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創業112年。業界を変えるような革新的製品を開発し世界へ!7代目社長が語るこれからの挑戦!

こんにちは!木幡計器製作所の採用担当です!
本日は7代目代表取締役の木幡巌社長に就任時のお話や今後のビジョンを語ってもらいました!

木幡 巌 Iwao Kobata
代表取締役
関西大学卒業後、大手空気圧機器メーカーへ就職。2年間営業職として従事した後、家業の木幡計器製作所に入社。先代が他界する半年前の2013年に代表取締役を承継。就任後は新たな活動を次々に展開。

1.家業を継ぐまでの経緯

―大学時代から木幡計器へ入社されるまでの経緯を教えてください

大学は関西大学社会学部で産業心理学科を専攻し、リーダーシップ論や達成動機(やる気)について研究していましたね。新卒の就職活動では大手空気圧機器メーカーへ就職し、営業職に就きました。

入社当時は、文系学科卒だったこともあり、技術面での知識不足を痛感していました。自信をつけたいということもあり、夜間の大阪工業大学へ入学したいと上司に相談したら、現場で覚えろと一蹴されてしまいましたね。ただ内緒で3年間通学して機械のことについてある程度理解できるようになりました。

2年ほど働いたタイミングで、当時会長職であった曾叔父が亡くなり、家業へ戻ってくることになりました。長男ということもあり、小さい時から跡継ぎとして育てられたので、木幡計器へ入社することへの抵抗は全くありませんでした。

学生時代にアルバイトでは、木幡計器でたまに働いたのですが、実際に社員として働くと覚えることが山ほどありましたね。私は技術系専門ではないので、営業を中心に業務を推進しつつ、技術について猛勉強しました。特にJIS工場として維持監査を乗り切るために、品質管理責任者としての資格知識を身に付けたりしました。

ー事業承継されることに、不安はなかったですか?

家業に就く事にはなんのためらいもありませんでしたが、入社後は、長い間、閉塞感と不安が大きかったですね。長年圧力計メーカーとして事業が続いていましたが、古い業界の市場は既に寡占飽和状態でした。圧力計自体他社と差別化する部分が少なく、価格でしか差別化が図れないのではといような状態で、安値競争では結果として業界全体の首を絞めているように思え未来が見えませんでした。木幡計器としては価格勝負ではなく、1個1個オーダーメイドで作成したり、細かなサービス対応で差別化を図るしかないと思っていました。

そんな閉塞感を感じながらも、今から10年前に転機はやってきました。先代社長だった母に思いもかけず、末期がんであることが発覚し、その後、他界するまでの3年3か月の間に、事業承継をするのですが、代表者として、ここで私のマインドが変わったといえます。

それは自称 “老舗ベンチャー”。最近は、アトツギベンチャーとも言われるようなベンチャーマインドです。このマインドの変化が、”古いものを活かしつつ、全く新たな価値を創出する”という「レトロフィットIoT」というイノベーションを生み出しました。

2.長年変化のなかった圧力計業界で最新DX技術を取り入れたレトロフィットIoT新製品を開発できた理由。

圧力計×ITという発想を持つことができたきっかけはなんでしょうか?

事業承継にあたり、「私たちの仕事とは何か?」
この基本的な問いから始まり、そして行きついた結果が現在です。

従来の私は、「おたくの仕事は何ですか?」の問いに、業歴が古いぐらいしか、取柄がないと思っていたので、「明治42年創業(老舗)の圧力計メーカー」です。と答えていました。

しかし、この業歴が古いということは、果たして”強み”と言えるでしょうか?
お客様にとって良い製品が提供できれば、企業が古いか新しいかは関係ありませんよね。

一方でそうはいいながらも、企業の寿命は30年とも言われるのに、弊社が100年以上続いてきたのはなぜ?と考えてみれば、何かしらの理由があるはずです。

こんな風に、原点に立ち返って、本質的な私たちならでは点は何か?私たちが社会に提供できる価値や、役割は何か?ということを、深掘りして考え、再定義することで、「私たちの仕事は何か?」と改めて問われたとき出てきた答えは…

私たちは、「安全」・「安心」・「信頼」を可視化して提供する。
というのが、私たちの仕事という定義でした。

私たちが、提供するものは単に、製品としての圧力計ではなく、また圧力計が示す圧力値でもなく、
ご利用者がその値を指標として得られる「安全」や「安心」や「信頼」を届けることなのだと。
そのために新たに必要であったのがITでした。

かつて他社との差別化で試行錯誤した当時、インターネットが普及し始めました。私はインターネットに可能性を感じ、 ITの知識を得るためにも私が代表として、2001年に別事業としてWeb制作会社を立ち上げました。木幡計器とITのシナジーがどこかにあるはずと思い事業運営していました。そのおかげもあり、ITの知識はもちろん、物の見方が変わりましたね。Webサイトを作成する際に様々な業界のお客様の話を聞き、客観的に企業分析をする経験は、自社製品のIoT化に活かすことが出来ました。
課題を客観的に見つめ、その課題解決のために、自社がもつ本来的な特長を活かしながら、新たな価値提供をするにはどうあるべきか?
「なぜ?」の深掘りと、「そもそも?」という本質を見るということが、イノベーションを生み出したと言えます。

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導入ハードルを極限まで下げ、圧力計のIoT化を推進。新製品を開発の裏側を教えてください。

まず、圧力計が正しく使われていないことに課題意識をもっていました。とあるビジネスホテルで圧力計を見かけたんですが、その圧力計が壊れていたんですよ。しかもその状態が何年も続き、いつ見ても放置されたままでした。
そもそも、圧力計とは「安全」を可視化すべきもので、場合によっては人命に関わる可能性すらあるにも関わらず、なぜ?こんな状態がつつくのだろう?
そう考えると、恐らく人手不足で、圧力計を定期的に見回る点検業務担当者がいないのでは?という課題が見えてきます。
ならば、簡単にこの状況を把握することは出来ないだろうか?
そのためにはIoTの技術が最適ではないだろうか?
よし、この社会課題ともいうべき、お客様のお悩み解決に挑戦しよう!

圧力計は日本全国、また世界各国のあらゆる産業機械や、ガス管等の配管に設置装備されています。
圧力計のIoT化を推進できれば、世界の安全安心を守ることができるし、それを実現することが112年圧力計一筋でやってきた木幡計器の責任であるとも思えました。

そんな思いから生まれたのが、現在取り組む新製品、レトロフィットIoT製品の後付IoTセンサユニット
「Salta(サルタ)」です。道開きの神様である猿田彦大神から命名されたこの Salta は、指針への磁石装着と、指針読取磁気センサが一体となったガラスの交換だけで、既存のアナログ機械式圧力計を、後付けで簡単にデジタル通信可能なIoT計器に変えるという画期的な特許製品です。



       レトロフィットIoT製品 後付IoTセンサニット「Salta(サルタ)」TM

ー世界7か国で特許取得の新製品。本気で世界を見ていますよね。業界を変える新製品を発想できたのはなぜでしょうか?

15年ほど前に大阪府が開催している「なにわマーケティング大学」というセミナーワークショップに参加したのですが、ここで知的財産とマーケティングについて詳しく学び、どうしたら他社と差別化ができるかということを知的財産やマーケティングの視点から、見れるようになりました。いろんな事象や課題を深ぼって考えることで、まだまだうちでもやれることが沢山あるなと思えるようになりました。

現場のお客様の課題を聞く中で、もの(製品)に対する課題といようりは、点検業務自体に課題を感じておられる方が多かったんですね。点検業務は煩雑で非効率なことが多く、いかに効率的に出来るかを考え、IoT製品を設計していきました。課題解決のためにはシステム会社と協業することも不可欠でした。
その他にも通信やセキュリティの専門性も必要です。当然、自社単独ではこれらは全く叶いません。
その為には、この課題解決のために、他社の共感と協力を得なければなりません。
様々な連携とご縁により、国内大手企業での導入も実現し、多くの企業様から問い合わせをいただけるようになりました。

IoT製品開発には、圧力計以外にも多くの知見や商品が必要になりますよね。他社とどのように連携をすすめているのですか?

おっしゃる通りです。
IoT/DX分野においては、センシング技術、ハードウエア技術、ソフトウェア技術(組み込みソフトウェア技術、アプリケーションソフト技術など)、通信ネットワーク技術、クラウドサーバ構築技術、セキュリティ技術、電源技術、FA技術等々…様々な技術要素と、また設置工事、事業化のためのサービス事業者などの融合があって初めて事業化が成立実現する分野です。大手企業であってもこれら全ての技術やサービスを網羅的に1社で保有する企業は恐らくないといっても過言ではありません。

当然ながら、創業来、機械式圧力計を一筋に生産してきた小規模事業者の当社には、これらはの技術が殆どないにも関わらず、製品開発が出来た背景には他社との連携があります。

具体的には、2013年に、関西のこれら技術分野で特徴を持つ中小企業6社で発足した「関西積乱雲プロジェクト」というIoTの企業アライアンスに初期から参画し連携できたことで、製品開発が出来ました。

産官学金連携、医工連携、企業アライアンス、ジョイントベンチャー、オープンイノベーションなどと、ビジネス連携には様々なモデルや手法がありますが、課題解決のための連携は、これまで自前主義が多かった日本企業も、現代社会の複雑に絡みあう社会課題の解決には、こうした連携の必要性を感じずにはいられません。

社会課題解決のための連携。
それはさながら社会課題解決をテーマにした”パズル”のようなものではないかと思います。
それぞれの専門分野が、パズルのピースであり、どれ1つ欠けてもパズルは完成しません。

自社がそのパズルにおいて、専門性のどのピースを担うのか?自社なりの専門性と特徴を持ってこそ、他社との連携は出来ると言えます。またその課題テーマの社会性が高いと、その結束も強くなるといえます。更に言うと、こうした他者連携があってこそ、イノベーションは創出されるのだと言えます。

現在、当社ではIoT/DX以外の分野においても、こうしたイノベーション創出の仕組みづくりとして自社内に開設したGarage Taisho(ガレージ大正)というIoT/ライフサイエンス系ベンチャー・スタートアップ支援をテーマとしたオープンイノベーションスペースを開設しています。
ここを中心に地元大正区のものづくり企業と、ベンチャーや大企業との連携が生まれています。また地域課題をリビングラボ形式で行政、企業、医療福祉施設、学校・研究機関、支援機関、そして市民の皆さんなど様々な多領域の人たちで共に考える「りびんぐラボ大正・港」の運営も、多くの連携先のご協力の元で行っています。

いまや当社の最大の強みは、こうした多彩な連携ネットワークの構築力であると言えるかもしれません。


―医療分野への新しい挑戦

また現在、当社では、呼吸筋力測定器という人の呼吸機能を測る測定器を、医療機器として開発し販売しています。これは国立国際医療研究センターのリハビリテーション科医長の先生と共同開発した製品で、呼吸筋力を測る専用の単機能測定器としては現在国内唯一の製品です。

現在、全国で医工連携という医療現場の課題をものづくり企業が解決し製品化するという取り組みが行われていますが、弊社の様な小規模な企業が、5年間で医療機器分野に参入し、製品上市した例は少ないといえます。また現在は、兵庫医療大学との共同研究で、日本人の呼吸筋力の基準値の探索研究を行っています。
ここでも、我々が製品上市までに至り、更にこの製品をベースに新たな研究を実現している背景には、自分達だけでは解決できないことを連携により解決できてきた経緯があります。

またこの他にも、医療ガスボンベの残量遠隔監視など、この分野においても圧力計の技術とIoTの技術を融合させて、社会課題解決のための製品展開を進めています。今後、医療分野においても、大手企業や大学研究機関など外部との連携により更に新しいことに挑戦し事業展開していこうと思っています。

ー木幡計器がIoT化のイノベーションを起こせた要因とは?

前述のように、課題解決のためのイノベーション創出には、私は、多種多様な連携が重要だと感じています。連携を生み出すためにはまずは自社が何者であるがはっきりとしていないといけません。さらにテーマとなる課題の本質は何であるかの共通認識が必要です。またその課題に自社がどんな役割を果たすことが出来るのかという自覚と、他社からの理解を得られてこそ、初めて連携は成り立ちます。

一方で、私自身、家業に就いて以来、長年自社の強みを感じられるところがなく、悶々としていた訳ですが、自社を見つめなおすことで、課題の本質が何であるかが見えてきました。そして、自社が出来ることが何であり、お客様をはじめ、他社の課題を解決するうえで、自社ならではの役割を果たせる分野は何かという本質的な部分を認識したら、むしろずっと弱みと思っていた部分も、逆転発想で強みに変えることが出来ると思えるようになりました。そして他者も尊重しながら、同じ課題に向き合いながら挑戦をつづけたからイノベーションを起こせたのではないかと思います。

弱みを強みに、ピンチをチャンスに変える逆転発想とはどういう視点かというと、
例えば、当社は業界での立ち位置が高くなかったからこそ、IoT化に目を向けることが出来たと思っています。もしも仮に当社が、業界2位や3位の企業だったとすれば、業界1位の企業をベンチマークすることにしか意識が向けられず、IoT化は構想できなかったかもしれないと思います。
逆にそういった競争を意識することがなかったことで、別軸に意識がむき、お客様の課題をしっかり分析する時間が生まれIoT化へ踏み出すことが出来のかもしれません。

どうすれば、本来的な自社らしさを発揮しながら、社会にも期待され信頼され、喜ばれるような有益な仕事が出来るのかを、今後も追い求めていきたいと思います。

                      ・・・

ーありがとうございました!最後に求職者の方へ向けてメッセージをお願いします!

昨今の情勢もあり、様々な要因が絡み合いたくさんの課題が現代社会にはあります。
例えば、医療の分野に目を向けても、少子高齢化の現代において、地域医療連携や多職種連携の重要性が叫ばれています。その背景には、高齢者の疾患については、1つの病気だけでなく、合併症が多いこと。
病院施設だけでは解決できない在宅医療の重要性など。また現在は対処療法ではなく、予防医学や健康増進も注目される等々…。既に医療も一つの専門診療領域だけでは、医療現場の課題が解決できるものではありません。

だからこそ、多くの専門領域の人たちが、これらの課題に対して、ただ自分の専門領域だけでなく、他領域のことも共感し理解して、力を合わせることが肝心です。
その為にはまずは自身のことをよく知り、何事もよそ事ととらえるのではなく、自分事として向き合うことが大切だと思います.

当社が大事にしたいのは、本質的な課題認識力と、共感力と、社内外での連携チームワーク力です。

そして、当社が目指すのは、自社の専門領域を活かしながら、社会課題への解決に挑戦をすることです。

小さな会社でも、その情熱と連携力をもってすれば、不可能と思えそうなことも、実現できることを実感してきましたし、世のベンチャー企業は、皆さんそうした情熱をお持ちです。

木幡計器のような、中小企業にも中小企業ならではの課題解決方法があるのです。

「社会課題に向かい合い、世の中に変化を与えるような製品を届けたい」、「新しい文化を創りたい」といったそんな仕事に情熱を注いでみたいというような思いをお持ちの方は、是非当社への求人ご応募をお待ちしております。

貴方、本来の貴方らしさを活かしながら、私たちと一緒に、社会課題の解決に挑戦してみませんか?

木幡計器製作所では、現在、後付けIoTユニット「Salta(サルタ)」の反響型の営業職を募集しています!

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