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COVID-19で見えた新たな価値観

とある高層ビルでの違和感

今年の1月、とあるスタートアップ イベントの流れで渋谷スクランブルスクエアの某オフィスを見学する機会がありました。最新の高層インテリジェントビル最上部で都心を一望しながら、ビールサーバー付きのハイスペックオフィスで仕事をこなす。

若い頃であれば夢中になった(かもしれない)であろう別天地。が、ある程度経験を積み重ねた今、そこに感じたのは強烈な違和感でした。

それからわずか3ヶ月後の今(執筆時)、都心ではオフィスの価値が暴落していると聞いています。出社そのものの意味、いや東京であることの意味がグラッグラに揺らいでいるように思います。

それは東京から見れば悪夢ですが、日本全体にとっては好機という側面も少なからずあるように思います。

都心で培われた頭脳と叡智を地方都市に還流させる、かつてない攪拌(かくはん)だと断言します。

※海洋は嵐による撹乱で豊かになる

東京をやめるという選択

私が独立の準備をしていた2010年頃、私はまだ東京に住んでいました。当然東京で独立するつもりでした。

同時に、殺人的に混雑している千代田線や日比谷線、星の見えない空、川とは言えない川、清流や山林、まともな海岸が果てしなく遠いという住環境に、10年近く住んでも遂に愛着を持てずにいた事は確かでした。

そして年が明けた2011年3月11日の午後。秋葉原で勤務中に天地が激しく揺れ、ワイドディスプレイが真横に吹っ飛んでいくのを目撃しました。

以後、社会は激変し、店頭からは飲料水が消え、粉ミルクが消え、よく覚えていませんが色々消えました。そう、今回のマスクやアルコールのように。

都市部はパニックに弱い。高度な都市であるほど、やばいくらい想定外に弱い。そして乳児のための粉ミルクや水をババア シニアたちが買い占めていく。(なぜなんだ!)

..もうやめよう。

その年の夏、地元である広島へのUターンを行い、恐ろしく不利な地方都市での独立・開業へと至りました。

人はこれを「都落ち(みやこおち)」と呼びます。

それでも東京をやめない人たち

3.11は価値観を転換させるターニングポイントだと思いました。事実、あれを機に生き方を変え、Uターン、Iターンした人たちを何人も知っています。

が、日本の回復力は強かった。

原発案件を除けば、少なくとも被災地以外ではすぐに日常を取り戻し、東京離脱を検討していた知人らも、何もなかったかのように東京住まいを続け、生き方を変えるはずだった日本は、またいつもの日本へ。やがて景気は回復し、東京一人勝ちの構図が、もうどうしようもないほど加速していきました。

そして2020、東京五輪目前にしてCOVID-19。

今度こそ価値観を改める機会


東京の豹変ぶりを地方から見ていると、まさに教訓だと感じます。東京で苦労している方々、ほんとうにごめんなさい。

しかしながら、逆にいままであの過密ストレス空間で、よく疫病が蔓延しなかったとむしろ不思議に思います。(いや、自殺や失踪が疫病の代替だったのかもしれない)

だからこそ考えて欲しいです。本当に東京にいなければならないのか? という事を。

地方都市という選択

Uターン/Iターンしたいけれど仕事がない。これが東京に執着せざるをえない最大の理由だと思います。が、今回の地殻変動で、なくてもいい仕事、なくてもいい会社、しなくてもいい出勤、という不都合な事実が炙り出されてしまいました。

東京にいても仕事はなくなります。

東京のアドバンテージが少なくなれば、相対的に地方の地位が向上します。

決して多くはありませんが、地方都市にも有能な人材を受け入れる用意のあるスタートアップ企業は存在します。(例えばForema )

人生にUターン/ Iターンという選択を!

過疎地という選択

Uターン、Iターンという選択が見えてきた人に、さらにお伝えしたいのが過疎地という存在。東京育ちの人は見た事すらないかもしれません。

過疎地は、人間で例えると終末期です。今まさに存在の火が消えようとしています。逆に言えばフロンティアです。

何をやっても1番になれます。

そんなところに働く場所はあるのでしょうか?

あります。

決して多くはありませんが、過疎地にも有能な人材を受け入れる用意のあるスタートアップ企業は存在します。(例えばForema )

弊社が山間部拠点を置く津浪集落は人口200人を切っています。20人と仲良くなれば人口の1割を見方につけたことになります。東京であれば100万人に相当します。

過疎地は土地が安く、生活コストも低く、そして何よりビジネス上の天敵が存在しません。皆無です(ツキノワグマはいます)。やるべき事をやり、誠意と礼節を以て事業を展開すれば、生息環境は良好だと言えます。

グローバルという価値観の揺り戻し

これまで資金調達のために多くのベンチャーキャピータリストと話をする機会がありましたが、「最低でもグローバル」という風潮は非常に色濃く、それにあらずば人にあらず的な気風がブジュブジュと滲み出していたように感じたものです。(なので全然話が合わず、結果、弊社に出資しているVC5社中、1社を除けば全て地方都市)

広島に収まっている経営者はその程度のもの、と評されたこともあります。

が、私は広島に収まっているのではなく、東京に限界を感じたというのが本当で、海外を見ている人たちに見えていない国内の、特に足元である地方都市や過疎地、自然界や生態系の細部に目を向けているという点が、ついに理解されないまま今に至っています。(同時に海外への事業展開プランは今も温存)


価値観を変える。生き方を変える。そのきっかけがCOVID-19

人間界が活動を縮小をやめてわずか数週で大気汚染が劇的に改善し、CO2排出は減り、絶滅危惧種のオサガメは産卵フィーバー、ジュゴンも群で海岸に集まり、野生動物が都市部を闊歩する。

アラン・ワイズマンの「人類が消えた世界」の実写版がまさにいま展開されています。

自粛という名の軟禁下で自分と向き合っている最中に、上記の現実を目の当たりにして心が揺らいでいる人はきっと多いと思います。

あなたの直感は間違っていない。

冒頭で触れたWeworkの違和感は何なのか?虚像という点もそうですが、高層ビルは多大なる犠牲の上に成り立っているという居心地の悪さ。そこでスタイリッシュに働く価値観への疑念こそが違和感の正体だと確信します。

コンクリやアスファルトの骨材には海砂利が大量に使用されています。かつては広島県を含む瀬戸内海の砂利が(多くは違法に)大量に持ち去られ、環境に大打撃を与えたまま今もほとんど回復していません。広島での海砂利採取が規制されて以後、採取業者は九州に移動しているそうです。

2020需要で高層ビルが新たに林立した東京都内。イケイケの時はその強烈な負荷に思いをはせる人はほとんどいません。そうして建立された壮大な建造物に、今は出勤する人は誰もいません。

COVID-19のワクチンや治療薬が開発されても、パンデミックの背景である環境が変わらない限り次のウイルスがやってきます。薬剤耐性菌の蔓延も控えています。

立ち止まり、強制的に考える時間を強いられている今だからこそ気づく真実があると思います。

前置きが長くなりましたが、なんだかもやもやして人生を軌道修正したい首都圏の人材は、地方都市でForemaという選択をご検討ください。

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