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きっかけや志望動機よりも、いまこの瞬間の凝縮された想いを。【CEO後藤啓太】

会社の代表として、創業ストーリーはよく求められるんです。

応募者の方からも、投資家からも、お客様からも、「なんでこの事業を始めたんですか?」って。

でも、世の中の他の経営者のように、強烈な原体験や、飽くなき理想像を持っているタイプではないんです。

一応、自己分析をやってみたり、インタビューを受けたりもしましたよ。
ライターの方は、断片的なストーリーをつなげてくださって、こんな感じでどうですか?と。

それっぽいものは仕上がったのですが、どんな綺麗なストーリーも、やっぱりどれも自分じゃない。

なんか違う、なんか違うって却下し続けたら、こう言われました。

「後藤さんは、後藤さん自身に嘘をつけないんですね」と。

この言葉が、とてもしっくり来ています。


開き直るわけじゃないんですけど、医療・医薬品業界との縁は、偶然のめぐり合わせに過ぎません。

ただ、僕は一度たりとも、今のこの業界に対して、「今のままでいい」「もう医療界ではやりきった」と思ったことがない。

「僕だったら、もっとこうするのに…!」
「なんでこんな状態が放置されているんだ…!」

これらの想いが高じ、それが起業という形で現れているだけだと思うんです。

きっかけや動機は何であれ、そこに凝縮された想いがあれば、なんでもいいんじゃないかと。

だから僕は、面接では志望動機は聞かないんですよ。

だって、僕がニフジのきれいな創業ストーリーを語れないのに、候補者にきれいな志望動機を求めるなんて、筋が通らないじゃないですか。


2010年に社会人になりました。

就活は、ミーハーな気持ちでやってましたね。
コンサル、商社、メーカー、広告、人材 etc… 
いわゆる有名どころを、なんとなく幅広く受けていました。

当然、医療・医薬品業界に絞っていたわけでもなく、たまたま空いているスケジュールで選考が進んだ会社が、後に楽天にM&Aされる医薬品の会社だったんです。

「せっかくだし内定獲っておこうか」程度の気持ちで参加した最終面接。

偉そうに会社の課題点を指摘する僕の話を、社長が真剣に向き合って、議論してくれたんですよ。

その時、社長がどういうつもりだったのか、その真意を確かめたことはありませんが、おそらく「言うは易く、行うは難し」ということを、議論を通じて伝えて下さったんだと思います。

こういう人間としての圧倒的な器量に初めて触れて、「この人の下で働こう」と直感的に思ったんです。

これがたまたま医薬品業界だった。
ね、本当にたまたまの出会いでしょう。

そこからは必死に仕事しました。

社長に偉そうにプレゼンしておきながら、成果を出さないのはダサすぎるなと思っていたので、もはや意地ですね。仕事を「速く」「やりきる」こと。とにかく突っ走りました。

運もありましたが、順調に成績を出せて、入社3年目で部長になりました。
ですが、ちょうどその頃から徐々に違和感が大きくなりました。

自分が出世したところで、一体何の意味があるんだろうと。

これだけ自分の人生を仕事に捧げているのに、何もこの業界が変わっていないじゃないかと。
そんな社会人生活、あまりに虚しいじゃないかと。

徐々に自分の内なる声が大きくなり、その気持ちを無視できなくなっていきました。

そして、入社から4年目。会社が楽天に買収されました。

楽天とのシナジーで、さらに成長が加速化するという話でしたが、実際は、意思決定は遅くなり、中間管理職的な役割が増えました。

さらに、新卒からお世話になった社長が退任されたのもあり、それなら自分でやってみようと。

それが起業のきっかけです。



起業にあたっては、まずは自分の専門性が活かせることと、市場の成長率を重視していました。

当初は、ペットの医薬品を扱う会社として起業したんです。ある程度、専門性もあるし、マーケットも拡大していた。

が、結果的に、その事業は撤退しました。

コロナという外的要因もありましたが、一番は、僕自身がそこに強い問題意識を持てなかった。

僕の問題意識は、本当にたまたまの御縁から始まったのだけれど、やっぱり、新卒から関わっている医療・医薬品業界に収斂するんです。

なんで、こんなに待たされるんだ!

なんで、こんなに偉そうなんだ!

なんで、こんなに情報が開示されてないんだ!

挙げればきりがないですが、こういう気持ちを無視できないんですよ。見方によっては、ちょっと不満体質なのかもしれませんけどね。笑

でも、不満を言っているだけでは、何も変わらない。この現状を、僕なりのアプローチで変えていきたい。

だから、やっぱり医療に向き合おうと。

やるからには、小さな会社で終わるのではなく、本当に医療の問題を解決できる大きな会社に育てようと。

世界に誇る富士山が湖面に映り、荘厳な風景を作り出すように、私たちも、お客様と自社の双方に、圧倒的な価値を届けていきたい。

ニフジに込めた想いです。



私たちの事業は、一言でまとめるなら「医薬品の専門商社」です。

ただ、これは業界外の人にはとてもわかりにくいと思います。

平たく言えば、海外で当たり前のように使われている薬を、国内に持ってきて「医師に売る」ということですが、ちょっとしたアナロジーで説明すると、少しわかりやすくなると思います。

たとえば皆さんはスーパーでバナナを買ったことはあると思いますが、バナナはほとんど輸入ですよね。

バナナ農園から、私たち消費者の元にバナナが届く過程を、ざっくりまとめると、

・バナナ農園と契約をまとめる
・バナナが輸送する
・バナナを販売する

こうなるわけです。ここにどんな事業者が介在しているかというと、

・商社が、バナナ農園と契約をまとめ、バナナを大量ロットで安く購入します。
・物流企業が、バナナを船便で、品質を維持しながら、運送します。
・小売企業が、商社が仕入れたバナナを、店の棚に陳列します。

ニフジの事業も、これとほぼ同様です。

・海外の製薬会社から、薬を購入し、自社の海外倉庫に備蓄します。
・物流パートナーに、品質管理を依頼し、配送状況を見守ります。
・そして、届いた薬を病院に卸します。

1点重要なポイントがあります。

我々は、患者に直接薬を卸すことはしていません。

あくまで我々は、医師に卸しているのです。その根底には、医療へのリスペクトがあります。
我々は、医療に対して問題意識は持っていれど、医療に対するアンチの気持ちは一切ありません。

海外から薬を輸入するということは、厚労省の認可外の薬を輸入していることを意味します。

これが、まるで既存医療へのアンチとして捉えられることがありますが、そのような気持ちは全く持っていないことは、声を大にして伝えておきたいですね。

だからこそ、私たちが薬を卸す先は医師なんです。

また、時々「厚労省が認めていない=エビデンスがない」とおっしゃる方もいますが、厚労省の認可には、政治的、経済的な力が働いていることは少なくありません。

海外では、当然のように使われている薬が、日本だと、厚労省の一存で使えない。それはおかしいよねと思うんです。

かつては、ここに誰も気づくことができませんでした。

しかし、昨今は、患者が医療情報に容易にアクセスできるようになりました。自動翻訳とChatGPTを組み合わせれば、誰でも論文の要約を日本語で読めます。

純粋にエビデンスを求めれば、海外の医薬品にたどり着くケースは少なくありません。

ようやく我々のやってることが少し世間から理解されるようになりました。



我々のミッションは、「世界の医療を選択肢に」です。この実現に向けて、やれることが無数にあります。

・海外から薬を輸入するだけでなく、日本から海外へ。海外から海外へ。

・より多くの医師を啓蒙し、処方の選択肢に海外の医薬品を加えてもらう。

・医師に薬を卸すだけでなく、自分たちでクリニックを経営し、直接届ける。

・一般的な疾患だけでなく、難病や希少疾患にも領域を広げる。

・逆に、未病医療、予防医療の医薬品で、医療の手前から医療を考える…

とにかく、理想の実現に向けて、やらなければならないことだらけです。

言ったでしょう。僕は一度たりとも、今の医療業界に対して、「今のままでいい」「もう医療界ではやりきった」と思ったことがないと。その意味がわかって頂けると思います。

こんな課題だらけの世界で、私たちといっしょに何かを興したいという人は大歓迎です。

医療への想いも、当社への志望動機も、私は問いません。

私自身が就活生の時、社長との対話を通じて気づかせて頂き、本気のスイッチが入ったように、ニフジというフィールドを通じて、一緒に社会にいい影響を与える喜びを分かち合いたいと思います。




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