1
/
5

ITエンジニアはメンタルヘルスとどう向き合っていけば良いのか

Photo by Total Shape on Unsplash

こんにちは、アイネの渡邊です。
うつ病を始めとするメンタルヘルス不調(以下、メンタル不調)に悩むITエンジニアは少なくありません。かくいう私も、以前にメンタル不調に悩まされた時期がありました。今回の記事では、ITエンジニアがメンタルヘルス問題にどのように向き合っていくか、私自身の経験を踏まえて書いていきます。

ITエンジニアはメンタルヘルス不調になりやすい

IT業界はメンタル不調になる人が多い業界です。エンジニアのメンタルヘルスリスクは平均の3倍あるとも言われています。その理由は様々ですが、人とのコミュニケーションが少ない、オーバーワーク、太陽に当たる時間が少ないなどと言われています。昨今はテレワーク化が進んだ影響もあり、人間関係がより希薄となり、相談しにくい状況が増えてきています。こうした要因もあり、メンタル不調者の増加が懸念されます。

私自身もかつてメンタル不調の経験がありますし、周囲のエンジニアがメンタル不調を発症し、プロジェクト離脱、会社の退職に至るケースを見てきました。これまで仕事を休むことがなかった人がある日、体調不良で休んだと思ったら、そのままメンタル不調で退職というケースもありました。退職に至った場合、会社や職場にとって大きな痛手になるだけでなく、本人のその後の人生にも大きな影響を与えることになります。何らかの対応ができなかったものかと思います。

メンタル不調は、セルフケアによりある程度は防ぐことができますが、外的要因によるストレスの影響も大きいため、それだけでは不十分です。会社としてのメンタルヘルス対策の他、開発現場においても、リーダーや周囲の協力が大切になってきます。
本記事では、こうした個人での対策、職場での対策についても紹介します。

私のうつ病体験

私がSIerに在籍していた時にメンタル障害になったことをお話します。
Sier 時代、私はプロジェクトリーダーとして多くの案件に携わってきましたが、ユーザーとの直接のやり取りの他、他ベンダー、社内関連部署、協力会社など多くのステークホルダーとの調整が必要であり、非常に大変な仕事でした。当時はエンジニアとして技術力も十分でなく、経験的な未熟さもある中でプロジェクトを推進していましたので、精神的なストレスは大きかったと思います。また、こうしたストレスに加えてプライベートでも相当のストレスを抱えていました。朝起きるのが辛くなり、遅刻が増え、やがて会社に出社し、仕事をすることが困難な状態になっていきました。心療内科に行き、診察の結果、うつ病と診断され、しばらく休職することになったのです。

休職した後は一旦調子を取り戻したものの、出社と休職を繰り返しました。会社からはしっかり治すようにと言われ、長期療養することになりました。長期療養中に入院して電気けいれん療法を受け、回復に向かいました。そして、復職を試みましたが、結局うつの症状をぶり返してしまい、そのまま退職することになりました。

退職後は全てにおいてやる気がなく、しばらくは昼夜逆転の日々が続きました。その後復調し、生活リズムも安定してきましたが、焦って復職してもぶり返しのリスクがあります。そこで、リハビリを兼ねてIT スクールに通い、資格の勉強をしながら体調を整えることにしました。ITスクールはフリータイム制になっており、ドタキャンにも柔軟に対応できるところでしたので、不安定な状況の私自身には向いていました。そして、ITスクールでの勉強を通していくつかのIT資格に合格し、復帰への自信を取り戻していくことができました。数カ月後には体調も安定してきましたので、就職活動を始め、とあるIT企業に就職することができました。
その後はうつ病の再発もなく、現在まで元気に働くことができています。メンタル不調からの復帰が失敗するケースもありますが、私の場合、時間をかけて復帰したことが良い結果になったと思います。

うつ病体験後は、メンタルヘルスに大きな関心を持つようになりました。メンタルへルスマネジメント検定(*1)Ⅱ種、Ⅲ種にも合格し、自身の予防だけでなく、社内のメンタル予防にも気を配るようにしています。

*1)メンタルへルスマネジメント検定試験
Ⅰ種(マスターコース、社内のメンタルヘルス対策)、Ⅱ種(ラインケアコース、部下のメンタルヘルス対策)、Ⅲ種(セルフケアコース、自分自身のメンタルヘルス対策)があります。
https://www.mental-health.ne.jp/

ITエンジニア個人のメンタルヘルス対策

エンジニアとして長く仕事をしていくためには、技術力を身に付けるだけでなく、メンタルヘルスを含めた健康の管理が重要です。メンタルヘルス対策として、よく言われているのは食事、睡眠、運動、休養などがあります。個人的に心がけていることを含めて私見を述べます。

現在、物価が上昇している影響で、食費を節約してしまうことが多くなっています。その中で私が実践しているのは1週間に1回、自分の好きな物を食べることです。基本的に日曜日の夕食です。サザエさん症候群という言葉がありますが、日曜日の夕方は翌日からの仕事のことを考えてしまい、気分が落ち込みがちです。そこで、このタイミングで好きな食事をすることで、1週間を乗り切る元気をもらっています。暴飲暴食は厳禁ですが、好きなものを食べてドーパミンを放出させています。

次に睡眠です。仕事が忙しくなると、短時間睡眠になりがちですが、そんな時ほど、しっかり睡眠を取るようにしています。特に夜更かしはしないようにしています。一方でメンタル不調の傾向があると、不眠に悩まされるケースがあります。眠れなくなった場合は、早めに専門医に相談するのが良いでしょう。

次に運動です。ランニング等の激しい運動ではなく、散歩等の軽めの有酸素運動を心がけています。私自身、テレワークが続いているので、朝20~30分程度の散歩をするようにしています。

そして休養です。疲れた時はゆっくり休むのが第一です。休みの日に予定を入れすぎず、ぼーっと過ごす一日を大切にしたいものです。特にメンタル障害の兆候が見えてきたとき程、何も考えずゆっくり休むことです。
ゆったりとお風呂に入るのもお勧めです。銭湯、温浴施設は浴槽が広いので、たまには行ってみるのも良いかもしれません。最近は新型コロナの影響で行くのを控えていましたが、そろそろ行きたいと思っています 。

これら以外にも、個人的にできるメンタルヘルス対策は数多くあります。リラクゼーション、趣味、その他ストレス発散等、自分にあったやり方で継続していくことが大事かと思います。

職場でのメンタルヘルス対策

職場では、リーダーがメンバーのメンタルヘルスに気を配ることが必要です。一方でリーダーの負担が大きくなりすぎないよう、お互いが気にかけることも大事です。

まずは勤務状態のチェックが基本です。遅刻が目立つようになった、あるいは仕事の生産性が落ちてきた等はメンタル不調の兆候です。元気そうに見えても、長時間労働になっている場合は注意が必要です。このような場合、本人にヒアリングを行うことになりますが、ヒアリング結果はプライバシーに絡む問題を含むため、安易に口外しないなどの注意が必要です。また本人からは大丈夫と言われるケースが多いので、継続的に見守っていくことが大事になります。

こうした対応を可能とするため、アイネでは信頼できる取引先にグループで参画し、エンジニアが孤独にならないようにしています。現場ではチーム内のコミュニケーションに気を配り、いつでも相談できる環境作りを心がけています。またエンジニア出身の社長に直接相談することもできます。
取引先からの仕事は、個人ではなくチームに任されます。一人だけの負担が大きくなることもなければ、責任を押し付けられることもありません。チーム内で互いに協力しあって仕事を進めています。

近年はテレワークが浸透し、通勤がなくなった分、楽になりましたが、一方でメンタル不調を発症させやすい状況になっています。現場では、Zoomを常時接続し、いつでもコミュニケーションをとることができるようにして、孤独感を少なくしています。

参考サイト

本記事では、下記資料を参考にしました。
「IT業におけるストレス対処への支援」

中央労働災害防止協会が厚生労働省から委託を受けて作成したものです。
全部で79ページあり、読むのも大変ですが、マネージャー、エンジニアがどのようなストレス状況にあるのか、職場での対処方法、改善事例、またITエンジニアのストレス対処なども記載されています。IT業界に携わっている方であれば、ご一読をお勧めします。

またメンタルヘルスの参考サイトも数多くありますが、代表として厚生労働省のサイトを紹介しておきます。
こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト

まとめ

noteでは、多くのITエンジニアの活躍の記事が公開されていますが、メンタルヘルス関連の記事は少ないように思います。今回、私自身の経験も含めて公開することにしたのは、IT業界にとってこの問題は避けて通れないと思っているからです。

メンタル不調は、エンジニアとしてのキャリアにマイナスとなる部分があるかもしれませんが、これまでの生き方を見直し、新しい自分として再スタートできるという点では、特別な経験になります。私自身は、自分の経験からそのように思っています。

多くのエンジニアがメンタル面を含めて健康で活躍できるように、そして、たとえメンタル不調になったとしても立ち直っていくことを切に願っています。

株式会社アイネ's job postings
6 Likes
6 Likes

Weekly ranking

Show other rankings
Like Mitsuru Watanabe's Story
Let Mitsuru Watanabe's company know you're interested in their content