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スタートアップの成長を支える営業とマーケティング戦略のスペシャリスト集団「株式会社セールスのタクミ」代表の佐藤。エンジニア志望だった学生時代から営業への転換、さらには起業に至るまで、彼がどのようにして現在の地位を築き上げたのか。挑戦を続けるビジネスリーダーの情熱や、スタートアップ支援にかける思い、その軌跡を追います。
<プロフィール>
佐藤 匠(さとう たくみ)
株式会社セールスのタクミ 代表取締役
大学卒業後、大手広告代理店に入社し、大手エンタープライズ企業向けの営業に従事、その後SaaS事業部での大手新規営業、新規事業開発に携わる。その後独立し、株式会社セールスのタクミを設立、代表取締役に就任。大手企業やスタートアップ向けに営業・マーケティング戦略の立案・実行支援を行う。国内唯一の展示会に特化したコンサルティングの「鬼速展示会」を運営し、国内外の累計展示会支援社数は、100社を超える。1展示会の1社獲得平均は207商談。
目次
世界一になれる道を探り、セールスのキャリアへ
カスタマーサポートから営業へ。全方位的スキルが導く企業成長
スタートアップ支援への情熱が生んだ起業の決断
世界一になれる道を探り、セールスのキャリアへ
──早速ですが、佐藤さんの自己紹介からお願いできますか。
株式会社セールスのタクミ代表の佐藤匠と申します。1995年生まれの29歳です。新卒で大手上場企業に入社し、その後フリーランスでの活動を経て、現在の会社を創業するに至りました。
会社は創業3期目を迎え、主にスタートアップ企業を対象に、営業やマーケティングのコンサルティングから代行支援まで、一気通貫でサポートする事業を営んでいます。
──セールスのキャリアを志したきっかけを教えてください。
実は私、もともとは「世界一のエンジニアになろう」と思っていたんです。2015年、大学1年生の頃の話ですが、ちょうどGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)が注目を集め始めた時期で、日本でもその存在感がどんどん高まっていました。そんな世界的な企業を自分でも作りたいと思い、エンジニアの道を目指していたんです。
当時は長期のエンジニアインターンとして、1日15~18時間ほどコーディング漬けの日々を送っていましたが、自分なりには全てを尽くしたのですが、周りのスーパーエンジニアの方と比較して「これではNO.1は取れないな」と確信してしまって。プログラミングの世界でトップを目指すのは難しいと感じ、次に「自分がどの分野で世界一を目指せるのか」を考えました。
その中で、自分の得意分野が交渉力やビジネスコミュニケーションにあると分かったんです。そこで「プログラミングが分かる営業」という道なら、世界一になれるだろうと。それ以来、営業のインターンや学生団体を立ち上げ、渉外活動に打ち込み、新卒で営業のキャリアをスタートさせました。
──すると、学生のころから起業を視野に入れておられたのですね。
そうですね、学生の頃から「自分で何かをゼロから立ち上げて、人に影響を与えたい」という思いを強く持っていました。具体的に何をやるかは、その時点では決まっていませんでしたが、インターネットのように影響力が大きい分野で会社を作り、仲間を集めるというビジョンは早い段階から心に決めていましたね。
──エンジニアから営業にスイッチされるわけですが、学生時代から複数社でインターンの経験をされていたんでしょうか。
最初はプログラミングのインターンからスタートしましたが、その後、ビジネスや営業にも興味を持つようになり、いろいろな企業で経験を積みました。例えば、ライブ配信の事務所を運営している会社では簡単な営業の仕事をさせていただいたり、クラウドファンディングを手掛ける会社ではプロジェクトマネジメントの経験をさせてもらったりしましたね。
かなり幅広い職種や領域に挑戦した結果、一通りビジネスの基本的なスキルや考え方を学生時代から身につけられました。また、スタートアップの環境に慣れ親しんだのも、この学生時代のインターン経験が大きかったですね。
──インターン先も大きい会社より、スタートアップやベンチャー企業が多かったと。
スタートアップ1社目での経験が、ものすごく楽しかったんですよ。そこは、和気あいあいとしたファミリーのような雰囲気で「みんなで一緒に頑張っていくぞ!」という熱量がすごく心地よかったですね。
大きな裁量権も与えられてやりがいもありましたし、スタートアップの環境が好きだという気持ちは、その頃からずっと変わらないですよ。
カスタマーサポートから営業へ。全方位的スキルが導く企業成長
──ありがとうございます。では、新卒で入社された会社について、お聞かせいただけますか。
IT営業に狙いを定めた結果、インターネット広告を手掛ける株式会社ジーニーに入社しました。ジーニーはSaaS事業も展開している企業で、そこで私のファーストキャリアがスタートします。
最初に配属されたのは営業ではなく、カスタマーサポートの部署でした。最近では「カスタマーサクセス」という名称で認知されることが多いですが、顧客対応やサポートを中心に業務を行う部署ですね。その後は営業職に変わり、最後は事業開発にも携わらせていただきました。
──本来やりたかったセールスに、最初から取り組めたわけではなかったんですね。そこでの経験は、やはり後で活かされましたか。
まさに、全ての経験が今に活きていますね。事業というのは、作る側から見ると営業や事業開発、カスタマーサポートといった形で分業されますが、お客様にとってはすべて「1つのサービス」として捉えられます。どこでチームが変わるかなんて、お客様には関係ないわけですよね。
私はカスタマーサポートからスタートしたことで、サービスを提供した後のお客様の声を直に聞くことができました。お客様がどんなことで悩むのか、何を知りたがっているのかを詳しく把握できたんです。「どう伝えればお客様の満足度が上がるか」あるいは「どの部分が価値として響いているのか」を、より体系的に理解できたのは、その後の営業活動で大きなアドバンテージとなりました。
事業開発においても、お客様がどのようにサービスを利用し、その中でどの課題が解決されていくのか、その流れを実際に理解できていたので、「こういう事業なら売れる」「このモデルでは厳しい」といった判断も、感覚ではなく理論的に行えるようになりました。
カスタマーサポートから営業、事業開発といった一連の流れを早い段階で学べたのは、貴重な経験として、今の自分を支える大きな基盤になっていますね。
──そして、それらの経験は今の会社でも反映されていると。
はい、その通りです。セールスのタクミのお客様は、いわゆるPMF(プロダクトマーケットフィット)を目指している企業が多く、これからプロダクトを作り上げ、世の中に広めていこうというフェーズにあります。その過程において、様々な課題が出てくるんですよ。例えば、お客様のエラー対応や問い合わせ、場合によっては炎上やクレーム対応が必要になることもあります。
これら1つひとつ丁寧に対応しながら、営業フローを改善し、事業全体の流れも改善していく必要がある。どのステップも単独では完結しません。「営業だけすればいい」「カスタマーサポートだけを見ればいい」「事業開発だけに注力すればいい」といったフェーズのお客様は、1社もいらっしゃらないんです。
だからこそ弊社では、それぞれのプロセスをいかに連動させるかを特に意識しています。営業、カスタマーサポート、事業開発がバラバラではなく、全体を一気通貫で改善していく。この全体最適のアプローチが、弊社のお客様の大きな成長性につながっているのだと自負しています。
スタートアップ支援への情熱が生んだ起業の決断
──ジーニーを退職された後は、どんな活動をされていたのですか。
退職後は、いわゆる営業フリーランスのような形で活動していました。どちらかというと1社専属に近く、とあるスタートアップのSaaS企業で営業部長のような役割を担っていました。
その会社では、ジーニーで経験したカスタマーサポート、営業、事業開発といったすべての知識やスキルをフル活用しながら、ゼロから事業を作り上げるという環境でした。肩書きは営業部長でしたが、実際には本当に多岐にわたる業務を担当していましたね。
例えば、代理店施策のアライアンス構築や、パートナー企業とのリレーションを築く業務。また、SaaSならではのAPI連携で他のベンダーと交渉し、それを実現させるような、本来は事業開発が担うような営業もしました。さらにカスタマーサポートの設計や、マーケティングでは展示関係も手掛けましたね。
自分の経験をベースにしているとはいえ、全方位的な業務をゼロから立ち上げたという活動が、スタートアップにおける初めてのご支援経験となりました。
──マーケティングが整っていない会社に、その3つの機能を一気に実装する経験って、すごく貴重ですよね。
そうですね。本当に珍しい経験だったと思います。通常、内部のリソースだけでそこにたどり着くのはかなり難しいですし、当時のクライアントは学生起業家のチームだったので、社会人経験を持つ方が誰もいないという状況でした。
その中で、どうやってエンタープライズ企業に営業を仕掛けていくか、カスタマーサポートを構築するか、マーケティングを整えるか。何も知見がない状態で、私自身がこれまで学び経験してきたことを最初からフルに投入したのは、とてもインパクトがあって楽しかったですね。
──そこからどれくらいの期間を経て、今の会社を立ち上げるに至ったんですか。
その会社さんとのお付き合いは約1年弱くらいでした。この期間で、売上は10~20倍ほどに成長しました。資金調達もうまく進み、市場から非常に高い評価を受ける企業になったんです。
ただ、成長に伴って会社のフェーズも変わっていきます。仕組みが整備されれば、その次は新たな人材を迎えて運用する段階に移る。そうなると、私自身が得意とする「ゼロから仕組みを作り上げる」というバリューを発揮するシーンが、少なくなってきたんです。
ちょうどそのタイミングで他に0→1の立ち上げで悩んでいるお客様から支援してほしいとの声があり「他のゼロから1を作り上げようとしている企業をご支援したい」と考えるようになります。法人化を決意し、複数のクライアントさんを支援できる体制を整えました。こうして立ち上げたのが、今の株式会社セールスのタクミです。
──起業されたきっかけは「ビジネスが走り始めたばかりの会社さんをご支援したいと」いう思いからだったんですね。
そうですね。やはり私は学生時代から、スタートアップの文化が好きでしたので。ただ、彼らはすごく優れたプロダクトを持っていても、それを成長させるためのノウハウが足りていないことが多いんです。
実際、そのギャップさえ埋めれば伸びるんですよ。実際に、私の支援によって1年で売上が10倍、20倍と成長するケースを経験しました。彼らの潜在的な可能性を目の当たりにすると、やはり「もったいない」と感じます。ノウハウさえ整えば、あっという間に成長するポテンシャルがあるわけですから。
その期間を短縮し、企業の成長を加速させられるというのは、私自身にとっても非常に大きなやりがいを感じます。そして、こうしたニーズは明らかに市場に存在しているんですよ。ただ、この領域に特化して支援する人や会社がまだ少ないのが現状です。
だからこそ「これは自分がやるべき仕事だ」と確信し、スタートアップ事業支援にフォーカスする形で現在の会社を立ち上げ、今に至っています。
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