QIX EXPO 2025では、業界をリードする専門家の方々をお迎えし、特別な記念講演を実施しました。続いては記念講演の後半戦。
ペットと人の暮らしをより豊かにするためのヒントが詰まった2つの講演をご紹介します。
来場者の皆さまが真剣に耳を傾ける姿からも、動物医療とヘルスケアの未来への期待が伝わってきました。
講演③
「動物医療の枠を超えて──医療・教育・福祉の融合で見える次世代のカタチ」
登壇者:
- 山川伊津子(ヤマザキ動物看護専門職短期大学 学長/動物トータルケア学科 教授)
- 牛島加代(非営利型一般社団法人HugKu-Me 理事長)
- モデレーター:生田目康道(株式会社QIX 代表取締役社長)
本講演では、動物医療にとどまらず、教育・福祉・地域課題を融合させた次世代の取り組みについて議論が交わされました。
山川氏は、国家資格化された愛玩動物看護師の教育現場から見える変化を紹介。動物と人の福祉を統合したカリキュラムの導入や、高齢者福祉の現場での動物介在支援の事例を挙げ、専門職としての看護師が地域の課題解決や福祉連携に果たせる役割の拡大を語りました。
一方、牛島氏は、トリミングサロン運営や児童養護施設での動物介在教育の活動を通じ、人の福祉と動物福祉を掛け合わせた社会的価値の創出を強調。動物との触れ合いが子どもたちの心を動かし、コミュニティの優しさや社会的課題の解決につながる具体例を紹介しました。
両者は、教育現場・地域社会・福祉現場の連携の重要性を共通認識として示し、次世代の専門職には、「専門知識に加えて、人・社会・福祉への関心を持ち、地域や社会の課題に柔軟に対応できる広い視野が求められる」と語りました。
講演④
「動物医療の未来を創る──挑戦と知恵が交差する進化する現場のカタチ」
登壇者:
- 菊地亮太(ミニイク株式会社 代表取締役CEO)
- 深田篤(株式会社PetVoice 代表取締役CEO)
- モデレーター:生田目康道(株式会社QIX 代表取締役社長)
異業種から動物医療に参入した菊地氏と深田氏が、現場の課題と未来像を語りました。
菊地氏は「動物病院はデジタル化が遅れ、人材確保やマネジメント体制に課題がある」と指摘。保育業界の改革事例を引き合いに、IT活用と仕組み化が収益性や働き甲斐を高める鍵と語りました。また、人材を“道具”ではなく「やりたいことを引き出し評価する対象」として捉えるべきと強調しました。
一方、深田氏は「働き方改革や病院のグループ化に経営体制が追いついていない」と課題を挙げ、責任感の強い獣医師・看護師が安心してバトンを渡せる仕組みづくりの必要性を訴えました。その解決策の一つとして、自社開発の首輪型デバイスによる24時間モニタリングを紹介し、飼い主・病院双方に“安心”を届ける可能性を示しました。
両者は、医療連携の強化におけるデータ活用にも言及。電子カルテやデバイスの情報を共有し、AIによる診療のヒントへと昇華する未来像を描きました。
議論を通じて浮かび上がったのは、「デジタル化と人材マネジメントの両輪が、進化する動物医療の土台となる」という共通認識でした。
次回のレポートでは多くの人でにぎわったQIXの製品展示や体験ブースをご紹介します!お楽しみに!