【社員インタビュー/SCM領域データサイエンティスト】生活者視点で横断分析、現場と改善を回すデータサイエンティスト
ーーこれまでのキャリアと、現在ニトリデジタルベースにて担当されている業務、役割を教えてください。
前職では通信会社のR&D部門に約20年間在籍し、データ解析の専門チームで機械学習を活用した課題解決支援に携わってきました。特にスマートストア領域では、店舗内の行動データなどを分析し、サービス改善や運用最適化につながる示唆を提供する業務を担当していました。
ニトリデジタルベース入社後は、IT戦略チームのAI推進機能を担う立場として、SCM(サプライチェーンマネジメント)領域の自動化・最適化に関するプロジェクトをリーダーとして推進しています。需要予測や在庫・物流に関わる意思決定の高度化など、現場業務に直結するテーマを中心に、データとAIを活用して成果に結びつけることを意識しています。
IT戦略チームのミッションのひとつは、ビジネス部門と並走しながら「業務をどう変えると効率が上がるか」「どこにAI・デジタルを適用すると効果が大きいか」を分析し、業務改革を推進することです。現場の課題を整理し、あるべき業務プロセスを描いたうえで、従来技術では困難な課題を解決するためのAIシステムを実装し、業務導入の支援を行っています。
ーー数ある企業の中で、最終的にニトリデジタルベースへの入社を決めた「決定的な理由」を教えてください。
最終的な決め手は、「データやAIの取り組みが、より大きな事業インパクトとしてお客様の生活に直結する環境」だと感じたことです。
ニトリは店舗網やECの規模が大きく、接点となるお客様の数が非常に多いことに加えて、家具・インテリアにとどまらず生活に関わる商材を幅広く扱っています。そのため、データサイエンティストとして一つの領域に限定せず、物流、在庫、店舗運営から顧客の購買体験まで、生活者視点で横断的に課題を捉え、打ち手を検討できる点に強く魅力を感じました。
「分析して終わり」ではなく、現場や事業と一緒に改善を回しながら、成果を積み上げていけるフィールドがあることが、入社を決めた決定的な理由です。
ーー現在携わっている代表的なプロジェクトまたは業務について教えてください。
現在はSCM領域を中心に、現場業務の意思決定をデータで支え、自動化・高度化していくプロジェクトを担当しています。代表的な取り組みとしては、店舗で扱う商品の「発注量を算出する仕組み」の改善・自動化と、販売終了商品に対する処理判断を適切に行うためのルール整備・自動化を推進しています。
中でも発注量算出の自動化改善は、店舗や自社倉庫(DC/ディストリビューションセンター)の作業効率を高め、負荷を軽減することを主な目的にしています。一例として、単純にはSKU単位の入荷をまとめれば作業効率が上がるのですが、一度の発注数が増えて在庫が積みあがってしまうため、本部では売れ残り品を売り切るためのコスト、店舗ではバックルームの管理コストや品出しコストが余分にかかります。SCM全体での最適化を行うため、店舗・物流・本部の各部門と連携し、各部署の影響について議論しながら、現場で本当に使える運用に落とし込むことを重視しています。
また、既存の仕組みや運用(いわゆるレガシー)を整理しつつ、経営層が求める全体最適と現場が求める実務のしやすさの両方を満たす形に設計し直すことが、このプロジェクトにおける私のミッションです。
ーー担当しているプロジェクトの「面白さ」や、逆に「難しさ」はどのような点にありますか?
「発注量算出の自動化改善」の取り組みにおいて、面白さであり、同時に大きなやりがいだと感じているのは、「発注量をどう決めるか」というSCMの根幹に踏み込み、業務そのものを変えていける点です。発注は売上や在庫、物流の負荷にも直結するため、改善のインパクトが大きく、成果が現場の変化として見えやすいのも魅力です。加えて、事業部門側も業務変革に本気で取り組む意思を持っているので、同じ方向を向きながらダイナミックな変化に挑戦できている実感があります。
一方で難しさは、長年積み重なってきた既存の仕組みや運用、いわゆるレガシーにきちんと向き合い、整理していかなければならない点です。現場ごとに背景や考え方が異なり、「これまでこうしてきた」という前提も多く存在します。その中で、慣習や概念を一つひとつ分解して「本当に必要なものは何か」「あるべき姿は何か」を丁寧に見極め、関係者の期待に応えられる新しい仕組みへ落とし込んでいくところに難しさがあります。
ーー具体的な技術要素についても教えてください。
私が所属するIT戦略チームでは、統計・機械学習、最適化、シミュレーションといった技術を組み合わせて、業務課題の解決に取り組んでいます。特にSCM領域では予測と最適化、およびシミュレーションが重要な技術要素となります。
たとえばサプライヤーへの発注最適化では、最新の基盤モデルの考え方も取り入れつつ、社内データや各種与件を反映した独自のAIモデルで需要予測を作成します。そのうえで、サプライヤーごとの発注制約(ロット、納期、供給上限など)を加味しながら、最適な発注シナリオを探索する最適化問題として解く形で実装を進めています。
また店舗への供給に関しても、単に「必要数を毎週補充する」だけではなく、入荷作業にかかる稼働、バックルームの容量、欠品による機会損失など、現場の制約とリスクを同時に考える必要があります。そこで、複数の条件下での動きを再現できる確率シミュレーターを構築し、より現実的な補充数の算出につなげる取り組みも行っています。
将来的には、先進企業で導入が進んでいるデジタルツインの考え方も取り入れながら、SCM全体をモニタリングし、シミュレーション結果をもとに現場の担当者が自信を持って意思決定できるような仕組みを提供していきたいと考えています。
ーー入社前と入社後で会社の印象はどう変わりましたか?
入社前は、事業規模が大きくデータ活用も進んでいる印象が強かったのですが、実際に入社してみると、まだIT化・DX化が十分に行き届いていない領域も想像以上に多いと感じました。業務が長年の運用で最適化されている一方で、仕組みとしては改善余地が残っている部分が随所にあります。
ただ、それは裏を返すと「伸びしろが大きい」ということでもあります。現場の課題が明確で、改善の打ち手を実装できれば、業務効率の向上やコスト削減といった成果につながりやすい環境です。自分たちの取り組みが現場の変化として実感されやすく、事業に貢献できるチャンスがまだまだ多い会社だと、入社後により強く感じるようになりました。
ーー1か月ほど実際にニトリ店舗で業務を経験されたということですが、どのような気づきや学びがあり、業務を進めるうえで、その経験がどのように活きていますか?
約1か月間、実際に店舗に立って品出しや売場づくりを経験したことで、現場業務のリアルを具体的に理解できたのが大きな学びでした。特に印象的だったのは、膨大な商品点数の中から必要な商品を店舗のバックヤードで探し出し、適切なタイミングで売場に補充することが、想像以上に手間と時間のかかる作業だという点です。データ上では「在庫がある」と見えていても、現場では探す・運ぶ・並べるといった工程が積み重なっており、日々のオペレーション負荷につながっていることを実感しました。
この経験は、SCM領域の業務改革を進めるうえで大きく活きています。発注や在庫、物流の仕組みを改善する際には、数値やロジックだけでなく、店舗と物流の業務がどう動いているかを前提として設計しないと、現場で使われる仕組みになりません。店舗での体験を通じて、現場が本当に困るポイントや、改善が効くポイントを肌感覚で理解できたことで、要件定義や関係者とのコミュニケーションでも解像度高く議論できるようになりました。
ーーニトリデジタルベースだからこそ得られる、他社にはないキャリアの魅力を教えてください。
ニトリデジタルベースならではのキャリアの魅力は、「事業に近い場所で、業務改革の当事者として成果までやり切れる」点だと思います。企画や分析に留まらず、現場や事業部門と一緒に課題を定義し、仕組みや運用に落とし込んで効果を出すところまで関われるので、自分の仕事が事業に与える影響をダイレクトに実感できます。
また、ニトリは店舗・物流・ECを含めた小売のオペレーションが大規模に動いており、その中で標準化された仕組みや考え方を基礎から学べます。小売を軸にキャリアを築きたい方にとっては、実務を通じて体系的に理解を深められる環境だと感じます。
さらに、業務改革を進めるうえでは、データサイエンスだけでなく、システム実装を見据えたエンジニアリングの観点や、関係者を巻き込みながら合意形成を進めるコンサルティング的な力も求められます。ビジネスサイドと併走するからこそ、複数の視点を行き来しながら総合力を磨けることも、他社にはない魅力だと思います。