優位性も引き続き発揮できると考えている」と自信をのぞかせた。


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