こんにちは!株式会社NTTデータフィナンシャルテクノロジー(以下、NTTデータFT)決済イノベーション事業部です。
今回は、2025年7月に着任した中村事業部長へのインタビューをお届けします!
約30年にわたり、決済領域で“ものづくり”のキャリアを歩んできた中村事業部長。
「技術に尖りたい人を歓迎する」
「“やりたいことを阻害しない”環境を約束する」
「失敗は成長の糧」と力強く語ります。
そんな中村事業部長に、決済イノベーション事業部の「現在」と「これからの挑戦」、生成AIの活用や求める人材像など幅広く話を聞きました。ぜひご覧ください!
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中村 泰二郎
NTTデータ フィナンシャルテクノロジー 決済イノベーション事業部長
1995年NTTデータ入社。入社以来決済領域のシステム開発に従事し、NTTデータFTの前身の1つであるNTTデータネッツの立ち上げにも参画。2025年4月にNTTデータFTの一員となり、2025年7月に決済イノベーション事業部長に就任。生成AI時代に対応すべく、組織の改革に取り組んでいる。
NTTデータグループの「つくる」中核として
――中村事業部長、本日はよろしくお願いします!
はじめに、NTTデータFT、特に決済イノベーション事業部について、特徴を紹介してください。
中村:NTTデータFTは、NTTデータグループの金融部門における「開発」を担う中核企業です。全銀システムや地方銀行の共同利用型勘定系システムなど、日本の金融インフラを支えています。
その中で決済イノベーション事業部は少し毛色が異なり、キャッシュレス決済総合プラットフォームの『CAFIS』を中心とした「サービスの提供」を担っています。
他の事業部は“システムをつくって納品する”SIがメインであり、ミッションクリティカルなシステムを構築する非常に高度な技術と品質が求められます。これに対して私たちは、ミッションクリティカルなシステムを扱う点は同じですが、そちらを“サービスとして提供して利用料をいただく”のが主なビジネスモデルです。より市場に近く、アジリティが求められる環境と言えますね。
――そんな決済イノベーション事業部のトップに、2025年7月に就任されました。就任時の想いをお聞かせください。
中村:率直に嬉しかったです。実は私はもともと、NTTデータの出身なんですよ。NTTデータはIT商社の側面もあり、社員も営業や企画の人材が多い組織ですが、その中で私は「開発」や「運用」といった「ものづくり」に軸足を置き続けてきました。
NTTデータFTはグループにおける「ものづくり」のコアであり、自分の経験を活かすのに親和性が高い。とても良い会社に来られたなと思っています。何より、私はものづくりが好きですしね。
――中村事業部長は新卒で入社し、「NTTデータグループ一筋」のキャリアを歩んできたと聞きました。
中村:はい。1995年に新卒でNTTデータに入社し、ずっと決済領域に携わってきました。今年でキャリア30年目になります。入社3年目には、NTTデータから出向し、NTTデータFTの前身組織の一つであるNTTデータネッツ(以下、ネッツ)の立ち上げにも参画しました。現在の決済イノベーション事業部の部長陣とは、その頃から25年以上の付き合いがあります。
――着任して感じた、決済イノベーション事業部の印象を教えてください。
中村:まず、「ずいぶん大きくなったな」と驚きました。7~8年前は150人ほどの組織でしたが、今では約300人と倍増していて。しかも、ネッツを立ち上げた当時からのDNAもしっかり受け継がれている。これはすごいことだと思います。
また、権限と責任をセットで渡されている、自律したチームが多い印象です。やることがカッチリ決まっているわけではなく、「来年はどういう企画で何をやるか」が各チームに任されている。NTTデータFT全体を見ても、特に自由度が高い事業部ですね。
――NTTデータとの関係性はいかがですか?親会社であり、中村事業部長の古巣でもありますが……。
中村:NTTデータとの距離が非常に近く、風通しが良いのもこの事業部の強みです。上下関係ではなく「パートナー」として役割分担しています。
私はネッツの立ち上げに携わったこともあり、「血を分けた兄弟」という感覚が強いですね。会社間の垣根をほとんど感じずに、困ったことがあればすぐに相談できる。良い関係が築けていますよ。
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中途入社メンバーが成長を牽引!良い意味で「誰でも染まりやすい環境」
――ここからは「組織」について深掘りしていきます!まずは全体の構成を教えてください。
中村:まず共通組織として「事業推進担当」があります。この担当内に、技術に特化した少数精鋭ユニット「Innovation Hub」、略して「iHub」を新たに立ち上げました(2025年4月新設)。
事業の担当は「第一」から「第五」までの5つで構成されています。規模は第二担当が最大で約70名、急成長中の第四担当が約60名です。デジタル領域を担うのは第四と第五で、着実に勢力を伸ばしています。
――素朴な疑問ですが、担当名が領域ではなく「第一」「第二」といった数字になっているのはなぜですか?
中村:私たちのビジネスは、どこか一つの担当だけで完結する仕事がほとんどありません。複数の担当が連携して一つのシステムをつくり上げることが常です。また、時代の変化に合わせてそれぞれが担当する領域も微妙に変化します。
第一がCAFISそのもの、第二が周辺業務、第三がオンプレミス環境、第四がデジタル開発、第五がSREという役割分担はありますが、プロジェクトによって連携の組み合わせは変わります。名前を固定すると、頻繁に組織変更することになりかねません。ナンバリングにすることで、フレキシブルに対応できる体制にしています。
――横の連携がしやすいと、トラブルへの対応にも強そうですね。
中村:そのとおりです。横できちんと連携して、自分たちで前に進めようとする文化が強くありますね。実際に、あるプロジェクトで急な欠員が出た際も、部長同士が連携してリソースを調整し、解決策を見つけてから私に報告してくれました。300人規模でこうした動きができるのは、この組織の大きな強みです。
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――ご自身は、事業部長として普段どのような業務をされていますか?
中村:戦略立案や検討が一番大きな仕事で、今まさに次期3年の中期計画を検討しているところです。あとは各プロジェクトの進捗確認や審議の承認。加えて、人材育成にも力を入れています。
現在は自分が決定権者ではない(部長以下が意思決定する)審議にもあえて参加させてもらっています。自分自身の勉強のためでもありますが、マネージャー層と接する貴重な機会として、私の気づきや見ている景色を伝えたいと思っています。
――人材育成については、入社1・2年目のOJT報告にも出席されているとか。
中村:必ず出席してコメントしていますよ。新人のOJT報告を見ると、「品質に関するDNAがしっかり受け継がれているな」と感じますね。決済は1円でも間違えば大変なことになる世界です。「品質が何よりも大事」という考え方を、先輩たちが丁寧に仕込み、文化として根付かせている。新人を育てる姿勢に感心しています。
――新人をしっかり育てる一方で、中途入社したメンバーも多く活躍していますね。
中村:正直、誰が新卒採用で誰が中途採用か、見分けがつかないほど馴染んでいますよ(笑)。彼らが短期間で重要なポジションにつき、組織をリードしてくれています。質を落とさずにスケールできているのは、中途採用のメンバーが活躍してくれているおかげです。
――中途入社したメンバーがうまく溶け込める要因は何だと思いますか?
中村:人がみんな、やさしいんですよね。「それはお前の責任だ」と突き放すのではなく、支え合い、チームでバックアップしながら進める文化があって。良い意味で、誰でも染まりやすい環境ですよ。
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「覚える」から「考える」へ―生成AI時代のエンジニアに求められるもの
――続いて、「事業」について伺います!これからの決済業界の展望をどう捉えていますか?
中村:業界全体の展望は明るいですね。日本のキャッシュレス比率は現在40%程度ですが、韓国やアメリカなどの先進国は80%程度に達しています。つまり、まだ倍以上の伸びしろがある、と考えています。
一方で、競争は激化しています。かつてのCAFISは、カード会社をつなぐネットワークとして競合がいない状態でした。しかし現在は、PSP(決済サービスプロバイダー)や新たな決済代行業者が台頭し、私たちも後発として参入する領域が増えています。
競争相手が多様化する中で、市場が求めるスピードや品質にいかに応えられるか。既存のやり方に固執せず、新しいやり方を見つけなければ生き残っていけないでしょう。
――市場の要求に応えるために、決済イノベーション事業部ではどのような取り組みをしていますか?
中村:従来は「高品質」「高性能」「高信頼性」なシステムを時間をかけて開発してきましたが、キャッシュレス決済が広がってからはスピードやコストも重視するようになりました。4年ほど前からデジタル開発へのチャレンジに力を入れています。
最近では『アクワイアリング共同プラットフォーム™』(※)など、お客様の業務に入り込み、共通化して便益を提供する取り組みも始めています。CAFISを通すだけではなく、新しい顧客体験や決済方法を提供していく。そのために、アジリティがますます重要になってきています。
新しい技術を「使わない理由」を探すのではなく、「どう使っていくか」を考える。NTTデータFTの中では、決済イノベーション事業部が一番先にその課題に突きつけられていると感じますね。
※アクワイアリング:カード会社の事業活動における加盟店契約業務
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――新しい技術を活用して、アジリティを向上させる。生成AIの活用が一つの鍵になりそうですね。
中村:そのとおりですが、簡単な話ではありません。新しく何かをつくるケースとは違い、我々は脈々と積み上げてきた既存の資産があります。これを、品質を担保しながら、いかにして生産性を上げて進化させていくか。まさにここが試される3年になるでしょう。
生成AIはずっと進化し続けるので、その成熟を待つのではなく、なるべく早くトライするのが正解と考えています。壁にぶつかり続けると思いますが、その度に課題を設定しクリアしていくのが新しいスタイルになると思います。
――生成AI時代において、エンジニアに求められることも変わるのでしょうか。
中村:大きく変わりますね。「生成AIは自分のできないことを代替してくれる」と誤解されがちですが、生成AIを使いこなすには「今までよりも技術力がいる」んですよ。
最終的な品質を評価するのは人です。生成AIが書くコードを、セキュリティ、メンテナンス性等を含め決済サービスに求められるレベルへ引き上げる。そのためには高スキル者がAIをコントロールすることが必要です。この構造は当面変わらないでしょう。
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中村:それともう一つ、大きな変化があります。我々の業界は、どちらかというと「覚える」ことが多かったんです。決済業務を覚える、開発手法を覚える、設計・試験・検証・リリースの方法を覚える。これが仕事の大きな側面でした。でもこれからは、「覚える」と同じぐらい「考える」ことが重要になります。
新しいものを使いながら、新しい方法を考えていく。市場の中できちんと課題を設定して向き合っていく。そういうことができる人、やりたい人にとっては、すごく魅力的な時期であり、環境だと思いますよ。
「技術に尖りたい人」を歓迎。失敗から学び、自由に挑戦してほしい
――変化しながら、決済の領域で価値を発揮し続けていく。そのために、どのような人材を求めていますか?
中村:「もっと成長したい」「市場の中で高い価値を発揮したい」という強い欲求を持っている人。そして、自分の技術を磨き、尖りたい人を求めています。
現時点で特別なスキルを持っていなくても構いません。「技術に尖っていきたい」という意欲がある方は大歓迎です。
――「技術に尖りたい人」ですか。一般的なNTTデータグループのイメージとは違うような……。
中村:そうかもしれませんね。従来の開発は、「同じプロセスをたどれば誰でもできる」という世界でした。しかしAI時代に対応するには、高スキル者が圧倒的な生産性を上げる「尖る」ロールモデルをつくっていく必要があります。
技術に特化した新組織「Innovation Hub」を立ち上げたのも、そのためです。「尖りたい人は遠慮なく尖ってください」というメッセージを込めています。石橋を叩きながら品質を高くするNTTデータグループの持ち味も大事ですが、これからは徹底的に尖らせるロールモデルもつくっていきます。
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――技術以外のマインド面についてはいかがですか?
中村:会社に「育ててもらう」のではなく、「自分はどう成長したいか」を自ら設定できる人が望ましいですね。ちょうど先日(2025年10月1日)の内定式で、社長も話していました。「自身のパーパス実現のために会社を利用する、そのくらいの気持ちでやってほしい」と。そのとおりだと私も思います。
――主体性と成長意欲を持つエンジニアに向けて、事業部長として約束できることはありますか?
中村:「やりたいことを阻害しない」環境を約束します。実際、高スキルな人材に「他社に転職せずNTTデータFTにいる理由は?」と聞くと、「好きにやらせてくれるから」という声が多いですね。
これは単なる放任ではありません。自由にやって成果を出せば、きちんと価値として認められる。技術系に特化したキャリアパスも選択できる。組織として、「自由な挑戦」や「技術の追求」を応援する体制を整えています。
――最後に、この記事を読んでいる方、特にNTTデータFTへの就職・転職を検討している方へのメッセージをお願いします。
中村:「品質」や「尖る」といった言葉で少し心理的なハードルを上げてしまったかもしれませんが、ぜひ気軽に扉を叩いてください。まずはカジュアル面談などで会社の雰囲気をつかんでいただけたらと思います。
そして縁あって入社したら、どんどん失敗してください。私自身、試行錯誤を繰り返し、周りに助けてもらいながら成長してきました。皆さんにも、挑戦や失敗から学び、自らの課題を見つけ、スキルを磨いていただきたい。「市場価値を高めていつか外に出てやる」くらいの気概で飛び込んできてもらっても構いません。引き留める魅力があるかどうかは、我々の責任ですから。
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今回は、中村事業部長へのインタビューを通して、決済イノベーション事業部の「現在」と「これからの挑戦」についてご紹介しました。
少しでもNTTデータFTや決済イノベーション事業部について知っていただけたら幸いです。
当社に興味を持ってくださった方は、ぜひ一度カジュアル面談でお話ししてみませんか。
お会いできることを楽しみにしています!
企画・編集:株式会社スリーシェイク 文・撮影:三谷恵里佳